間違えないように
朝起きた時には10時くらいだった。
それも神石の中で。
「ヨウ!ねぼすけ。」
「うぅ・・・。」
「宿はもう出たんですか?」
「ああ。あんまりずっといると嫌がられるだろうしな。」
「・・・ですね。」
「とりあえず石に戻ってください。あとは自分で行動しますから。」
返事は無く、自分の体にすぐに戻った。
荷物は昨日準備してあるはず。そういえば地図くれたおじいさん大丈夫だろうか?
まぁ、途中近くを通るから寄ってみようか。
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爺さんは元気そうだった。婆さんも何事もなさそうだった。家は崩れたが村長が使われてない小屋を貸しているらしい。小屋といっても2人では十分暮らせるほどだ。
「わしが頑張って婆さんの為に又、家を建てるぞぉー!!」
「私のために頑張り過ぎて倒れたりしないでくださいね。」
とにかく安心だ。
「こんなお礼しか出来ないが・・・。」
さっきまでの勢いはどこへいったか。
「これでも持っていってくれ。」
そういって紙切れと剣を渡してくれた。
「これでも昔は名の知れた冒険家だったからなぁ。覚えてる人は少ないだろうけどいざとなれば、わしの名前を使いなさい。」
「あっ、あいがとうございます。」
紙切れに書かれていたのはこの爺さんの名前と思われるものだった。
「ガーレット クラフィエス」
「えっとこの剣は・・・?」
「なかなかいい剣じゃろ。持ってきなさい。わしの名前と一緒に出せば知っている者なら力になってくれるだろう。」
「わかりました。色々とありがとうございます。」
「頑張りなさい。神様も。」
神様なんて名乗って無いはず。てか俺が助けたなんていってない。すぐに回復魔術をかけてもらってすぐに帰ったはずだ。
やっぱりこのお爺さんはただ者じゃなかった。
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次の村への街道。
地図には村が書かれている。名前は〜・・・
読めない。汚れていて。
とにかく行こう。今日中に行けるとこまで。
この街道は人が多かった。馬車もよく見たし、冒険者らしき人達もいた。そんな中でも一番多かったのは商人だ。色鮮やかな野菜や綺麗なピンク色の肉、石などを持っていた。
街道は夜になるとそこら中に焚き火がつけられた。みんなここで夜を過ごすみたいだ。僕たちも人がいなさそうな場所を選んで、火をつけた。今晩は持ってきた肉と野菜を少しずつ焼いて食べた。シンプルだけどとても美味しかった。まだちょっと物足りないけど、この後のことも考えてこれぐらいにしておかないと。
夜は何もないから直接地面に寝転んだ。
何人かテントを張っている人もいるが、ほとんどが直に寝ている。
街道の周りには結界が張られてるおかげで魔物や獣はほとんど寄り付かない。
たまに結界の破れた所を抜けてくる奴もいるが、そんな奴らは大したことない。
安心して眠れる。そのまま地面だから体は痛くなるが。
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「うぅ〜ん」
ああ、体が痛い。思った通りだ。
「アアァー。痛えー。寝違えたぁ。」
石の中からも声が聞こえた。
「今日は早いですね。」
「いつもじゃねぇーよ。」
ほっとこう。朝食はいらないな。
今日もひたすら歩く事になるな。
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次の村はいつ着くんだろう。
どんなに歩いても景色が変わらない。
木しか無い。街道もずっとまっすぐ続いてる。さっきから人も減ってしまった。すれ違う人も似たような人たちばかりだ。
もう昼頃だろうな。お昼ご飯でも食べようかな。あまりお腹すいてないけど。
なんて考えていたら次の目的地と思われる村までの看板があった。
「キノ村」
その看板の先には2本の道。そして一本の獣道っぽいとこ。少し迷ったが多分看板の隣の細い方の道だな。行こう。
今回は道を間違えたく無い。あんな森の中をズカズカ進んでいくようなことをしたく無い。大変だったなぁ〜。あの時は。
この調子で行けば次の村もすぐだろう。
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甘かった。道がとんでもなく長い。一直線のはずなのに長い。疲れた。そういえば今日は歩き続けてたんだっけ。早いけど休もう。夕食はまた焼き肉だろう。今日は少し多めに。