16話 サニアの使い方
シンとレンは降りてきた階段を戻っていた。リネオスのダンジョンでは抜け道があったが、どうやらダンジョンによって違うらしく、ここのダンジョンには無かったため、今まで通ってきた道を戻っているところだった。
「このダンジョンは近道がなかったですね。」
「普通がこうなんじゃないか?とりあえず、上まで戻ろう。」
「そうですね。」
二人は階段を登り終え、シンが倒した魔物の空間まで戻ってきた。
「この魔物はシンが倒したんですか?」
「ああ、結構ギリギリだったけどな。レンがくれたライターも壊しちまったし。」
「それなら大丈夫です。シンの役に立ったんだったら良かったです。」
シンはレンのライターを壊してしまった事を気にしていたが、レンはそこまで気にしていなかったらしい。
「それにしても、今まで通ってきた道を戻るという事は、一つ上の階層のサイに似た魔物と戦わないといけないかもしれないですね。」
「ああ、他にも何があるか分からないからな、注意していこう。」
「はい。」
二人は入ってきたダンジョンの入り口を目指して歩き始めた。すると、二人が異変に気付いた。
「こんな道あったか?」
「いいえ、通ってきた道をそのまま帰っているはず…」
この時、シンはあの大きな空間に入ろうとした時に、蔦が生えてきた時の事を思い出した。
「このダンジョンは生きているんだ。だから、入ってきた時と同じに戻っても違うところに行ってしまうって事か。思ったより厄介だな、このダンジョン。」
「なるほど、そういう事ですか。にしても、シンはこういう時の感は冴えてますよね。」
レンがそう言うと、シンは目を細めてレンのことを見た。
「その言い方だと、他の時は冴えてないみたいに聞こえるんですけど。」
「そんな事は無いです。言い掛かりですね。」
レンはそう言っていたが、明らかに嘲笑の笑みでシンの事を見ていた。
「おいおい、レンさん?」
「なんでも無いです。」
レンはシンに笑顔を見せると、先に行ってしまった。シンは腑に落ちなかったが、レンについていった。しばらく進んでいると、平家と同じぐらいの、さっきの大きい空間よりは小さい空間の中央に階段があるのが見えた。
「階段がありましたね。行きましょう。」
「そうだな。」
二人は階段に向かって歩く。すると、この空間に通じる自分たちがきた道以外の三つの道から、目が赤い犬の魔物が合計六匹現れた。
「一人辺り三匹討伐の計算だな。」
「私が全部倒してもいんですよ?」
「それだと、俺の立場がないだろ。それに試してみたい事がある。」
シンは懐から宝箱で取った神器<双子の短剣>を取り出した。右手に赤い短剣サニア、左手に青い短剣イニルを持った。
「それがこのダンジョンで手に入れた神器ですか?」
シンはレンがまだ見ていなかったと言う事を聞かれて思い出した。
「ああ、そうだ。聞いた話だと双子の短剣って言って、赤がサニアで青がイニルって言うらしい。」
「色々聞きたい事があるんですけど、まずはこの魔物たちをどうにかしましょう。」
「そうだな。」
レンがそう言うと、二人とも戦闘の体勢になった。すると、まず二匹が襲って来た。レンとシンはそれぞれ一匹ずつ戦った。シンはとりあえず、いつもの要領で使ってみた。犬の魔物がシンに向かって真っ直ぐ襲ってきたので、横に躱した後、魔物に向かってサニアを上から下に斬りつけた。すると、魔物は半分に切れた。しかしただ、切れ味が良いだけではなかった。斬りつけた剣筋の通りに、床や壁に傷がついていた。
「えっ!?」
「なんだこれ!?」
レンは何が起きたのか分からなかったが、それ以上に当事者のシンの方が驚いていた。
「これがこの神器の力なのか。怪我ないか?」
「ええ、でもすごいですね。」
今のひと振りで斬りつけた魔物と奥にいる魔物まで切れていた。レンの倒した分も入れると合計三匹倒していた。今のを見た残りの魔物が逃げ出した。
「どのぐらい射程があるのか試してみるか。」
シンはもう一度魔物に向かってサニアを振り下ろした。すると、魔物を巻き込んで二十メートルぐらい先まで切れているのは見えた。
「一匹逃がしちまったな。」
シンが魔物に近づくと、更に奥まで切れているのを確認する事ができた。そして、ある事に気づいた。
「なあ、レン。切れたところを見てくれ。」
「切れたところ?」
レンが不思議そうにシンの言われた通り、切れたところを見てみると、いくつも傷がついていた。
「これは?」
「多分、何回も切れながら斬撃が飛んでいくんだと思う。」
「かまいたちみたいな事ですか?」
「そうかもな。まあ、そんな感じなものって覚えておこう。使い方にも注意しないとな。」
「そうですね。」
二人は赤の短剣、サニアの事について知った。そして、二人は階段を登って行き、上の階層へと進んでいった。
次回、イニルの使い方と地上
のんびり書いていきたい。
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