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シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第二章 七つの罪人編
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108話 二つの鋏

「もう少しで天井だと思ったけどな…」


 シンは動く床に乗りながら上を見上げる。

 視界には確かに天井が見えていた。

 が、今までのように動く床はない。

 その代わりに壁にぐるりと回るように螺旋状の階段があった。


「ここからは階段ってとこか。よかったな、レン。歩けそうなところまで来たぞ」


「うん…」


 それから三人は動く床から階段へと飛び移った。


「ほら、ここなら大丈夫だろ?」


「そうだね…」


 階段へと下ろされたレンが不安そうに言う。


「俺が先に行くからレンはその後ろを付いてきてくれ。一番後ろはサレサに任せる」


「クア」


 それから三人はシンを先頭に上へと向かって歩く。


「そういえば結構上に来たと思うんだけど、そろそろ外で見たこのダンジョンの高さより上に登ってる気がするんだけどどう思う?」


「そうだね。私もそんな気がする」


「クア」


「だよな。やっぱりダンジョンだから全てが出鱈目ってことか」


「多分ね」


「どうしてダンジョンなんてのがあるんだろうな」


「そうね。しかも、神器を渡す役目のフロリアもいるしね」


「ああ。何か目的があるんだろうな」


「目的か…聞いてみたら教えてくれるかな」


「どうだろうな。不公平がなんとかって言って教えてくれない気がするけど、まあ、ダメ元で聞いてみたらいいんじゃないか?」


「それもそうだね」


 そんな会話をしながらも上へと階段を上がる三人。


 しばらく階段を登って飽きてきた頃、


「そろそろ天井近くだな」


「うん」


「警戒していこう。まず、俺が様子を見る」


「分かった」


「クア」


 それから三人は天井付近まで階段を上った。

 すると、天井の上へと階段は続いていた。

 シンはレンとサレサに目で合図をすると、何も言わずに首を縦に振る。

 そして、慎重に天井の上がどうなっているのか確認する為頭だけを出して様子を窺う。

 と、そこには紫がかった色の魔物がいた。

 二つの大きな鋏を持ち、足は無数にある。


「あれは、ザリガニみたいだな…」


 シンは下で待っている二人の元へ戻る。


「なんかザリガニみたいな魔物がいる」


「あの鋏を持ってる海老みたいな?」


「ああ」


「どうする?どうにかして無視して先に進めないの?」


「先って言ったってな…少し待っててくれ」


 シンはもう一度様子を窺う。

 魔物が一匹。

 他に何かないか周りを注意深く探るが何もない。


「ダメだ。なんか行き止まりみたいになってる」


「じゃあ、その魔物を倒さないとダメなのかもね」


「ああ」


「作戦を立ててから行こう」


「うん」


「クア」


 それから三人は数分間、作戦を考えた。


「じゃあ、俺がサニアとイニルで攻撃。その後は反撃してきたところをレンがリナザクラで反射。感だけどサレサの電気はあの硬そうな甲羅を貫通する筈だからそれで動きを止めてその隙に攻撃。ざっとだがこんな感じでいいか」


「うん。それで行こう」


「私に任せて。電気で丸こげにするから」


「頼もしいな。よし、それじゃあ行くか」


「「うん」」


 ということで、まずはシンが勢いよく魔物前に姿を出す。

 そして、サニアを振り下ろす。

 魔物はシンに気が付いたが、その時にはサニアの斬撃が魔物に向かって放たれていた。


「シュギャアアア!」


 魔物が声を上げると同時に二つの鋏を前に出しサニアの斬撃を防いだ。

 鋏は硬い所為か傷一つついていない。


「やっぱり硬いな…」


 シンはサニアとイニルを同時に振り下ろす。

 すると、今度は魔物が鋏を使って空中へ跳躍した。

 サニアの斬撃は魔物いた場所に当たる。

 が、イニルは追尾するように魔物へ向かっていく。


「シュルウウウ」


 しかし、魔物は鋏を使ってその攻撃を防いだ。

 イニルの斬撃はサニアよりも威力がある為か少し傷がつく。

 だが、それだけでヒビが入ったり、鋏が壊れたりすることはない。

 それどころか跳躍した勢いそのままにシンへと体当たりしてきた。


「私に任せて!」


 と、今度はレンが遅れてシンの前へ出た。

 そして、リナザクラの扇面で魔物の体当たりを受け止める。

 その瞬間、扇面が白く光り、魔物を向こう側まで吹き飛ばした。


「よし、サレサ!」


 シンがそう叫ぶと、今度は電気を溜めた状態のサレサが飛び出し魔物に向かって放電した。


「シュルウウウウ!!!」


 サレサの電撃が魔物に当たると体から黒い煙を出し痙攣した。

 それから魔物は体をピクつかせながらなんとか動こうとする。


「チャンスだ!」


 シンはイニルを振り下ろす。

 今の状態の魔物であればイニルの攻撃が当たれば切ることができるかもしれない。

 シンはそう考えた。

 しかし、魔物は鋏を使って自分の盾にした。

 イニルの攻撃は魔物の左の鋏に当たり壊した。


「ダメか。なら、もう一回だ」


 シンはもう一度イニルを振り下ろす。

 が、今度は体の痺れがとれていたのか鋏を使って空中へと逃げ、スレスレでその攻撃を避ける。

 そして、空中の魔物は怒りを表すように口からブクブクと泡を見せると、次の瞬間、口から水のビームを出した。


「避けろ!!!」


 シンが叫ぶと三人がそれぞれ適当な方向へ避ける。


「クソっ!大丈夫か?!」


「うん!」


「クア!」


 三人が安否の確認をしたのも束の間。

 魔物がもう一度水のビームを出す。

 物凄い勢いで放出される水は簡単に人ぐらい切断できるだろう。

 実際、先ほどの攻撃でシンの服の一部が綺麗な切り口で切れていた。

 そんな攻撃が今度は弾丸の様にシン達を狙って放たれる。


「このままじゃ躱しきれないな」


 シンは躱しながらイニルを振り下ろす。

 と、同時に魔物の水がシンの肩を掠めた。


「クア!!!」


 シンの攻撃から少し遅れてサレサが電気で魔物に反撃をする。

 イニルの斬撃とサレサの電撃が魔物に向かっていく。

 すると、魔物は何を思ったか、レンに向かって突進した。

 それはイニルの斬撃とサレサの電撃を完全に無視した行動だった。

 その結果、魔物はイニルとサレサの攻撃を喰らう。

 が、魔物はこうなることを予測していた。

 予測した上で突進したのだ。

 魔物は攻撃を自分の鋏で喰らった。

 その瞬間、自分の体から鋏を切り離した。

 そうすることで鋏が自分の盾となった。

 それによって出来た隙で水のビームをレンへ放つ。


「…っ!?」


 レンは咄嗟にリナザクラでその攻撃を受ける。

 扇面に当たり、白い光りを放つ。

 が、水という不安定な攻撃の所為か反射が上手く発動しなかった。

 それによって、レンは壁の方まで吹き飛ばされた。


「レン!くっ…はああああ!!!」


「クア!!!」


 シンとサレサが魔物へ攻撃をする。

 魔物は鋏を失い鈍くなっていた為かその攻撃をもろに喰らう。

 すると、魔物の体は黒い煙を出しながら真っ二つに裂かれた。


「…………レン!!!」


 魔物が動かないことを確認したシンが急いでレンへ駆け寄る。

 サレサも同様にレンの元へ急ぐ。


「レン!大丈夫か?!」


「っ……うん…」


 レンは右肩から血を流しながら言う。


「魔物の攻撃が逸れて肩に当たったか…今すぐ止血するぞ」


「うん。お願い」


 シンは持っていた薬品と包帯を取り出す。


「レンお姉ちゃん、大丈夫?」


「大丈夫よ。だから、そんな顔しないで」


 人の姿に戻ったサレサの心配そうな顔を見たレンが言う。


「よし。少し痛むけど我慢してくれ」


「うん」


 それからシンはレンの傷口に薬品を垂らす。

 レンは痛そうな反応をするもそれを我慢する。


「……」


 サレサはそれを不安そうに見つめる。

 と、次の瞬間、ゴオオオという大きな音と共に揺れが発生した。


「おおっ?!なんだ!?」


「わあ?!」


 シンとサレサはバランスを崩し膝をつく。


「これ、この床が動いてる」


「何?!」


 レンに言われ、シンは周りの状況を見る。

 すると、壁の模様がどんどん変わっていく。

 それは床が移動しているからだろう。


「まずいな。早く包帯を巻こう」


「うん。お願い」


「周りが私が見ておくね」


「ああ。頼む」


 それからシンはレンの包帯を巻き、サレサが周りの警戒をした。

 この床はどんどん上へと向かっているらしく、シンがレンの包帯を巻き終える頃にようやっと止まった。


「よし。これで大丈夫な筈だ」


「ありがとう」


「……シンお兄ちゃん、レンお姉ちゃん。アレ!」


「どうした?」


「……」


 三人の目線の先には異様な雰囲気を放つ人型の石像があった。

見てくれてありがとうございます。

気軽に感想や評価、ブックマーク等をして下さい。嬉しいので。

週1〜3投稿予定。

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