風が吹いたら
風の神が仲間に加わり、3人旅が始まった。
風の神。その名の通り風を司る神。
風は草花の種を運び、時に自然の脅威ともなる。風とは実に気まぐれだ。
そんな風の神石。光とは形が似ている。だが、色が違った。光は黄色。透き通った綺麗な黄色だ。そして風。風の神石は鮮やかな緑色をしていた。
「さぁ!先へ進みましょう!」
風は元気だ。
「歩くのは僕なんですけど・・・。」
「疲れたらいつでも変わりますよ。」
「さすが。光とは大違いですね。」
「なんだと!だったら俺が変わってやる!」
やっぱり二人もいるとうるさい。
まぁ、ほとんどが光なんだけど。
来た道を戻るか。
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二人の協力もあって1日で元の場所まで戻ってこれた。さてと、次はこっちの道だ。
そう言って僕らは次の道に踏み出した。
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アルーフェ港。アルーフェ川と海が交わる所にある村。海と川に囲まれているので、魚介類が美味しい。ここでしか食べられない生の魚も絶品だ。前回の経験を踏まえて、依頼板を見た。この村にはあまり大きな依頼はなかった。あるのもせいぜい荷物の配送くらい。
そんな中一番報酬の良かった依頼。
「飼い猫を探してください。」
そんな依頼を見て風は、
「これにしましょう。これならすぐに終わります。」
と言っている。どうやるのだが知らないがとにかく任せてみる。ここから先は風の自由行動だ。
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依頼主の家。依頼していたのは僕より少し幼い娘だった。
「家の飼い猫がいなくなっちゃったの。探して来て!」
泣きそうな顔でそう言って、手に持った沢山の銅貨を差し出して来た。
「必ず見つけて来ますね。」
「本当ぅ?」
「はい、絶対に。それで、探してる猫さんはどんな感じですか?」
「黒猫。赤い首輪をつけてるの。」
「黒くて赤い首輪をつけた猫ですね?」
「そう。普通の猫よりちょっと小さくて尻尾がクルクルってなってるの。」
「わかりました。必ず見つけて来ますね。」
「お兄ちゃん、お願いね!」
「はい!」
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さてと、さっきの娘の家から離れて風がどうやら探し始めたっぽい。しかし猫のいそうな所には全然目を向けていない。
「こういう所にはいないと思うけど。」
「今は情報収集中です。」
「誰とも話してないけど。」
「ここを通る風に聞いて回ってます。」
神様ってそんなことできるのか、と感心。
確かに人に聞くよりかは早いのかも。
とか考えてたら風がスピードを上げ始めた。
「見つかったの?」
「はい。飛ばしますよ!」
そう言って神は風と成り、人混みを掻き分け、目的の場所まであっという間についてしまった。さすが。風を司る神なだけあるな。
そこにあったのは一つの小屋。ボロボロだ。
「猫は多分ここにいます。入りましょう。」
僕らは中へと足を踏み入れた。