2話 神器と魔具とダンジョン
反乱勢力の一件から数日が経った。シンとレンは今、出会った村から南の方角に進み、次の町を目指して歩いている所だった。
「結構歩いたな。」
「そうね、あの町から結構歩いたわね。」
「本当に道は合ってるんだろうな?」
その言葉を発した瞬間、レンがニコニコしてシンのことを見ていた。
「な、なんでも無いです。はい。」
「よろしい。」
(女って生き物はなんでこんなにも恐ろしいのだろうか…)
「どうかした?」
「い、いえ。なんでもないです。」
(バケモンかコイツ…)
「あっ、あれ!」
「どうした?」」
レンは声と一緒に指を指した。レンが指を指した方向を観るとそこには町があった。
「あれが今、私たちが目指している町、シャリボアよ。」
「へ〜、やっと見えたな。」
「でもこれ、どうやって行くんだ?」
シンが聞くのもそのはず、今、シン達は崖の上にいた。
「どうって、降りて行くのよ。」
「降りるところでもあるのか?」
シンはレンに素朴な質問をした。
「そんなの知らないわよ。」
「はい?じゃあ、どうやって?」
「だ、か、ら、降りるのよ、ここから。」
「正気か?」
「何か問題でも?」
崖といっても、滑って行けそうな角度ではあるが、普通ではあり得ないその選択にシンは啞然とした。
「分かったよ、諦めて降りることにするよ…」
「ほら、グダグダ言ってないで行くわよ。」
(俺はこの先、無事に冒険できるんだろうか、早死にしそうな気がする…)
シンはそんな事を考えながら崖から降りた。そして、少し歩くと二人はシャリボアについた。
「あんなに周りは木ばかりだったのに、ここは町って感じだな。」
「当たり前でしょ!シャリボアは結構大きめの町なのよ?周りは山だから空気も水も美味しんだから。」
「観光地としても有名な町なのよ、あなた本当に何にも知らないのね。」
「俺の村は小さいしな。だから、情報が入ってこないんだよね。」
「ふ〜ん、まっ、いいけどね。それよりも、宿を探しましょう!」
「そうだな。」
二人は宿を見つけて、少し休憩した後、この町を見て回ることになった。
「まずは、飯でも食おう。」
「そうね、私もお腹すいちゃった。」
二人はご飯を食べ終わり、町を回ることにした。
「そういえば、あなたってなんで旅に出ようと思ったの?」
「・・・」
「あなたもダンジョンに興味があったとか?」
「いや、人を探してるんだ。」
「人って?誰を?」
「俺のにいさんだ。」
「へ〜、あなたお兄さんがいたのね。」
「ああ、俺は自分の夢って事もあるけど、にいさんを探すために旅に出た。」
「どうして、お兄さんに?」
「……、色々あったんだよ。」
「ふ〜ん、まあ、詳しくは聞かないことにするわね。」
「悪いな。」
「いいわよ、別に。」
「ところで…」
「どうしたの?」
「なあ、ダンジョンってなんだ?」
その言葉にレンは言葉を詰まらせた。
「あなた…子供でも一回は聞いたことある常識よ?」
「仕方ないだろ〜、情報が入ってこないんだから。」
「いい?よく聞いてね?」
「おう。」
「ダンジョンって言うのは、世界の各地にある迷路?みたいな、迷宮?みたいな不思議な場所のことを示しているの。ダンジョンは世界各地にあるけど、同じ造りのダンションは無いと言われているわ。」
「ふ〜ん、それで何でそんなのが世界各地にあるんだ?」
「詳しいことは分からないけど、昔、ある時期から突如出来たって話よ。」
「何でそんなのが未だにあるんだ?」
「それは、壊れないのよ。」
「壊れない?」
「そう、ダンジョンを壊そうとした人は過去にも結構な数いたらしんだけど、誰も壊せなかったらしいわ。」
「そのダンジョンって、なんか存在する意味とかってあるのか?」
「存在する意味があるのか無いのかで聞かれたら、多分、無いわ。」
「無いんだ。」
「でも、」
「でも?」
「これは噂で聞いた話だから本当かどうかは定かでは無いけど、それぞれ一つずつダンションには、神器って呼ばれるものがあるって噂よ。」
「神器って何だ?」
「さあ、私もそこまでは詳しくは知らないわ、だけど…神器は人の域を超えた何かを手に入れられると言われているわ。」
「へ〜、そんなのがあるのか。」
「それだけじゃ無いわ。」
シンが驚いていると、レンが話を続けた。
「神器に似たものが他にもあるのよ。」
「そんなにすごいものに似た何か?そんなのがあるのか?」
「ええ、これも聞いた話だけど、魔具って言うものもあるらしいわ。」
「魔具?」
「何でも、神器って手に入れるのがダンジョンをクリアした人が初めて使えるものらしいの、それに対して魔具は何処にあるかは分からない代わりに何処でも手に入る可能性があるものらしいわ。」
「なら、魔具が神器と同じぐらいのものなら魔具の方が良くないか?」
「普通ならね。」
「普通ならって、どう言うことだ?」
シンはレンの言葉の言い回しに疑問を覚えた。
「魔具って、悪魔の仮の形って言われているのよ。」
「使うと信じられないような力を得られる代わりに、使ったものには不幸が訪れるって噂よ。」
「なるほど、そんなのがあるのか。」
「少しは世の中について分かってくれた?」
「まあ、あくまで噂だからね。」
「覚えておくよ、一応な。」
「さ、少し長話しすぎたわね、帰りましょう。」
「ああ。」
二人は宿に戻り、旅の疲れを癒した。
「…」
「・・ン」
「シン!」
「!?」
そこにいたレンからは真剣な眼差しの中に、焦りが感じられた。
「大変なの、町が・・」
「こんな朝はやくからどうしたって・・・」
その時、シンが目にしたものとは、さっきまでレンと一緒に見て回った町が、火の海になっている姿だった。
「なっ!?」
そう、シンが驚くのもそのはず、朝早かったのではなく、燃えている町の火の明かりだった。
「どうなっているんだ!?」
「私もさっき起きて見たら、こうなってたの。」
「とりあえず、近くまで行って逃げ遅れた人がいないか見に行く。」
「でも、この火の中に人がいたとして、どうやって助けるのよ?」
「いいから行くぞ。」
「もう〜ちょっと、待ちなさいよ。」
シンは窓を開けて飛び出した。それにレンも続いた。
町は思ったよりも炎で覆われていて、消すのは恐らく不可能だろう。それでも、シンとレンは取り残されている人がいないか探した。すると、そこに、家の三階部分から顔だしている女の子がいるのを見つけた。
「あんな所に、女の子がいるわ。」
「分かってるよ。」
そう言うと、シンは家の側面にあるちょっとした突起に掴まり家の壁を登って行く。
「フフフ、アイカトカゲ、やれ!」
その声とともに、シンの体が吹き飛ばされた。
「なに!?」
そう言って声がした方に顔を向けたレンはそこにいた体長30メートルはある、赤い肌をしたトカゲ型の生き物に驚いた。そして、その後ろから女が現れた。
「全く、せっかく町を燃やしたんだからダメじゃない、助けたら。」
「その口調だとあなたがその生き物を操って、町を燃やしたようね。」
「その通り、私がやったの、これ全部、どう?すごいでしょ?」
「ふざけた野郎だ!」
そう言うと、シンが起き上がった。
「まだ生きてるなんて、タフだね、あんた。」
「生憎、俺は頑丈なんでね。」
「レン!あの子を頼む!」
「でも、あんな大きい生き物どうすんのよ!」
「どうにかするから、レンはあの子を!」
「分かった!」
(とは言ったものの、アイツどうするかなぁ)
「打ち合わせは、終わった?」
「おかげさんでね。」
「町は燃やしたから、やることがなくてね、相手してもらうよ、やれ!」
そう言うと、アイカトカゲが炎を出してきた。シンは、それをギリギリでかわした。
(クッソ、なんかいい方法はないか)
その時、アイカトカゲの尻尾がシンに当たり、シンを隣の家まで吹き飛ばした。
「グフッッ」
「あのトカゲ厄介だな。」
「待てよ、そうだ!」
「さてと、そろそろあの女でも・・」
「こっちだ!」
不意をついたその一瞬が勝敗に大きく左右した。シンはそう言うと、手に持っていたものを投げた。
「しまった…」
シンは油を投げて、空中で油の入ったビンを石を投げて割ったのだ。それにより、女は油まみれになった。その隙をついてシンは女を蹴り飛ばした。すると、女は燃えている家の方に飛ばされた。そして、家まで飛ばされた瞬間に、家を燃やしていた炎が女に燃え移った。
「あ”あ”あぁぁぁ」
「よし、上手くいった。」
「よいしょっと、シン!こっちはいいわよ。」
そういうと、レンが女の子を無事救出していた。
「もう大丈夫よ。」
「ありがとうお姉ちゃん。」
「どういたしまして。」
「こっちもなんとか収まりそうだ。」
「やっぱり、思った通りだ、このトカゲはこの女の指示がないと基本的には動かない。」
「さっきの戦いでなんとなく違和感があったからな。」
その時、アイカトカゲが光を発し、跡形もなく消えてしまった。
「これは!?」
「恐らく、この女が気絶したことによって、あのトカゲが消えたんだわ。」
「もしかして、これがさっき言ってた神器だったり、魔具だったりするのか?」
「ええ、恐らく魔具の一種なんじゃないかしら。」
「なんで、魔具って分かるんだ?町をここまで燃やした能力ではあるんだし、神器って可能性はないのか?」
「もし、そうだったとしたら、その女が弱すぎると思わない?」
「言ったでしょ、神器はダンジョンをクリアしないと使えないはずだって。」
「確かに、幾ら油を燃やした炎だからと言って、ダンジョンを攻略したやつがこんな簡単に気絶したりはしないか、それに、隙が多かったしな。」
「そう言うこと。」
「にしても、どうする?この町、もう半分ぐらい火の海だぞ。」
「ひとまず、この町を一度離れたほうが良さそうね。」
「アクアリウム!」
この町を大きな雲が覆い、そして、雨が降った。
「ラッキー、雨か、助かった〜」
「この雨の量なら火は消えそうね。」
「ああ、でもいきなり降ってきたな。」
あの一件から数日、町の復興をした。女の子はと言うと無事家族に届けることができた。そして、あの女はと言うと警備の人に身柄をお願いして、治療を受けるんだとか。それから、どうするかを決めるとのことだった。
「いや〜、なんとか出発できそうだな。」
「そうね、ここからさらに南に行って、王都リネオスに行きましょう!」
「王都リネオスか、あの時の反乱勢力のことも何か知ることができるかもしんないな。
「確かに、気になっていたしね。」
こうして、シャリボアを後にした二人であった。
次回、王都リネオス
のんびり書いていきたい。
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