105話 情報収集
シエスタの一日は料理の準備から始まる。
といっても寝る必要はないので一日が始めるという言い方も少し可笑しいが、ともかく、彼女の一日は料理を作るところから始める。
シン達の為の食事だ。
日によって作る料理を変えて栄養が偏らないように工夫する。
三十分ほど経ってある程度準備を終えると今度はシン達を起こしにいく。
まずは、キッチンから一番近いサレサからだ。
「サレサ、朝ですよ?起きてください」
「ん……」
体を揺すり起こそうとする。
が、サレサは寝起きが悪いのかすぐには起きない。
「後でまた来るので起きててくださいね」
「う〜〜ん……」
サレサの適当な返事を聞いたシエスタは次の部屋へ向かう。
「レン、起きてください」
「ん……もう朝…?」
「はい。ご飯の準備ができました」
「分かった。すぐに行く…」
眠そうなレンを見たシエスタは残っているシンの部屋へ向かう。
「おお、シエスタ。おはよう」
「おはようございます」
シエスタが部屋に入るとシンが着替えを終わらせて旅の準備をしているところだった。
「早いですね」
「まあな。少し気合が入ってるからかな」
「……あまり無理をなさらないように」
「ああ」
「ご飯の準備が出来ました。食堂まで来てください」
「分かったよ」
「では」
それからシン達は食堂で朝ごはんを食べ終えるとトレミアムへ向かう為の荷物を纏めた。
「トレミアムは暑いだろうからフードを着けてと…」
転移の塔の中、シン達がフードを着けて暑さ対策する。
「お戻りはいつぐらいになりそうですか?」
「ん〜…何も情報がなければ一日で戻ってくることもあるだろうけどな…ニールのこと。ダンジョンのこと。もし何か分かったらそれで時間を使うことになるから…そうだな、多めに見積もって一週間ぐらいと思ってくれ」
「一週間ですね。分かりました。もし、何かあればいつでも戻ってきてください」
「ああ」
「では、いってらっしゃいませ」
「「「いってきます」」」
そう言って、三人は転移の魔法陣で地上へと移動した。
シンが目を覚ますとまず気付いたのはその暑さ。
自分の肌が焼けるような暑さが肌を包んだのだ。
今までは空にいたからか暑さは感じなかった。
それどころか少し寒いぐらいだった。
だが、ここは違う。
急激な気温の変化。
「あづい……」
サレサはトレミアムについて早々そんなことを口にした。
「ここがトレミアムか…」
シンが目にしたのは白の石で造られた家々。
ドーラで目にした物と同じだ。
恐らくここらの気候に適しているからだろう。
シンはそう思った。
「ドーラよりも暑いかもね」
シンの後ろ、少し下の方向から声がした。
「そうだな。大丈夫か?」
そう言ってシンがレンへ手を差し出す。
「うん。ありがとう」
レンはシンの手をとって立ち上がる。
「さてと、これからここで聞き込みをしよう。情報収集だ」
「うん」
「は〜い」
三人は歩き出した。
トレミアムは周りを砂漠に囲まれている町だ。
昔はここに町はなかったがオアシスがあった為住む人ができ、それから少しづつ発展していき今のトレミアムになった。
なので、地面は砂でできているところが多い。
「少ししか歩いてないのにすぐに喉が渇くね」
「ああ」
「ここはどうしてこんな暑いの…」
水を飲みながらそんな愚痴を溢す三人。
「とりあえず、少し聞いてみたがめぼしい情報はなしか…」
「まだ、聞き始めたばっかりだしね。これからもう少し色んな人に聞いてみて、その後にご飯が食べられるところで休憩がてら情報も集めよう」
「そうだな」
「賛成!ご飯、ご飯!」
サレサは目を輝かせていた。
それからも三人は色んな人に話を聞いた。
赤髪の男を見なかったか。ダンジョンがどこにあるか知らないか。変わった剣を腰に下げた者を見なかったか。
色々な聞き方をしたが特にこれといって情報は手に入らなかった。
「ここもダメか」
「もうそろそろお昼が終わっちゃうし、休憩がてらご飯を食べに行こうか」
「うん!」
「…サレサもお腹が空いてるみたいだしな。行くか」
「やった〜」
三人は聞き込みをしている時に見つけた飯屋まできた。
中に入り、店員に案内された席へ座る。
そして、各々食べたいものを注文した。
「以上でよろしいですか?」
「はい。あと、少しお聞きしたいことがあるんですけど…」
「はい?なんでしょうか?」
「実は私達人を探してて、赤髪の彼に似た男を探してるんですけど」
「ん……」
若い女性の店員はシンの顔をまじまじと見つめる。
「ごめんなさい。分からないですね」
「そうですか。あと、この辺りにダンジョンがあるかも聞いてるんですけど」
「ダンジョンですか?それなら少し知ってるかも」
「本当ですか?」
「ようやくだな」
「うん」
シンとレンは顔を合わせる。
サレサはその間水をガブガブ飲んでいた。
「うちにくるお客さんにたまにダンジョンの話をする人がいるんです。その人の話だとそのダンジョンは消えたり、現れたりするらしくて、私も詳しくは知りませんけどその他にもそういう話をする人がいるので多分本当なんだと思います」
「消えたり、現れたりか…何か条件でもあるんだろうか」
「それってどの辺りかって分かりますか?」
「えっと、確かここから北の方に行ったところだったと思います」
「分かりました。ありがとうございます」
「いえ。では、料理がくるまで少々お待ちください」
「は〜い」
「ここから北か。どれぐらいの距離だろうな」
「ここの町の人が見たことがあるってことは凄く遠いわけではないと思うけど、近くもないと思う」
「そうだな。近くだったらもう少しダンジョンについて知ってる人がいてもいい」
「うん。でも、行ってもあるかどうか分からないんじゃどうしようもないかも」
「何か条件があるか、適当なのか…」
シンはそこで考える。
何かいい方法はないかと。
「私だったら分かるかもよ?」
「えっ?本当か?!」
サレサの唐突な発言にシンは驚く。
「この姿の時は難しいけど、あっちの姿だと色々分かることが多いから。例えば匂いとか、振動とか、なんとなくの雰囲気とか」
「そういえば、空中城塞の時も魔物がいる部屋が分かったもんね」
「そう。だから、近付けば何か分かるかも」
「なるほど。だとしたら、行く価値はあるな」
「うん」
「ふふ〜ん。凄いでしょう?」
サレサは自信満々に言う。
「ああ、凄いぞ。これでダンジョンの件はなんとかなりそうだ」
「後はニールについての情報があれば」
「うん。今日はもう少しニールの情報を集めて明日からダンジョンに向けて出発しようと思う」
「分かった」
「うん」
「明日から暑い砂漠の上を歩くことになるからな。サレサ、頼んだぞ?」
「砂漠の上……暑そう…」
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週1〜3投稿予定。




