内輪もめ
内輪もめ
いつものように、オルハン大佐が任務を告げに来た。なぜかラナの顔はうかがわしくない表情をしている。
「今回の任務は、植民地支配だ。隣国ラマスの北東にあり、我が国アカレファールの南西に隣接するテテオ森林を占領する。」
植民地支配……何だかあまり良い気はしないが、オルハン大佐の命令だ。やるしかない。「植民地支配とか、ダリぃな。」と漏らす剣。「ホントだよ。」とテオス。
テテオ森林を行軍する、精鋭部隊モンシャックス。
ガチャガチャ。……「銃が故障したわ。私、整備するから先に行っててくれる?」「了解先行ってるな。」
……このままここでサボっていようかしら。
銃声。ゲリラ戦開始だ。
ガサッガサッ
相手が飛んで斬り掛かってきた。
「ラマン!先に行き過ぎだ!」その言葉には、いつしかのエニスを思い出す。「ちょっとくらい良いじゃないか、ペオ。」
相手側の戦力が、更に5人駆けつけた。
「ハハッ多勢に無勢ってところか?」とラマン。モンシャックスは囲まれた。
「いやいや、こっちは少数精鋭なんでね。2人も5人も関係ねぇよ!」
「俺達は後から戦うから、まずはお前たちが戦え。」後から来た下っ端らしい5人が一斉に斬り掛かってきた。
テオスが刃で押し合い、斬る。
そのまま剣を背後へ回し、後から振りかぶる敵も、斬る。
エニスもジャンプし勢いをつけ、斬る。
踏み込み胴を突き抜ける。
最後の1人はエニスとテオスの二人で、左右からの回転切り!「ヤッハー。」
相手は切られたところから空中で、鋭角にくの字になり、派手に血しぶきを上げて吹っ飛んだ!
した半分が赤で、白目を剥いた胸像が木にぶつかり、コテンと落ちた。
「まぁまぁやるじゃねぇか。」腕を組むラマン「少なくとも、少しは面白い戦いが出来そうじゃねぇか?」と横目でラマンに問いかけるペオ「フフッ」不気味な笑みを浮かべるラマン。彼も戦闘狂のようだ。
俺はペオってやつを相手する。エニスはラマンを頼む。
ペオ、ラマン。共に華麗なステップでエニスとテオスを翻弄する。
しかし、少しずつ後退するペオとラマン。余裕な表情をしているが、後には木が立ち塞がる。どうするつもりなのか?
ペオ&ラマンは木を蹴り、エニスとテオスの背後に回った。
ペオ対エニス、ラマン対テオス。ん?相手が入れ替わってる。なぜか?ペオとラマンは、器用に、なんの合図もなく、交差しながら背後にバク宙したのだ。
その後の初手は非常に素早かった。シュルシュルと華麗に舞う。今のシンクロで勢いがついたようだ。
クロスバク宙。とでも名付けようか。回避、攻撃、ステータスアップを同時に成し遂げる、あっぱれな連携技である。
クロスバク宙、とてもダサいのでもう使わないかもしれないみたいだけど。
そんなことはどうでもいい、エニスとテオスは、相手は変わっていないはずなのに、二人の不思議なほどの連携で、劣勢気味だ。
「ラナのやつ、まだ来ないのかよ。あいつ体張りたくないだけなんじゃ?」
その瞬間、
テオスの頬をラマンの剣がかすめた「危っ。」
テオスはよろめいた。
テオスはスネから足で薙ぎ払われ、尻餅を着いた。
相手は剣を突きつける。
わかりやすい優と劣だ。「勝負あったりだな。」
しかし、エニスは、ペオの相手をしながら回し切りでラマンを狙った。
油断してたのか、ラマンの頭はアッサリ跳ねられた。
ペオは剣を捨て、ものぐさそうに手を上げた「降参だ。」「随分諦めが早いな。」と呆れるエニス。「頭脳派なもんで、優劣がしっかりわかるんだよね。」
「ラナ、結局何してたんだろうなー。お陰で危ないところだったじゃないか。」「テオスも自分の身くらい守れないと駄目じゃないか。」「しょうがないだろ、そこまで偉そうに言われる筋合いはねぇ!」
「……ラナ、見てくるよ。」険悪な雰囲気から逃げるように、エニスはラナを探しに行った。
「ラナ、ここにいたか。何してたんだ?」「……」「この間の戦闘で、戦いが怖くなったか?」ラナは、静かに目を伏せた。図星だ。
「弱っちい奴め。」
戦争を鎮めるためにこうしてるはずなのに、モンシャックスは内乱状態だ。