12話 レンの一面とシンの照れ
シンの熱が治り、二人はレンの妹、レイナの不治の病を治す薬の情報を得るため、街に来ていた。
「悪いな、俺の看病させちまって。」
「ううん。全然大丈夫だよ。」
シンは自分の看病をしてくれたレンに礼を言ったが、レンは笑顔で返してくれた。
「ところで、何か薬に関する情報の当てはあるのか?」
「そうね〜、ここに来たのは初めてだからこれっていう当てはないけど、昨日、シンの薬を買った薬屋に行って、何か情報がないか聞いてみようと思って。」
「なるほどな。」
それから二人はシンの薬を買った薬屋まで行った。その薬屋まで行くと外見は蔦で覆われていて、窓からは中が見え、瓶がズラリと並べられていて、中には薬だろうと思われる様々な色をした薬品などが置いてある棚がいくつかあった。ドアを開け、奥に入ると、メガネを掛けた老婆が椅子に座っていた。
「こんにちは、おばあちゃん」
「おお〜、また来たのかい。薬は効いたかい?」
「おかげさまで、この通り、元気になりました。」
そういうと、レンが笑顔でシンの背中を叩いた。
「いてぇ〜な…」
「そうかい、そりゃ〜良かったね〜。」
シンがレンに叩かれ、渋い顔をしていると、老婆が笑顔で二人を見ていた。
「なら、今日はどうしたんだい?」
「実は不治の病を治せるかもしれない薬がアルキトラにならあるかもしれないというのを聞いて、リネオスからここまで来たんです。」
その話を聞いた老婆は、考えこむように下を向き、少しすると顔を上げ、口を開いた。
「事情は分からないけど、すまないけど聞いたことがないねぇ〜。」
「そうですか…」
老婆の話を聞いて、レンは表に出さないようにしていたのだろうが、シンにはレンが落胆しているのを、なんとなく感じ取っていた。
「そもそも、この街の薬はこの街から少し南東に行ったところにあるダンジョンから採って来ているからね〜。そこに行けばあるかもしれないけど、私がこの街で生まれ育って、七十年以上はいるけど聞いたことがないね〜。」
「そうなのか。この薬は全部ダンジョンから採って来てるのか…」
シンはそう言うと興味深そうに薬の入った瓶を見た。
「私は行った事がないから分からないけど、行ってみるといいかもしれないね。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「聞いた話だと、階層が分かれていてどんどん下に下がって行くんだそうだが、下に行けば行くほど危険になるって話だよ。」
老婆が心配そうな目をしながら話してきた。
「行くのかい?」
老婆がそういうと、レンは何も言わず小さくコクリと頷いた。
「気をつけるんだよ。」
「おばあちゃん、ありがとうございました。」
そういうと、レンは頭を下げて先に店を出た。
「薬、ありがとうございました。おかげさまで助かりました。」
「いいさね。それにしても、大事にされてんだね〜、あんた。」
シンは何の事だろうと不思議な顔をしていると、老婆が話を続けた。
「昨日、あのお嬢ちゃんがうちに来た時、熱に効く薬を探してるんですって、すごく心配そうな顔をしていてね。だけど、私が薬を渡した時は、いい笑顔で『ありがとうございます』って言ってね、『大事な人でも風邪を引いたのかい』って聞いたら、『そうなんです。早く治ってもらいたくて』って言って、そりゃあ〜もう、いい笑顔で帰ってったんだよ。」
シンは自分の知らないレンの一面を知れたことや、自分を大切に思ってくれていたことに、何だか嬉しくなった。
「ああいう子は手放しちゃダメだよ。中々あんなにいい子は居ないんだからね?」
「は、はい…」
シンが照れながら答えると、老婆は見透かしているのか、笑顔でシンを見ていた。シンが礼を言って店の外に出るとレンが待っていた。
「随分と長く話してたのね。何の話してたの?」」
「い、いやっ!?なんでもないけど!?」
「ん?なんか話してたんじゃないの?」
シンは何だが恥ずかしくてレンを直視できなかった。レンは不思議そうにシンを見ていた。
「まあ、いいけどね。さっ、行きましょう?」
「おお。」
シンはレンの後に続いた。
次回、二つ目のダンジョン
のんびり書いていきたい。
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