101話 三回目のリネオス
リネオスに向かって数時間が経過した。
シン達はシエスタに案内され管理室の横にある休憩室で仮眠をとっていた。
「シン、レン、サレサ、もう少しでリネオスの上空です」
「ん……」
シエスタが三人を起こすとレンが眠そうに目を擦りながら体を起こした。
「おはようございます」
「おはよう。もう着いたの?」
「はい。後は転移の塔まで移動するだけです」
「分かった。それにしても、サレサもシンもよく寝てるわね」
レンは二人の寝ている姿を見て微笑む。
「そうですね。よほど疲れていたのでしょう」
「そうね。でも、ほら!これからリネオスに行くから起きて!」
そう言ってレンは二人の布団をとった。
「うう…寒いよレンお姉ちゃん…」
「……もう着いたのか…」
二人が目を擦りながら体を起こす。
「はい。改造も終わっているので荷物を置いたり、お風呂に入ったりといったことも可能です」
「お風呂があるの?!」
レンが嬉しそうに聞く。
「はい」
「じゃあ、どうする?各々リネオスに行く準備をするってことでいいのか?」
「そうね…因みにどの部屋を使っていいとかダメとかあるの?」
「基本的に全ての部屋を自由に使っていただいて構いません。どの部屋を自分の部屋にするかは早い者勝ちですね」
「なるほど」
「じゃあ、サレサの部屋もあるってこと?!」
「はい」
「やった〜!見に行こう〜!」
「ああ、ちょっと!」
「早い者勝ちだよ〜〜」
それからレンとサレサが部屋から出て行った。
「呑気だな」
「シンは行かなくてもいいのですか?」
「俺はどの部屋でもいいからな。なんかオススメの部屋とかあるのか?」
「そうですね…」
その後、それぞれ好きな時間を過ごした。
再び三人が集まったのはリネオスへ行く為に転移の塔へ移動する時だった。
「二人とも準備はできたのか?」
「ええ」
「うん!ベッドがふかふかで気持ちよかった」
「そうか」
歩きながらそんな会話をする。
と、三人の前方に石で造られているであろう塔の入り口が見えてきた。
「これが?」
「はい。転移の塔。ここと地上とを繋ぐ場所です」
「これも神器の一部なんだよね?」
「はい。ここにあるものは基本的に全て神器だと思ってください」
そう言うと、シエスタは塔の前で止まった。
「この塔に触れてください」
「塔に?」
「はい。三人の誰かが触れると入り口が開くシステムなんです」
「へえ」
「はい!」
シンが興味を持っているとサレサが勢いよく塔に触れた。
すると、塔の一部が光、中へと入る入り口が現れた。
「なんかシエスタのこともそうだけど、凄いね」
「ああ」
「では、行きましょう」
「行こう!」
それから四人は転移の塔の中へ入る。
中は地面に魔法陣があるだけのシンプルな作りだった。
一応、上へと登ることのできる螺旋階段はあったがそれだけだ。
「ここから地上へ?」
「はい。まずはこの魔法陣の中に入ってください」
そう言われて三人は魔法陣の中へ入る。
「地上へ降りる際、多少の浮遊感がありますので注意してください」
「え?」
レンが声を漏らす。
「因みにここに戻ってくる時はどうすればいいんだ?」
「その時はこれを」
そう言うと、シエスタは銀色のブレスレッドを三人に手渡した。
「これは付けている時に戻りたいと思うだけでここにその信号が伝わるという便利なものです。一応、私が勝手にここに連れてくるということも可能ですが、よほどのことがない限りはそれを使ってください」
「おお〜きらきらしてるね」
「それでは、また後ほど」
「ああ」
「は〜い」
「……」
それからシン、レン、サレサの三人はシエスタの前からいなくなった。
「さて、戻りましょう」
「おおっ…」
少しの浮遊感を感じた後、シンは地面に足をつけた。
「とう!」
「ひぃ…」
サレサは難なく着地したがレンはその場に倒れてしまった。
「大丈夫か?」
「あの浮遊する感じがダメで…」
差し伸べられたシンの手を掴み立ち上がるレン。
「というか、ここって道のど真ん中か…」
シンが周りを見ると、不思議そうにする者や驚いている者がいた。
「さっさと王城まで行った方が良さそうだな」
「王城!」
「そういえばサレサはまだ行ったことなかったな」
「うん」
「そうか。まあ、入れてくれるだろう。とにかくここだと目立つ。早く行くぞ」
「は〜い」
「うん」
それから三人は王城へと向かった。
門番をしている兵士に話、中へと入れてもらった。
そして、王のいる王の間まで歩く。
すると、そこには忙しそうに兵士と何かを話している国王、リネオス・エルフォードがいた。
「おお、シン、それにレン。よく戻った。しかし、随分と早かったな」
「色々ありまして、ダンジョンでシンが怪我をしてしまって」
「なるほど。では、医者に見てもらうといい。私が手配しよう」
「ありがとうございます」
「うむ。して、そちらの者は?」
「私はサレサ。今、シンお兄ちゃんとレンお姉ちゃんと一緒に旅をしているの」
「そうか。二人の仲間か。では、丁重におもてなしをせねばな」
「いえ、お気になさらず」
「ええ〜せっかくなら美味しいものいっぱい食べたい!」
「こらこら、そんなこと言わないの」
「……」
レンに怒られたサレサが不機嫌そうに頬を膨らませてた。
「ハハハ。よいよい。して、シンよ。兄のニールの件について何か分かったか?」
「いえ、トレミアムに向かったということしか」
「そうか…。私も兵士からそのように聞いていた。まあ、今日のところは体を休み医者に診てもらうとよい」
「はい」
「ふむ。どうしたものか……」
国王は溜め息混じりの言葉を漏らす。
「どうかしたんですか?」
「うむ。実はな、七つの罪人に不穏な動きがあったと報告を受けてな」
「七つの罪人…」
「本格的な討伐隊を組もうと思っているのだ」
「戦うってことですか?」
「そうだ。今までも何度か討伐隊を組もうと思ったことはあったが、奴らの実力を考えると、中々行動に移せずにいた。が、今回、やっと討伐隊を組むことができそうでな」
「そうなんですか」
「ああ、しかし、できれば戦力は多い方がいい。そこで、提案なのだがそなた達、討伐隊の一員として戦ってはくれぬか?」
「私達が?!」
「……」
「そうだ。戦力は幾つあっても困らん。奴ら七つの罪人は全員が神器を持っている。神器には神器を打つけるのが一番じゃ。どうだ?報酬は弾む」
「……二人はどう思う?」
レンはシンとサレサに聞く。
「私は二人についていくよ」
「…俺は…」
シンは言葉を詰まらせる。
「もちろん、ニールの件を優先するというのであればそれで構わん」
シンは考える。
このままニールを追うためにトレミアムへ向かうか、それとも七つの罪人と戦うことを選ぶか。
シンの中ではニールを追いたい気持ちが大きい。
だが、七つの罪人は多くの人を殺し、苦しめる犯罪者だと聞いた。
それを止める為に戦うということは誰かを助けることに繋がる。
だから迷った。どうするべきかと。
「因みに七つの罪人と戦うのはどのぐらい先のことですか?」
「この国の建国祭が終わった後、大体今から一ヶ月後といったところか」
「一ヶ月…」
シンは再び考える。
「…………今からトレミアムでニールの情報を集めてからでも間に合うよな」
「それは、そうかもしれないけど…」
「いや、それだけじゃない。これから先、サレサにも神器が必要だなと思ってな」
「私?」
「七つの罪人が神器を持っているならサレサにも神器があったほうがいいだろ?」
「神器か…」
「……大丈夫?」
レンが心配そうにシンに聞く。
「トレミアムで二ールと神器の情報を集める。悪くないだろう」
「まあね…」
「これからトレミアムに向かうのであればあまり時間がないが向かうのか?」
「早く移動できる手段を手に入れたのでそこは大丈夫です」
「ふむ。因みにトレミアムまでどのぐらいだ?」
「えっと…多分、一日あれば着くと思います」
「一日……ならば大丈夫か」
「はい」
「……もし、そなた達に時間があればでいいのだが、七つの罪人と戦えそうな人物を集めてもらうことはできるか?」
「……戦える人か…」
(神器を持っていそうで戦えそうな人物…グラートは戦えるだろうが、神器を持っていただろうか。あとは…そうだ、確か、レジアルの酒場の店主、コナンが昔はダンジョンを攻略していたみたいなことを言っていた気がする)
「まあ、そなた達が戦ってくれるだけでもありがたいのだがな」
「グラートとかかな」
「そうだな」
「なに、人を集めてもらうのは最悪大丈夫なのだが…どうしても、呼びたい者がいてな」
「ん?」
「移動がそれだけ早いのであれば、できればその者を連れてきて欲しいのだ」
「それは、いいですけど?連れてこないと来ないんですか?」
「そやつは変わり者でな。どうも行動が読めん。手紙は届いていると思うが、来てくれるかは分からん」
「そんな奴がいるのか」
「因みに何処のなんて人ですか?」
「うむ。その者はここより遥か北東の地、グレイシアという国におる。名はゴウキ。その国を治める国王の息子で世界最強と噂される者だ」
「世界最強…そんな人が」
「なんでもダンジョンを一人で幾つも攻略しているらしい」
「ダンジョンを一人で!?それは凄いな」
「できれば奴にも来て欲しいのだがな」
「……少し考える時間をください。これからどうするか決めたいので」
「うむ」
それから三人は前に借りていた部屋を借りて話をした。
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週1〜3話投稿予定。




