長すぎる一本道
朝。
まだ日は出ていなかった。
それでも目が覚めてしまった。
散らばった荷物を整理して、また一本道をひたすら進む。
朝の森は何かが違った。
朝露のついた葉っぱに飛び立つ鳥。
昼の森とはどこか違った。
そんな森も日が昇るといつも通りだ。
ここは本当に一直線。高低差すらほとんどない。しかし酷いな。舗装はされてはいるが、所々ヒビが入っている。草も伸び放題だ。
……………………………………………………
そんなこんなでついた。少し前から見えていた大きな山。道はあるがここは一直線ではなく、カーブがある。傾斜もきつそう。登れるかな?
「随分と坂がきつそうですね。」
「まぁ。頑張れよ。」
「無責任な・・・。」
「お前がぶっ倒れたら入れ替わるっつー作戦よ。」
「そうですか。」
こいつは本当にあてにならない。
登ろう。光の神なんかに頼らず。
そんな感じで人生初の登山?が始まった。
……………………………………………………
見た目はきつそうだった傾斜も案外楽だった。そしてあと少しで頂上。自然と早足になる。
着いた。
てっぺんだ。
後ろを振り返ると、森がものすっごく小さく見えた。歩いてきた街道も見える。ずーとまっすぐ続いていて、その周りは全部木に覆われていた。
「おおぉ。」
光の神も絶賛?とにかく綺麗だ。
さて今度は降るぞ。前を向き直してわかった。下に何かが見える。遺跡?
……………………………………………………
下についた時、わかった。この遺跡みたいなのは目的の村。見た感じもう数十年はたつだろう。地図から名前が消えていたのも、この村がもう存在しないからだろう。
「引き返しますか?」
「いや、少し変われ。」
言われるようにした。何をするというのだろうか。光は何かを知っているように道を歩いて行った。
「何かあるんですか?」
「・・・」
返事はなかった。
……………………………………………………
光が止まった。
「ここだ。」
そこは光の神と出会った場所に似ていた。
「どうしたんですか?」
またも返事はなかった。
コツコツと像に向かっていく。
「なぁ。お前もわかってるだろう。俺と一緒に来いよ。」
僕に話しかける時とは何か違った。
「やっぱり来ましたね。」
どこからかフフフっと笑い声が聞こえた。
「相変わらず変わりませんね。」
「お前もだよ。」
光とは面識がありそうだった。
「神石を出せ。この体で奴の所へ向かおう。」
「それはあなたの体じゃないはずです。少しその体の主と話をさせてください。」
「ああ。」
なんか話が進む。
「あなた。名前は?」
「ハク・・・です。」
「ふふふ。いい名前ですね。」
「あなたはわたしを受け入れてくれますか?」
「えぇ。まぁ。」
「契約。よろしいですね。」
「はい。」
契約ってなんだろ。光のときはなかったけど。
そしてなんかやってる。
「契約。この神の力、契約者の肉体失われし時まで守り続けるだろう。代償はその体。我の体となれ。」
終わった。契約っていうくらいだからもっと長いと思ってたけど案外あっさりしてた。
「よろしくお願いします。私は風の力を司る神です。名前はありませんので風とでも呼んでください。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「終わったかー。」
「はい。そう言えば光のときって契約してませんよね。」
「今時契約なんぞするのは風くらいだぜ。」
「じゃあなんで・・・?」
「やって見たかっただけです。」
こうして風という仲間が増えた。優しそうな人だ。