109話 不正解
「不気味だな」
「うん」
石像はこのダンジョンと同じ素材で出来ていた。
右手に剣を持ち、左手に砂時計を持っている。
「あれから変な匂いがする」
「変な匂い?魔物か?」
「分かんない」
「……」
シンは警戒しながら石像を見る。
と、次の瞬間、石像の目がシンを見た。
「!?」
シンはそれを見てゾッとした。
次の瞬間、口が少し開いて、
「我はこの世の理から外れた時の番人。貴様に問おう」
「なんだコイツ…」
「……」
「なんか不安になる…」
三人が不気味に思いながら警戒する。
「正直に答えよ。自分の愛する者が死の危機に直面したとしよう。その時、世界を危険に晒すが助けられるとしたら貴様はどうする?」
「どういうことだ?」
シンはそう言うと、石像の持っていた砂時計が動き、上から砂が落ち始めた。
「自分が思ったまま答えればいい」
「訳が分かんないぞ…」
シンは困惑しながらも考える。
が、その間に砂時計の砂はどんどん落ちていく。
「……世界が危険に晒されるんだろ?だったら、助けない方がいいんじゃないのか?」
砂が落ち切る前に答える。
「なるほど。では、次だ」
「貴様は自分の家族を殺すことができるか?」
「? できるわけないだろ」
「なるほど。では、次だ」
「貴様は自分よりも強大な敵に相対した時、どうする?」
「…どうするって、どうにかできるならどうにかする。無理なら仕方ないんじゃないか」
「なるほど。では、次だ」
「もし、人生で一度だけなんでも願いが叶うとしたら?」
「願い?…………」
シンは考える。
自分にとって願いとはなんだろうかと。
しかし、これという願いは思いつかない。
「なるほど。では、次」
「まだ答えてないぞ?」
「時間だ」
シンが砂時計を見ると砂が下の方へ落ち切っていた。
「最後に。貴様は自分が死んでも守りたい者はいるか?」
「死んでも守りたい者?」
シンがそう言われて思い付いたのはレンとサレサだった。
自分の母ではなかったのはここ最近、二人と一緒に旅をしていたからだろう。
「ここにいる仲間だ」
「なるほど。分かった」
そう言うと、石像の持っていた砂時計の砂が落ち切った。
「不正解」
「は?」
唐突のことで訳が分からない三人。
「残念だ。そのままでは何も成せないだろう」
「どういうことだ?何が言いたい?」
「強い思いは人を強くする」
「我は時の番人。この世の理から外れた存在。またいつか会う事になるだろう」
そう言うと、石像に亀裂が入る。
そして、次の瞬間、石像は粉々に砕け散った。
「なんだったんだ…?」
「「……」」
三人は砕け散った石像の残骸を見つめる。
「……先へ進もう」
「うん…」
「なんだったんだろう?」
「さあな」
それから三人は石像で隠れていた道を進んだ。
しばらく歩くと前方に部屋があるのが分かった。
「着いたか」
三人の前には石でできた台座に同じく石でできた箱があった。
すると、台座の後ろが光った。
「お久しぶりですね」
「フロリアか」
「はい」
「聞きたいことがあるんだが、さっき、ここのダンジョンで変な石像にあった」
「石像ですか」
「ああ。時の番人とか言ってたんだが、あれはなんなんだ?」
「時の番人……そうですか」
そう言うと、フロリアは少し黙る。
「まだ私には分かりませんが、もしかしたらあなたが世界を救う者なのかもしれませんね」
「どういうことだ?」
「今、この世界は危機に陥ろうとしています」
「危機?」
「はい。私達はそれから世界を救う為にこうして動いているのです」
「一体、何が起きてるんだ?」
「そう遠くない未来、このまま行けばこの世界は死んでしまうかもしれない」
「世界が、死ぬ?」
「これ以上は私からは言えません。もし、あなたが本当に世界を救う者だと分かったら、その時は全てをお話します」
「またいつものやつか」
「はい」
「……」
「話は変わりますが、この神器、誰が使いますか?」
「はい!私が使います!」
サレサが元気よく答える。
「そうですか。分かりました。この神器は平癒、ヴァルキュリーです」
そう言うと、光が消えた。
「開けていいの?」
「うん」
サレサは箱を開ける。
すると、箱の中には銀色の素朴な指輪が入っていた。
「普通の指輪みたいだね」
「そうだね」
そんな会話をした後、サレサは指輪を嵌めた。
「とりあえず、下まで戻るか」
「どうやって帰るんだろう」
「さあ、またあの動く床かもな」
「嘘でしょ…?」
「とにかくここは何もないみたいだし。さっきのところまで戻ろう」
「う、うん」
「ん〜?」
それから三人は来た道を戻った。
見てくれてありがとうございます。
気軽に感想や評価、ブックマーク等をして下さい。嬉しいので。
週1〜3投稿予定。




