8. 語らい
ヒロインと主人公の会話シーン。
投稿が遅れました。すいません。
少し予定が入っていて忙しかったのです。
文章ちょい修正
いつも読んでいただきありがとうございます。
俺は体の上(胸の辺り)に重さを感じて目を覚ました。
なんか、最初は気のせいかと思ってたけど、段々と重みを認識し始めて目を覚ますにいたった。
そして、目を覚まして重さの原因があるであろう方向に視線を向けると、さっき俺が魔力吸収を施した少女がいた。
俺は内心ドキッ!としてしまう。当たり前だ。
こんなにも可愛くて綺麗な寝顔を近くで見たら、そりゃ緊張するし驚きますよ。
だって俺童貞だし?
バイトとかばっかりで彼女いたことないし?
女の子慣れしていない私は、そりゃーもう動揺するわけですよ。
あぁもう可愛いな~。生まれて初めてみた女の子の寝顔が一目惚れした女の子。
俺はなんて幸せ者だろう。
俺は最初幸せなひとときを体感していたが、次第に彼女との戦闘を思い出していき顔を青白くしていた。
そして、思い出した俺は真っ先に左腕を動かす。
左腕がある。おかしい、左腕は戦闘中に切断されたはずじゃ………
俺が寝ている間に腕が治っている。
それに、体中にできた傷がどこにもない。
あれ?なんで俺は無傷なの?
そしてなんで、俺の胸に美少女の寝顔が置かれているの?
俺は膨らんだ疑問で頭を抱えた。
「………どういうこと?」
俺は一人呟く。現在の状況が一切理解できない。
誰か、俺に説明してくれ!
よし!目の前の少女には悪いが起きて貰おうかな。
……………………………………………………………………………………………………………寝顔を頭に永久保存しておこう
「あのぉ~、起きてくださぁい」
「…んっ……う~ん……」
起こすのが申し訳ないと思って、遠慮しがちに声を掛ける。
俺は彼女の肩に手を置いて、体を揺さぶるが小さい反応しか返ってこない。
少し揺さぶりを大きくしてみる。
「あの、起きてください」
「…………んぅぅ……」
少女の目がゆっくりと開いていく。
やっと起きてくれるようだ。
目を開いていく様子を見ていると、彼女の寝むそうな瞳と目が合った。
彼女が起きてからの第一声を呟く。
「………ん。おはよう」
「おっ、おはよう……」
俺は至近距離で彼女と目が合ったために緊張してしまい、少しどもってしまった。
仕方ないだろう!
女の子と至近距離で見つめあう体験なんて初めてなんだから。
この体勢で話すにはちょっと無理があるかも。
俺は彼女に退いてもらうよう提案してみた。
「あのぉ、とりあえず俺の上から退いて貰えると嬉しいかな?」
「…うん…わかった」
彼女に俺の上から退いて貰ったのを確認して、俺も体を起こす。
俺と彼女はお互いに座った状態で顔を合わせることになった。
俺は改めてゆっくりと彼女を見る。
月のように綺麗な銀髪は腰よりちょっと上の位置まで伸びており、スッと通った鼻に、紫と蒼のオッドアイ。
目は眠そうな印象を受ける。身長は戦闘時に見た感じだと150cmちょいぐらい。俺が170cmぐらいだから、組み敷くのに身長差がめんどくさかった。
話し方はちょっと遅め?な感じかな。
俺が彼女の姿に惚れ直していると、彼女が口を開いた。
「ごめんなさい」
「へっ?いきなりどうしたの?」
突然の謝罪に俺は困惑する。
彼女はどうして謝ってるんだろう。
「…だって……あなたを傷つけて殺そうとしたから」
「戦っている間は意識があったの?」
「うん……意識はあったけど、体の制御はどうにもできなかった」
「なら謝らなくてもいいよ!俺が君を助けたくて勝手にやったことだから」
「でもっ……」
「いいのいいの。君を助けられただけで、俺は大満足だから……」
「うぅぅぅ」
俺は彼女を安心させるために頭を優しく撫でた。
彼女は罪悪感で一杯だろうから、気にしないように安心させなきゃ。
なぜか彼女は俯きながら「うぅぅぅ」と唸っていた。
なんだろう、視界に見える耳が少し赤いけど。
どうしたんだろう?俺、なにかまずいことしたかな?
自分よりも年下っぽい慎重や容姿だったから、頭を撫でてしまったけど。
………はっ!? 俺よりも遥かに年上じゃないか!
やばい、怒らせたかも?
俺が怒らせたと思いあわあわしていると、彼女が話始めた。
「……あり…がとう」
「うん。こちらこそありがとう」
「…?、なんで?」
「だって、俺の傷とかを治してくれたのは君でしょ?だったら俺のほうがありがとうだよ。服とかを見ると、一生懸命に助けようとしてくれたんだってわかるから。だから、ありがとう」
「うん………どういたしまして」
「……………」
「……………」
どうしよう。会話が終了してしまった。
次はなにを話せばいいの?
なにか共通の話題を探さなければ。
話題話題話題……
「………名前」
「ん?」
「名前、なんていうの?」
少女は俺に名前を聞いてきた。
確かに俺たちはお互いの名前を知らない。
まずは自己紹介からと相場は決まっていた。
俺は自分の名前を言う。
「俺は藤堂 奏汰。ファミリーネームが藤堂。ファーストネームが奏汰。これで通じる?」
「……うん。カナタ、カナタ…名前はカナタ…」
彼女は何度も俺の名前を繰り返し呟いている。
どうしたんだろう。俺の名前そんなに珍しいかな?
確かに異世界人だから珍しいかもしれない。
「君の名前を聞いてもいい?」
「名前…ない……」
「名前がない?えっどうして?」
「私は魔剣としてしか使われてこなかったから、魔剣、魔剣って呼ばれてた。だから、名前…ない……」
「あぁーなんか…ごめん」
「……謝らなくてもいい。カナタ」
「なに?」
「私に名前……付けて欲しい」
「へっ?」
俺はいきなりの提案で硬直してしまった。
名前?俺が?この子に?
………………………………………………………………………………………………………………………マジで?
「………ダメ?」
彼女は不安げな顔で聞いてくる。
うっ……そんな顔しないでください。
罪悪感が膨らんできます。
彼女の様子から俺が決めないとなんか彼女が悲しむ気がする。
よし、考えろ俺。ここは決めるときだ。
良い名前を考えなきゃ失望されるぞ。
「うーん………」
「…………」
思いつかない!
髪の色から考えるか?それとも目の色から?
うーん、難しい。
この子、可愛いからな。アリスとかどう?
いやいや、他になにかあるだろう。
うーん………
俺は数分間黙ったまま思考し、考えた名前を口にした。
「………サユキ」
「?」
「サユキ、でどうかな?」
「サユキ………、どんな意味?」
「冴えわたる雪と書いて冴雪。鮮やかで澄みとおった雪のように美しく儚い、というイメージで考えた。自分で考えてちょっと恥ずかしいけど、どうかな?」
きゃぁぁぁぁ。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
俺どんだけナルシスト入ってるんだよ。
確かに彼女の雰囲気とか銀色の髪から考えたけども!
剣とかに付ける名前にもいいかな?なんて考えもあったけども!
これは恥ずかしい。
もう、穴があったら全身入りたい!
俺なにナチュラルに「美しい」とかいってるの?
間接的な告白じゃん?
彼女の反応は?
「サユキ………うん、嬉しいぃ」
「お、おう。気に入ってくれたかな?」
「うん。ありがとう、カナタ」
「ど、どういたしまして」
「私の名前、サユキ、サユキ、サユキ………ふふっ」
あら?普通の反応?
それはそれで期待した俺がバカなような……
まぁ、いいか。喜んでくれたみたいだから。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」「くぅぅぅぅぅ」
「「…………」」
あぁ、そういえばお腹減っていたことに気が付いた。
彼女は魔剣らしいけど、お腹も空くんだな。
新しい発見、かな。
「なにか食べようか?」
「……うん」
「あるのはウサギと食べられる木の実4つ。ウサギを半分にして、木の実を2つずつにしようか」
「いいの?」
「うん、いいんだよ。お腹が減るのは仕方ないしね」
「ありがとう、カナタ」
目の前にお腹が減った人がいるのに自分だけ食べるとか。
それ、単に鬼畜じゃん。
それも目の前の子は自分の好きな子。
そんな人に目の前で自分だけ食べるという鬼畜の所業はしたくない。
半分にするのが一番だ。
「よし、火はあるからウサギを裁こうか」
「カナタ…刃物は?」
「えっ、手でやるけど?俺の能力があればたぶんできるけど」
「…………」
「ダ、ダメかな?」
「………『魔剣化』」
「へっ?」
サユキの姿が先ほどの魔剣の姿に変わる。
俺はいきなり魔剣になったサユキに驚いていた。
『使って……』
「えっ、いいの?」
『今刃物は私しかないから』
「なんか、ごめん……」
『うん』
好きな子を料理に使う男。
そして、異世界で初めて使った剣の使い道も料理。
自分が非常に情けないです。
ちなみに、一緒に食べたウサギの焼き身はお腹が減っていたせいか、とてもおいしかったです。
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俺たちは階段を上った先の花畑にいた。
火を扱うのに地下の空間にいるのは煙とかで危ないし。
ご飯を食べたあと、焚き火をしながら俺たちはゆっくりとした時間を過ごした。
俺はこれからのことをサユキに聞いてみる。
「これからサユキはどうする?俺は町を探そうと思うんだけど」
「カナタと一緒に行く」
「まぁ、町までは一緒に行こうか」
「ううん、ずっと一緒にいる」
「ほえ?」
サユキの発言に俺は変な声を出してしまった。
ずっと一緒?あれ、聞き間違い?
「ずっと一緒」
「なんで?」
「……?、契約、したから」
「契約?なにそれ」
「あっ…」
「うん?」
サユキはなにかに気付いた様子である。俺は首をかしげていた。
契約?なにそれ?
聞いたことのない単語を聞いた気がする。
「カナタは私の所有者、つまり契約者になった」
「俺がサユキの契約者?なった覚えがないんだけど」
「カナタが倒れているとき、私が勝手にカナタと契約した」
「どういうこと?」
サユキから契約に至るまでの状況を聞いた。
俺はあの戦闘の後、本気で死にかけていたらしい。
サユキは回復魔法を使おうにも俺から魔力を取られて発動できなかった。
そこで、俺と契約することで俺の魔力を使い回復魔法を使った。
なるほど、俺の体が無傷なのもサユキが回復魔法を使ったからだったんだ。
どう治したかは知らなかったけど、サユキが治してくれたことには変わりないな。
「サユキはいいの?俺がその契約者になって」
「うん、カナタが契約者で私は嬉しい」
「どうして?」
「カナタは私を命がけで助けてくれた。孤独から救ってくれた。これだけで十分」
「俺はたまたま君を助ける能力があっただけの人間だよ?それでも?」
「うん、カナタがいい!」
「そ、そう?ありがとう。そう言ってくれて」
サユキが笑顔で言い切る様子を見て、俺は戸惑いだがらもお礼を言った。
そこまで俺を信頼しなくても。
「契約ってどんな効果があるの?」
「いろいろ。まずカナタと私にパスが通る」
「パス?繋がりみたいなもの?」
「うん。だから、私はカナタの魔力が使えるしステータスもわかる」
俺の魔力は底なしだ。
魔法を使うサユキにとって俺の魔力量はメリットとなるだろう。
「へぇー。他にできることとかあるの?」
「念話で話すこと。あとカナタも初級魔法なら魔剣である私を通じて使える」
「魔法適正0で魔法属性無の俺でも他の魔法が使えるの?」
「うん。カナタが私の習得している魔法を使う形になる。実際に発動しているのは魔剣である私になるけど。詠唱も私のスキル「詠唱破棄」でしなくていい」
「つまり、魔剣状態のサユキを持ってる状態でしか魔法を使えないってこと?」
「そう、私が人族状態のときはカナタは魔法を一切使えない」
「なるほど…」
俺が魔法を習得しているのではなく、あくまで魔法を習得しているのはサユキ。
サユキのは魔法を"操る"。俺のは魔法を魔剣を通じて"使う"。
魔法を使えるのはサユキのおかげか。
これも魔法が使えない俺にとってはメリットになる。
「中級魔法とか上級魔法はどう使うの?」
「中級魔法までなら人族状態の私でも使える。けど、中級以上は魔剣状態じゃないと使えない」
「魔剣のときに自分で使えるの?」
「うん、カナタが私を持っていないと使えないけど。範囲や方向性を指定して使える。例えば、上級じゃないけどエアインパクトを前方に放ちたいとき、
普通なら手か杖みたいな道具を射出方向に向ける必要がある。けど、私はその範囲や方向を自由に指定して射出することができる」
「うーん、ちょっとわかりづらいかも。ちょっと実践してみてくれない?」
「わかった。『魔剣化』」
サユキが魔剣の状態になって出現する。
俺は魔剣となったサユキを掴む。
なんだろう。初めて握ったのに手に馴染む気がする。
これも契約の効果かな?わからないけど。
『エアインパクトを打ってみる。『エアインパクト』』
サユキが魔法名を言った瞬間、俺の前に小さな風の塊が現れ即座にエアインパクトが放たれた。
なるほど、俺が構えなくても魔法が放たれるわけね。
「これ凄いよ。サユキが魔法を使い放題なら、どんな相手にも魔法を使うための動きを見せずに放てる。それに連発したら相手は回避も難しくなる。無敵じゃないか」
『無敵じゃない。使う魔力は私が魔力吸収して自分で保有しないかぎり契約者の魔力を使う必要がある。上級魔法はレベルの高い人族の魔力ではせいぜい3回から5回がギリギリ』
「なるほど。使いすぎたら契約者の魔力が尽きて倒れるわけか」
『だから、私がむやみに魔法を連発すると使い手を戦闘続行不能にしてしまう』
「なら、俺なら大丈夫だな。魔力なら有り余ってるし」
『うん。だから安心して私も魔法を使うことができる。ありがとう、カナタ』
「まぁ、俺は魔力しか突出したところがないしな。サユキの役に立てて嬉しいよ」
どうやら、俺のステータスはサユキの魔法使用と相性が良いらしい。
「俺も魔法を使ってみてもいい?」
『大丈夫。初級なら使える』
「こうか?『エアインパクト』!」
俺は手のひらを前方にかざして先ほどの魔法名を唱える。
すると、俺の手にひらに風の塊が現れ前方に飛んで行った。
「おぉ、これが魔法!なんか嬉しい」
『カナタ、魔法初めて?』
「おう!俺日本から来たからさ。魔法なんて初めてみたよ!」
『ニホン?』
「あっ………」
そうだった。サユキは俺が日本、つまり異世界から来たことを知らない。
これから一緒にいることになったんだ。
サユキには俺のことを教えておこう。
「サユキ、聞いて欲しいことがある」
俺は魔剣化を解いたサユキに、俺の正体や日本のこと、どうして俺がこちらに来たのかを教えた。
サユキは最初驚いていたけど、俺のことや日本について話しているときは興味深々に聞いていた。
「まぁ、俺はこの世界の事をまったく知らない人間ってことになるかな」
「カナタ、寂しくない?」
「寂しい?なんで?」
「だって、ここ日本てところじゃないから…」
「あぁ~、大丈夫。親も13歳の時に事故で亡くしたから一人だったし、異世界もちょっと憧れてた部分もあるし。今はサユキもいて異世界に一人ってわけじゃないから寂しさはないかな。さすがにサユキに会うまでは一人で、魔物もいたから安心できなかったし寂しくもあったけどね」
「カナタ、これからは私も一緒」
「うん。ありがとうな、サユキ」
やっぱり、サユキも長い間一人だったから寂しさがあったんだろう。
そして、俺の今の境遇を考えてしまい、少し感情輸入してしまったのかもしれない。
大丈夫、俺もサユキを一人にしないよ。
俺は内心そう決意する。
「サユキ、これから一緒に旅をしないか?」
「旅?」
「俺さ、異世界に来て綺麗な景色とかを見てさ、旅をしたいって思ったんだ」
「世界を見て回るの?」
「うん。俺さいろいろなものを見ていきたい。そして世界をサユキ一緒に見ていきたいって。そう思ったんだ」
「………」
「だからさ……サユキ、俺と一緒に来てくれないか」
「っ………うん!カナタと一緒に行く!!」
「これからよろしくな!サユキ」
「うん!カナタ」
こうして、俺とサユキは共に世界を回ることを決めたのだった
俺とサユキの顔は笑顔で、そしてこれからの旅が楽しみと言わんばかりに目を輝かせていた。
これから始まるのは、異世界から来た青年と魔剣である少女が出会い、異世界を巡る旅の物語である。
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おまけ
お互いを知るために会話していた俺とサユキは、話を終えた後地下の空間で明日に備え寝ていた。
俺は腕の当たりに違和感を感じて目を開けた。
「っ!?」
そこには俺の腕の上に頭を乗せて寝ているサユキがいた。
いわゆる、「腕枕」状態である。
サユキの存在をものすごく近くに感じる。
(いつのまに腕枕を!………あっ)
俺はいっきに緊張したが、次の瞬間に俺は冷静になっていた。
少しだけ離れて寝ていたが、封印されていた場所だからだろうか。
サユキの目元には涙が少し存在していた。
「………………行かないでぇ……」
「…………」
サユキは寂しさに震えていた。
夢の中で俺が去っていく夢でも見ているのだろうか。
俺は彼女を安心させるためにもう片方の手でサユキの手を握った。
「………ん…」
「大丈夫、大丈夫…」
俺が優しく声を掛け、さらに手を握ったからかな。
サユキの表情が和らいだ気がする。
(大丈夫、これからは俺も一緒だ…)
サユキが寂しさを感じないように手を握りながら、俺は再度目をつむって眠り始めた。
やっと最初の流れを書くことができました。
文章力をもっと良くして読みやすくしなければ。
そう思う、今日この頃。