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シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第一章 捜索編
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26話 ダンジョンの仕様

 二人は分かれ道の所まで歩いて来た。レンはさっきの件で怒っており、ムッとした表情を浮かべていた。シンは自分で羽織っていた黒色のマントをレンに貸していた。マントは濡れていたが、シンは目のやり場に困るのでレンに貸したという事もあったが、これ以上顔に赤い紅葉が増える事だけは避けたいというのがマントを貸した理由のほとんどを占めていた。


「見ましたか?」


「いや、見てないです。」


 歩いていたレンはその場に立ち止まり、シンの方を向いて頰をほんのり赤く染めながら言った。シンは本当は見えていたが、今本当の事を言ったら顔が赤い紅葉で一杯になると思い、嘘をついた。


「そうですか、ふ〜。」


 レンは安堵の溜め息をついた。シンも内心は、これ以上叩かれる事は無いと安心していた。


「罠があるだなんて、今までは無かったんですけどね。」


「そういやそうだな。」


「どうしますか?罠があったので違う道を選ぶのか、それとも逆に罠があったからそっちの道を選ぶのか。」


「……罠があった道を行こう。少し危険だが、罠があるなら何かあるということも考えられるしな。」


 レンの問いにシンは少し考え、さっきの道を戻る事にした。


「分かりました。」


 シンの出した答えにレンが頷きながら答えた。


「レンは俺の後をついて来てくれ。」


「それだったら私が、」


「いや、罠があると分かった以上、何があるか分からない。さっきみたいになった時に、いち早く動けるようにしておきたい。前はなんとするから、レンは後ろを頼む。」


「わ、分かりました。」


 シンは建前上それっぽい事を言ってレンを後ろにさせたが、何かあった時にレンを先に逃がしてやりたいというのが本音だった。レンはというとシンの優しさを感じ、頭がぽかんとしていた。二人はさっき行った道を戻り、道なりに進んでいく。

 すると、突き当たりに出た。左の道は奥の方へと道が続いており、右の道はすぐに行き止まりで、道と言うより大きな窪みといったほうが適切な表現だと思わせるほど単純な道の造りだった。二人は例のとおり左の道を進んでいく。すると、少し歩いた時の事だった。前を歩いていたシンの足元の石が少し下がった。


「罠か!?」


 シンの予感は的中した。二人の後ろからゴロゴロゴロという何か重いものが転がってくるような大きい音がしていた。次の瞬間、後ろの壁を壊し二人の方へ道の大きさピッタリの岩が転がってきた。


「岩!?」


「レン、サニアで切るから避けてくれ。」


 そういうと、シンはサニアを取り出した。レンはシンの邪魔にならないようにシンの後ろに移動した。そして、シンは転がってきている岩に向かってサニアを振り下ろした。だがその時、シンはサニアの斬撃が飛んでいかない事に気がついた。


「なんでだ!?」


 シンが驚いている間にも岩はこちらに向かって転がってきていた。


「シン、とりあえず逃げましょう。」


 二人は転がってきている岩から逃げた。二人は走って逃げているものの、この道は一本道という事もあって横に避けることも出来ず、ただひたすら走り続けた。


「なんでこうなるんだ。」


「恐らく、そういうダンジョンか何かなんじゃ無いですか?」


 二人は走りながらこの建物の事について話した。その間にも、二人と岩の距離が縮まっていく。すると、その時二人の足元の石がパカっと分かれて二人は宙に浮いた。


「なっ!?」


「うわぁ!?」


 二人は突然の事に驚いていた。だがその間にも二人の体は落ちていた。落ちると言っても最初だけで、どうやらその落とし穴の罠は滑り台のような造りになっているようで、滑り落ちているという表現の方が正しかった。右に左に揺られてどんどん滑り落ちていく。少しすると、この落とし穴に終わりが見えた。そして、二人はこの落とし穴を滑り終わるとそこは乗ってきた船が余裕で入るぐらいの大きな空間だった。


「いててて、えらい目にあったな。」


「まったくです。」


 二人はぐったりしながらそんな会話を交わした。すると、二人の目の前に体長二十メートルぐらいの黒い鰐がいた。目は黄色く、肌はゴツゴツしており硬そうな見た目をしていた。


「なんだこいつ!?」


「これは鰐です。でも、こんなの見た事無い。」


 二人は鰐の大きさに驚いていた。すると、鰐は二人に向かって口を開け、襲いかかってきた。二人はそれを避ける。すると、シンはいつもの調子でサニアを鰐に向かって振り下ろした。


(そういや、使えないんだっけ……)


 シンはその時、さっきサニアが使えなかった時の事を思い出した。だがもうすでに振り下ろした後だった。すると、意味のないことをしたと思ったシンだったがサニアの斬撃は発動した。斬撃が鰐の体に大きな傷をつけた。硬い皮膚で覆われているせいか切断とまではいかなかったが、それでも凄まじい威力に違いはなかった。


「どういう事だ?場所によって使える場所があるのか?」


 シンはなぜ使えるのかと不思議に思っていると、今の攻撃で怒った鰐がシンに向かって大きな口を開けて襲いかかってくる。それを見たシンは懐からイニルを取り出し、振り払った。すると、イニルの斬撃が鰐へと向かっていき、鰐の体をバラバラにした。硬い皮膚を持ったワニではあったが、イニルの威力の方がそれを上回っていたようだ。


「一体、発動する時としない時の差はなんなんだ。」


「分かりませんが、ここは恐らくダンジョンでしょうからそういう罠があるのかもしれませんね。」


「それはありえるな。渦潮といい、あの鰐といい、普通じゃ有り得ないだろうからな。」


 二人は神器の発動しなかった理由が罠か何かだろうと予想し、この建物がダンジョンだろうという事を確信した。


「先に進んでみましょう。ここがダンジョンならフロリアがいるはずです。」


「それもそうだな。行こう。」


 二人は色々疑問を感じたが、先に進めば分かるだろうという結論に達し、この空間を後にした。


次回、緑色の目の持ち主


見てくれてありがとうございます。

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