107話 狙撃者
「おい、レン。大丈夫か?」
シンはいつものようにレンに手を差し出す。
「天井が見えないんですけど…」
「ああ…そうだな」
上を見ても辛うじて天井のようなものが見えるだけだった。
「これ私に対する嫌がらせか何かなの…」
「まあ、大丈夫だって。落ちそうになったら俺が助けるからさ」
「そうは言っても、私、足が竦んで動けないよ?
「レンは高いところがダメだからな。……よし」
「ん?えっ?!ちょっ、ちょっ、ちょっと!?」
シンは困惑するレンに構わずお姫様抱っこする。
「まさか…」
「ここにいて何かあってもどうすることもできないからな」
「私の話聞いてた?」
涙目になりながら訴えるレン。
そんな弱い姿を見たシンは内心ドキッとした。
「あ、ああ。まあ、俺に任せろ。サレサ、行くぞ!」
「クア!」
シン達は動いている石の床へと飛び移る。
「これ、落ちたりしないよね?壊れたりしないよね?」
「ん?さあ?どうだろうな。壊そうと思えば壊せるんじゃないか?」
「う、嘘でしょ?」
「よほどのことがない限り大丈夫だろ」
「どうしよう…どうしよう…わあっ!?」
シンはレンに構わずどんどん上へ向かっていく。
「ここからは慎重に進んでいくか。落ちたらやばそうだし」
「お願いします。落ちないでください…お願いします…」
レンは恐怖から祈ることしかできなくなっていた。
「サレサ、何かあったら知らせてくれ」
「クア」
それから三人は動く床を使って上へ上へと向かっていった。
その道中、ふと横を見てみる。
どうやら壁は石で出来ているらしい。
窓のようなものはなく、壁のみで殺風景だ。
「結構上まで続いてるな」
「クア」
「お願いします…」
「おい、レン。いつまでその呪文唱えてるんだ?」
「絶対落ちない。大丈夫…」
「こりゃダメだな」
レンの様子を見てシンがそんな言葉を溢す。
「クア!!!」
「どうした?!」
いきなりサレサが声を上げた。
「クア」
「……」
シンはサレサが見ている方向に視線を集中する。
と、上の方。
壁の近くに何かが動いているのが見えた。
「なんだあれ…」
シンは目を細めてよく見ようと試みる。
と、サレサは体に電気を帯び始めた。
シンはそれを見てレンをゆっくりと床に下ろしサニアとイニルを構える。
「魔物か?」
「クア」
サレサが首を縦に振る。
と、次の瞬間、上の方から何かが落ちてきた。
それは小さく、そして、常人には視認することもできない物。
銃弾だった。
それも鉄でできた物ではなく他の何かでできた銃弾。
そこまでは分かった。
が、シンはそんなことはどうでもいいと考えるのを止めてイニルを振り下ろした。
すると、向かってきた銃弾はカンッという音を立てて真っ二つに斬られた。
「銃か。今まで魔物で銃を使ってきたやつはいなかったんだけどな」
「クア!」
サレサが電撃を魔物がいるであろう場所に向かって放った。
しかし、遠すぎる所為か途中で霧散してしまう。
「サレサの電撃じゃ届かないか。なら…」
シンはサニアを魔物がいるであろう場所に向かって振り下ろす。
サニアの斬撃はそこそこの速さで魔物へと向かっていく。
そして、少し時間が経って壁に打つかった。
「外れたか」
と、何かが空中へ飛び出した。
それは上からの光源で陰になっており何かは見えない。
が、翼のような何かを持っていた。
そして、それは何かを構える姿勢をとった。
「まずい!」
シンは咄嗟にサニアをそれに向かって振り下ろした。
と、同時にそれは何かの反動によって体をよろめかせた。
次の瞬間、シンは自分に向かってくる銃弾が見えた。
そして、その銃弾はサニアの斬撃と交差するとそのまま向かってきた。
シンはイニルを構える。
「はっ!」
声と共にシンの視界が影で覆われる。
そして、次の瞬間、持っていた扇子を開き、扇面で銃弾を受けた。
すると、扇面は白く光りを放った。
「シン!受け止めて!!!」
「はいっ!」
シンは言われるがまま手を出して体を捕まえる。
「はあ……怖かった…」
「随分無理したな、レン」
「お荷物にはなりたくなかったからね…」
レンがそう言うと何かが三人の横を通り、凄い速さで下の方へ落ちていった。
「リナザクラの反射で死んだみたいだな」
「そうみたいだね」
「なんか凄い見た目だったな」
「黒い翼に人型の…悪魔みたいな見た目だったね」
「ああ」
「クア」
再びサレサが上の方を見上げて何かを訴えた。
「どうした?…っ!?なるほどね」
自分達より上の方で影が二つ見えた。
「もしかしてさっきの?」
「多分な。ここからだと銃は一方的に撃たれる。早く上に行かないと」
「それはそうだけど…まさか…」
「そのまさかだお姫様。しっかり掴まってろよ!」
「もうヤダ!」
レンはシンを掴む手にギュッと力を入れた。
シンとサレサは素早く動く床を移動していく。
踏み外せば下まで落ちて即死。
だが、そんなことを気にしていないかのように次へ次へと進んでいく。
と、途中で何かが通り過ぎた音がした。
「撃ってきたか。急ぐぞ!」
「クア」
「うう…」
三人は見る見るうちに上へと進んでいく。
「よし。ここならサニアで倒せる」
途中の床でレンを下ろし、サニアを魔物に向かって振り下ろす。
一つ、二つと間髪入れずに数で攻める。
しかし、それに当たらないよう避けながら魔物も反撃してくる。
「クア!!!」
サレサが溜めていた電気を銃弾に向けて攻撃する。
と、電気は銃弾に当たった。
すると、銃弾から銃弾へ伝播するように広がっていった。
やがて、サレサの電撃は魔物まで届き、その体を痺れさせた。
「よくやった!」
二匹の魔物は体が痺れた為落下してきた。
シンはこのチャンスを逃さないようサニアを振り下ろす。
魔物の体はサニアの斬撃によって二つに裂かれ、下の方へと落下していった。
「ふう……これでなんとかなったか」
「クア」
「サレサのさっきの電撃。あんなこと出来たんだな」
「クア」
サレサはまあねという反応をする。
「ごめんね。役立たずで」
「そんなことないだろ?高いところが怖いのになんとかしようと動いてくれたじゃないか」
「クア」
「う、うん」
「さ、早いとこ上まで行こう。またあいつらが出てくるかもしれない」
レンは手に力を入れて顔をシンの胸で隠した。
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週1〜3投稿予定。




