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シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第一章 捜索編
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21話 シンとレンVSウィップ

 二人は戦闘体勢になり、近づいてきたアンデット達はすぐそこまで迫っていた。それをシンはサニアを薙ぎ払った。すると、アンデットの大半を上半身と下半身に分け、倒す事が出来た。だが、次々と地面からアンデットは出てくる。ウィップはというと、斬撃を避けるため上に飛んで躱していたらしく、ウィップ本人も運動神経はいいようだった。


「それは神器ですか?厄介ですね。せっかく出したアンデッド達がこれでは意味がありませんね。」


「くそっ、あいつ身の熟しがいいな。」


 ウィップの身体能力の高さにシンは苦い表情をしていた。


「私が近づいて接近戦を仕掛けてみます。シンは援護をお願いします。」


「分かった。」


 シンはレンの提案を呑むとサニアを振り下ろし、その剣筋にいたアンデッドを倒しウィップまでの道を作った。レンはその道を使ってウィップに近づいて行く。アンデット達も襲ってくるものの、神器の前ではほぼ無意味だった。レンがウィップのところまで行き、右足でウィップを蹴りつけた。ウィップはそれを両手で防ぎ、右足でレンを蹴り返す。レンはそれを両手で防ぐと同時に後ろに飛び、攻撃を受け流した。


「あなた、接近戦に慣れているみたいですね。」


「私は元々近距離が得意なんですよ。」


 レンの言葉にウィップは得意げに答えた。


「レン、交代だ!次は俺がやってみる。」


 シンがそういうとイニルを懐から取り出し、右手にサニア、左手にイニルを構えて、ウィップに向かって走り始めた。レンはシンの提案に戸惑いつつも、シンの援護に回った。シンの邪魔になるであろうアンデットを蹴り倒し、シンのための道を作った。すると、シンはレンの作ってくれた道を通り、ウィップのところまで来た。


「手加減しないからな。」


「望むところです。」


 シンがウィップに言い放つと、ウィップも言い返してきた。すると、シンはウィップに向かってサニアを振り下ろした。ウィップはそれをすれすれで避ける。シンはそれでもサニアを振り続けた。二回、三回と次々と振り続ける中で、サニアの斬撃がウィップの右肩に少しだけ傷をつけた。シンはその瞬間、イニルを初めて使った時の事を思い出した。


(あの時もサニアで傷をつけてからイニルを振ったら効果が発動した。もしあの時と同じ条件で発動するとしたら・・・試してみる価値はある。)


 シンは頭の中で考えをまとめるとすぐに行動に移した。シンは今まで振っていたサニアではなく、イニルを振った。すると、イニルから斬撃が発動した。だが、斬撃は剣筋通りに切れるのではなくウィップに向かって飛んで行き、右肩から指先まで全てを切り刻み、右腕は斬撃によって跡形も無くバラバラに消し飛んだ。


「ぐう”う”うう。」


 ウィップは悲鳴を押し殺し、左手で右肩を押さえながら痛みに耐えていた。シンはというとイニルの追跡する能力と威力に驚いていた。


「私をここまで傷つけるとは。躱したはずなんだけどね。」


 ウィップはそういうと左手を前に出し、リングからはさっきよりも霧が多く出ていた。すると、地面から今までのアンデッドの数倍の大きさに、今までのアンデッドと同じ作りの頭蓋骨が三つ、赤い目を光らせ生えている、骨の槍を持ったアンデッドが出てきた。


「こんなこともできるのか。」


 シンが驚いていると、そのアンデッドは骨でできた槍を突き刺してきた。シンはそれを避けて躱す。すると、ウィップがレンの方に向かって走ってきていた。レンはアンデッドを警戒しつつ、ウィップに視線を向けた。ウィップはレンに近づき、右足で蹴りつけると、レンはそれを両手で防いだ。それを見たウィップは自分の肩から出ている血を左手でレンの目に向かって投げた。咄嗟の事にレンは目を閉じるとその隙を見て、レンの腹部に蹴りを入れ、レンを蹴り飛ばした。


「卑怯な。」


「戦いは殺し合いだぞ?卑怯だろうと何だろうと勝てばいんですよ。」


 レンの言葉にウィップが我が物顔で言い放った。


「大丈夫か!?」


 シンがアンデッドの攻撃を避けながら言った。


「大丈夫です。アンデッドはシンに任せます。私はウィップを。」


 レンが目元についた血を拭いながらシンに返事をした。シンはそれを聞いて自分のことに集中した。シンはサニアを振り下ろす。すると、アンデットは上下半分になった。大きくなった分、骨が硬くなっていると思っていたシンだったが、案外脆かったのか、サニアが強過ぎるのか分からなかったがサニアの斬撃が通用することがわかったシンはサニアを振り下ろした。それを何回か振り続けるとアンデットがバラバラになった。


「よし、レンは?」


 シンはレンの方を見るとウィップと戦っていた。だが、右肩から血がドバドバと流れ出ているウィップが押されているらしく、レンが優勢のようだった。それを見たシンはレンの加勢に行こうと思った時、バラバラになったアンデッドの骨が動き出し、元の姿に戻ろうとしていた。


「なんだ!?」


 シンが驚いているとバラバラになった骨が見る見るうちに集まっていき、元の姿まで戻った。


「再生能力があるのか。」


 シンが能力を考察しているとアンデットが槍を薙ぎ払った。シンもサニアを薙ぎ払う。すると、アンデッドの槍は二つに切れた。だが、すぐに元の槍の状態に戻った。すると、アンデッドを見ていたシンがある事に気づいた。アンデッドの三つある頭蓋骨の内、一つの頭蓋骨の赤い目が光っていなかった。


(今まで倒してきたアンデッドも倒した後は赤い光が無くなった。だとした、こいつも同じだとすると後二回倒せば、復活せずに倒すことが出来るかもしれない。)


 シンはイニルを振り下ろした。すると、斬撃がアンデッドに向かって飛んでいき、バラバラにした。だが、アンデッドは例の如く元の状態に戻った。シンはアンデッドの頭蓋骨を見ると、やはり赤い光が無くなっていた。アンデッドも攻撃をしてくるが神器の前になす術なしといった感じだった。シンはもう一度イニルを振り下ろす。アンデッドはバラバラになった。すると、シンの考えた通り復活する事は無かった。シンはレンの方を見ると、レンがウィップを蹴り飛ばしたところだった。ウィップは蹴り飛ばされたまま起き上がらずその場に倒れた。


「レン、大丈夫だったか?」


「ええ、何とかなりました。」


 シンがレンを心配して近づきながら聞くと、レンは笑顔で返事をしてきた。


「私の魔具は相性が悪かったようですね。それに、血を流し過ぎましたね。」


 ウィップが弱々しい声で言った。すると、左手に付けていた魔具が黒い霧を出し、次の瞬間、消えて無くなった。


「どうして…俺は…」


 ウィップは掠れて聞こえないぐらいの声で言った瞬間、目を閉じた。シンとレンは初めて人を殺めた事に命の重さを感じた。


「これで良かったんでしょうか?」


 レンが困惑した顔をしながら言った。


「分からない。でも、この事を忘れちゃダメな気がする。」


 レンの問いに、シンは真剣な面持ちで答えた。


「後の事は、兵士達がやってくれるだろう。」


「そうですね……」


 シンはレンが色々考えているのだろうという事が声色から分かった。


「にしても、随分荒らしちまったな。唯一壊れなかったのはあの大きな石碑みたいなやつぐらいか、良く壊れなかったもんだ。」


「そうですね。」


 シンはレンの気を逸らそうと思い言った。すると、レンはそれを感じ取ったのか、さっきよりは少し元気に返事をした。


次回、レジアル到着

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