恐怖の寒空
恐怖の寒空
エニスは逃げた。仲間を置いて。
軍の正面に行けば命はないし、裏側に回るしかない。帰り道は、テオスが地図を持ってるのでわからない。手探りで生きれる集落等を探すしかない。それまではいつ終わるかわからないサバイバルだ。
逃げた自分をテオスとラナは許すわけがない。エニスに元の場所に戻るという選択肢はなかった。
エニスは森の中へ入った。というか、辺り一帯は森しかない。
もう、行きの道は完全に見失っていた。
歩き続けるエニス。
時間が経った。そろそろ、一休憩したい。歩みを止めれば凍え死にそうだった。幸いなことにマッチを常備していたので、たき火をすることにした。
木は多くあったので、薪を集め、マッチで火を付けた。
エニスはちょうど良いところにあった切り株に座った。
「暖かけーなー。」「剣も暖かさを感じるんだ?」「ああ、そりゃそうだ。お前とあった時、鍛錬されただろ?あん時なんて、滅茶苦茶熱かったからな!」「ハハハ」「ハハハじゃねぇよ!」
火が付いて、焚き火に当っている時、ふと思った。マッチはせいぜい15本程度。これが切れたら、自分はこの過酷な環境で火を起こす術を知らない。余程の運がなければ集落も見つけられず、そのまま凍え死ぬだろうと。
エニスは不安になった。
たき火を終え、エニスは切り株から立った。
何かが見える。
よく見ると、遠くに大きな熊がいた。「ひいぃ、熊デカイな。」
あのまま、もう少し長くたき火をしていたら、熊と鉢合わせていたかもしれない。あの巨体には流石の軍人でも、まず勝てない。エニスはそう思った。
エニスは怖くなった。そして、その場を離れた。
エニスは辺りを見回す。樹木しかない。
とてつもなく寒い。
このままじゃ死ぬ。エニスはそう悟った。
もう、モンシャックスのメンバーに何を言われるかわからないが、そんなことは気にしていられない。エニスは、もと来た道を戻ることにした。
その前に、今日は寝る。戻ったところで地図を持っているメンバーがいないと困るので、エニスは、モンシャックスのメンバーと地図が残っていることを祈った。
翌朝。
エニスはもと来た道を戻る。「戻るんだな。」
幸いなことに、迷わず戻れた。反ラシア基地の金網が見えた。
そこには何と、テオスとラナがいてくれた。
テオスとラナは、作戦の話をしているようだ。一度退避して、再突入したようだとエニスは解釈した。
「テオス、ラナ。」「エニス、ノコノコと戻って来たのか。」やはりテオスはキレている。
「ゴメンな。」エニスは許してくれることを諦めかけていたが、謝った。「テオスは許せないだろうけど、私は一度逃げたから、その気持ちが解るわ。」思いの他、ラナは許してくれた。
「俺は1対1じゃないんだよ……でも、俺とラナだけじゃ金剛寺には勝てないとも思ってた。あくまで許しはしないけど、戦闘に参加するだけしてくれ。」
そうだよな。テオスは許す理由がない。
少し、沈黙の時間が流れた。2、3秒なのだろうが、スローモーションのように長く感じた。
ラナは言った「とにかく、突入するわよ。」
おそらく、対ラシア軍にとって、金剛寺は一番の戦闘力だ。倒さなくてはならない。
モンシャックスは昨日と同じように、特製の手袋を付け、金網を超えた。
するとすぐに、金剛寺が待ち構えていた。
「お主らの目を見るに、またすぐ来ると思っていた。まさか逃げ出した小僧も来るとは思わなかったがな。」
金剛寺は、エニスの胸に向かって飛び膝蹴りをした。エニスはふっ飛ばされた。
「お主、なぜノコノコと戻ってきた?」
エニスはヨロヨロと立ちながら言った。「クッこんな過酷な環境じゃ、逃げても生きれないからだ。」「ふはは、愚か者め。しかし帰ってこれたのは賢い証拠。貴様、愚か者だが正々堂々と勝負がしたい。」
テオスが突っ込んだ。金剛寺は剣を手で受け止めた「秘技、真剣白羽取り!」
そのまま剣をネジ取った。
「我は柔道家。こんなもん使わずとも、素手で良いわ。」
すると、その剣を槍のように投げた。
ラナが危ない!
エニスは、テオスの剣を弾き返した。
剣は回って、地面に刺さった。
すかさずテオスは、剣を回収する。
ラナはこれでもかと銃を乱射した。ドン!ドン!ドン!
金剛寺は避ける。
エニスとテオスは、飛び上がり、天井近くにあるツララを切った。
ズドドドド!
金剛寺は、ツララの餌食になった。
「ラナ、ナイス誘導だ」とテオス。
テオスは言った「なんか、ここまで活躍するされると、ちょっと憎めなくなっちゃうな。ラナも即許しちゃうし、燻ってるの俺だけなんだよ。だから、許すよ、エニス。ラナの顔に免じてな。」
「皆、勝手に逃げてごめん。」エニスは謝った。




