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シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第二章 七つの罪人編
103/185

103話 お出掛け

 現在、シン達は朝食をとっていた。

 それも、王様達と一緒にだ。

 前回も一緒に朝食を食べたことはあったが、それでもシン達は緊張していた。

 一人を除いては。


「おかわりください!」


「かしこまりました」


 そう言うと、また一人メイドが部屋から出て行った。


「ちょっと、サレサ。食べ過ぎよ?」


「だっておいしくて…」


 スプーンを口に咥えながら上目遣いでレンへ訴えるサレサ。


「だからって…」


 そんなサレサにレンは強く言えない。


「よいよい。美味しそうに食べてもらえて料理長もさぞ嬉しいだろう」


「すみません…」


「サレサちゃんは食べ盛りなのね」


 王妃が微笑みながらサレサに聞く。


「食べれる時に食べておかないと次にいつ食べれるか分からないからね」


「言葉遣い!」


「は〜い…」


 レンに怒られたサレサが少し凹みながら言う。


「ウフフ」


「レンは今日何か予定はありますか?」


 ライラがレンに聞く。


「いえ、特にないよね?」


「ああ」


「うん」


「では、私と一緒に街へ出掛けませんか?」


「街へ?」


「はい。私、お友達と一緒に街へお出掛けるすることに憧れていたんです」


「へえ、そうだったんだ」


「はい!」


 ライラは目を輝かせながら言う。

 その姿は子供が親に欲しいものを買ってもらえることになった感じと似ているかもしれない。

 もう少しで自分が欲しかった、したかったことが出来るという期待のこもった瞳。

 そんな感じだった。

 が、すぐにライラはハッと我に戻る。

 そして、自分の後方にいる人物へ視線を向ける。


「えっと…」


 ライラは言葉を詰まらせる。

 目線の先には昨日も自分を連れて行った婆やが立っていた。


「まあ、今日ぐらいはいいでしょう」


「えっ…?!本当ですか?!」


 ライラは嬉しそうに聞く。


「レン様達はいつもいるわけではありません。お友達も立場上少ない身。ならば、その夢を叶えられる絶好の機会でしょう」


「婆や…ありがとうございます」


「その代わり、今日の勉強の分は別の日に行います」


「そ、そんな…」


「ライラ、諦めろ。これでも婆やはやると言ったら最後までやる。俺も苦労した」


「……はい…頑張ります」


 エルフィンに宥められたライラは観念したのかしゅんとなりながら返事をした。




 それから小一時間後。

 シン達はライラと一緒に街へ来ていた。


「なるほど。街はこんな感じなんですね」


 フードに身を隠したライラがそんなことを言う。

 今は街の大通りを歩いている。

 人、馬車が行き来し活気を感じる。

 たまに露店が店を構え、声をかけてくる。


「ライラは街へ来たことはあるの?」


「はい。何度かですが。でも、そういう時は何かの行事がほとんどでこのように何もない日に街へ出ることはなかったかもしれません」


「へぇ。じゃあ、結構新鮮なんじゃない?」


「はい。今日は私にとって忘れられない日になりそうな気がします」


「じゃあ、そうなるように私達もお手伝いしないとね」


「そうだな」


「うん!」


 レンの言葉にシンとサレサが返事をした。


「ライラ、何かやりたいこととかないの?」


「あります!」


 ということで、ライラが行きたいと行った場所へ移動した。


「ここです!」


「これって…」


「服屋?」


 ライラが指差した場所には立派な服屋が建っていた。

 大きめの窓から中が見える。

 見るからに高そうな感じがする服屋だった。


「ライラは服屋に行きたかったの?」


「実はいつも婆やかメイドにお願いしてるので自分で選んで買ったりしたことがなくて」


「ああ、なるほどね」


「ということで、一緒に服を見ませんか?」


「うん。いいよ。ついでに私達の服も見ておこうか」


「ん?ああ、そうだな。これからいろんな場所に行くわけだし。幾つかあった方がいいか」


「では、入りましょう!」


 ライラが張り切って店の中へと入った。




「はぁ……ほとんど何もしてないのに疲れた…」


 二時間後。

 一足先に店の外へ出てきたシンの第一声はこれだった。


「これでこれからの旅は大丈夫そうかな」


「こんな高そうな服屋初めて入ったけど楽しかった」


「はい!私も楽しかったです。思わず長居してしまいました」


 対して、遅れて店から出てきた女性三人はとても笑顔だった。


「でも、やっぱり店員さんにはバレちゃったね」


「そうですね。まさかあそこまで畏れるとは思いませんでしたけど…」


 店の中に入って少しした頃、試着していた時にふとライラが姿を見せてしまった。

 すると、店員は慌ててライラへ話し掛けた。

 事情が分かった店員はそれからこれ以上ない程丁寧にライラへ接客していた。


「それで、ライラ様の次なる目的地はどこですか?」


「様はやめてください。もう私達はお友達です。シンにサレサ、私はあなた達をそう呼びますのであなた達も私のことはライラと呼んでください」


「…分かったよ」


「は〜い」


「次の目的地は決めてあるんです」


「へえ」


「三人とも、お腹は空いてますか?」


「空いてる!」


 サレサが元気よく返事をした。




 次の目的地へ着いた。

 そこはどこにでもありそうな飯屋だった。


「ここです!」


「これって普通の飯屋だよな?」


「うん」


「スン、スン。美味しそうな匂いがする」


「そうです。ここは普通のお食事処です。でも、だからこそです。私は普段こういうところでは食事ができないので」


「確かにそうだな」


「じゃあ、お昼はここにしようか」


「はい!」


「うん!」


 それから四人は中へと入り、席へ案内される。


「これがここで食べられるご飯の表ですね」


 ご飯の種類が書かれた表を見つめるライラ。

 視線が行ったり来たりして迷っている。


「決めました」


「俺も決めた」


「私も」


「それじゃあ、店員さん呼ぼうか。すみませ〜ん」




「美味しかったですね」


「うん。やっぱりご飯を食べるのは幸せだね」


 満足そうなライラとサレサ。


「それにしても、魚の定食を頼んで味噌汁とご飯でねこまんまにするとはな」


「噂で聞いたことがあったのでやってみたくて…城でやったら絶対叱られるので…」


「だろうな」


「あのライラの婆やさんは厳しそうだもんね」


「はい。でも、いつも私の為に色々尽くしてくれるんです…」


「そうか…」


「いい人なんだね」


「はい。私の大切な人です」


 ライラの言葉にシン達は微笑んだ。


「さあ、次に行きましょう!次はこの街で有名な噴水です」


 ライラは恥ずかしさを誤魔化すように歩き出した。




 シン達はそれからも色々な場所へ行った。

 噴水に歴史館。クレープ屋に公園。

 他にもライラが行きたいと行った場所には行った。

 すると、楽しかった時間はあっという間に過ぎ、赤い夕陽がもうすぐ見えなくなりそうだった。


「そろそろ城へ戻らないとな」


「そうですね」


 ライラが寂しそうな声音で言う。


「今日はどうだった?楽しめた?」


「はい!もちろんです。でも、もう少し時間が欲しいですね」


「きっと、またいつかこんな風に出掛けられるよ」


「……そうですね。また、いつか…」


「ライラ、なんか元気ないね?」


「…少し。でも、大丈夫。今日のことは忘れません」


「そうだな」


「私達も忘れないよ」


「うん」


「三人とも…うん…」


 ライラは目元に少し溜まった涙を拭いた。


「それじゃあ、婆やに怒られる前に戻りましょうか」


 それから四人は王城へと戻った。

見てくれてありがとうございます。

気軽に感想や評価、ブックマーク等をして下さい。嬉しいので。

週1〜3投稿予定。

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