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魔剣使いの異世界漂流記  作者: 月見なる
第0章 交わった二人の道
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7. 無謀人 vs 魔剣 (魔剣 side)

ヒロイン視点

視点を変えるって難しい。


文章ちょい修正


読んでいただきありがとうございます。

パキッパキパキ、バキン! ガシャーン!!


私はこんな音がして、闇に沈んだ微かな意識を外に向けた。

そこには一人の少年がいた。



(………なんで、ここに?)



確か私は、吸収した狂気の人格となった魔力に乗っ取られて、勇者一行に封印されたはず。

私は先の魔王軍との戦争で魔力を吸収しすぎた。

そのせいか、暴走した私は膨大な魔力故に国を滅ぼせる力を持ち、負の魔力に乗っ取られた。

なので、誰も来ないような場所に厳重に封印されたはず。



私の魔法スキルは8人の勇者一行によって、それぞれ一つずつ封印された。

封印されていない魔法スキルは3つだけど、魔法スキルは1つあるだけでも脅威となる。

危ないに越したことはない。



数千年間封印されてるけど、私の封印を解いていいとは思えない。

封印されている間、私は他の人格に乗っ取られていたので、長い眠りについていた。


そんなとき、聞こえるはずのない変な音が聞こえた。

前方に居るのは丸腰の普通そうな一人の青年。

なにも武器もなければ、強そうな感じもしない。

私を止められるはずがない。


いつのまにか私はスキル「人化」を使っていた。

人化は魔剣ではなく、人族の状態に変身することができるスキル。

制限として、魔法スキルのレベルが半減する効果があるとはいえ、目の前の青年が私に勝てるとは思えない。


「『自己顕現』」


自己顕現。

人族状態のとき、魔剣としての私を使用することができるスキル。

このときの魔剣は、普通の剣としてしか使えないけど、丸腰の相手を殺すのには充分な凶器と成りえる。


自己顕現によって私の手には魔剣が握られる。

他の人格達は前方の青年を認識した。

私を使って戦争中に殺して魔力を吸収した敵は、魔王の配下に成り下がった人間や魔物だった。

だから、それらの人格は普通の人間を殺そうと動き始める。

膨大な記憶から構成された人格によって私は私の制御権を奪われていた。



私の体は勝手に青年に攻撃を開始した。

青年は拳を構えて立ち止まったままの状態。

青年を狙って剣を振ってしまう。


(………ダメ!逃げて!!)


私は必至に祈ることしかできない。

魔剣を振り下ろした後、驚きの光景がそこにはあった。

青年の拳が私が持つ魔剣を弾いたのだ。

ありえない。ただの拳で剣を弾くなんて。


拳を観察すると、若干拳が光っている。

拳の周りには小さい魔力粒子みたいな、小さい欠片のようなものが舞っている。

あれは、魔力障壁?


魔力障壁を作り出して剣を弾いている?

こんなことができる人がいるなんて。

私は攻撃が防がれたことに一瞬安堵した。


しかし、私の攻撃手段は剣だけではない。

私のちょっとした安心は続かない。

私は手のひらを彼に向けて、風の下級魔法「エアインパクト」を発動した。

エアインパクトは近距離で彼に直撃してしまう。

エアインパクトは下級魔法だが、人一人を吹き飛ばす衝撃を生み出すことができる。


案の定、彼の体はエアインパクトによって吹き飛んだ。

壁に背中をぶつけた後、立ち上がり拳を構える姿を見せる彼。

彼の表情は驚きと焦りで一杯だった。


(……やめて!止まって!)


私はどんどん魔法を使って彼を追い詰めていく。

エアインパクトではダメだと「ウィンドブロウ」を発動する。

下級魔法ウィンドブロウは威力は若干低めだが、利点として相手の死角から攻撃を当てることができる。

腕も相手には振っているだけにしか見えないため、相手は横からくる攻撃を認識できない。

つまり、魔法使いとの戦闘になれていない人間には有効な魔法である。


彼の体がウィンドブロウを受けて飛んでいく。

転がる彼は体勢を整えた。

次の瞬間、私は驚いた。


再度風の下級魔法ウィンドブロウで吹き飛ぶと予想していた彼が、いつの間にか私の側にいて私を組み倒したから。

私は魔力を吸い取られる感覚があった。


(魔力吸収!? ダメ、この魔力を吸収したら……)


この魔力を吸収したら精神を乗っ取られる。

私の中の狂気の人格達も吸収されていることを悟ったと思う。

離れるために、下級重力魔法と中級風魔法を使っていた。

お互い、風で違う方向に吹き飛ぶ。

私も彼も吹き飛んで床を転がっていく。


私の体は体勢を立て直していたが、次の瞬間、彼の放った言葉は私の心を動かした。

吹き飛んだ後、数秒後に彼がこう言ったのだ。



「彼女の本来の人格を取り戻す」


私はその言葉を聞いて、凄く嬉しかった。

彼の言葉から、私の状態を把握してくれていることがわかったから。



しかし、私の体は次の攻撃で彼に深い傷を与えてしまっていた。

彼は脇腹を切られて転がっていく。


(……彼を殺さないで!)


私の意思は届かない。

彼をどんどん追い詰めていく。

そして、次の瞬間に事は起こった。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


私の放った魔法は彼の左腕を切り飛ばし、さらには中級魔法をぶつけてしまったのだ。

彼は数秒風で壁に張り付けられた後、下に落ちておく。


(……いや…嫌だ!………いやぁ)


私は今の自分を呪った。

なんてことをしてしまったのか。

彼は死に繋がるダメージを負ってしまった。

もう、彼の命に希望はない。


(なんで、なんでなんで。なんで、こんなときになにもできないの!嫌だ、彼に死んで欲しくない!!

)


私は凄く悲しくなった。数千年の孤独を体験した後に、孤独から解き放ってくれる人間を自分で殺そうとしている。

私を助けようとしてくれているであろう心優しい青年を自分で殺してしまう。

そんなの嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ!!


私の体はトドメをさすべく、彼の方向に歩いていく。

しかし、私は驚いた。








「くそっ……やろぉぉぉぉぉぉ!!!」


いきなり彼は咆哮し、ふらふらと立ち上がる。

その目は諦めではなく、最後の勇気に満ちた強い眼差しだった。


(なんでそこまで……)


私は彼の痛々しい姿を見て懇願する。

もうやめて欲しい。

私にあなたを殺させないで

瞬間、私は聞いてしまったのだ。


「助けるって決めたんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


私はその叫びを聞いた瞬間、嬉しさで心が跳ねた。

彼の体は強い光を放ち始める。

彼は不屈の意志で立ち上がり、私を救おうとする。

しかし、私の体はそんな彼に止めを刺すべく風の中級魔法を放ってしまう。


(…逃げて!!!)


私は彼が動こうとしない様子に絶望した。

しかし次の瞬間、彼の姿が一瞬で消えた。

そして、私の目の前にさっきよりもボロボロになった彼が姿を現した。

移動がまったく見えなかった。


「魔力掌底!」


 気付けば、私は衝撃と共に空中に飛び、空中から下に叩きつけられ、最後の追撃として衝撃を貰った。

そこで、私の意識は闇に落ちていった。





----------------------------------------





(なんだろう、この感じ。重たいものが体から抜けていく感じがする)


なぜか、私は暖かい光に包まれていくような感じがした。

今なにを………


意識が少しづつ戻っていく。

そして、声が聞こえた。


「できれば……少し…話して…みたかった……かも」


私は少しの重さを感じた。

この重さ………

私は…………っ!?


私は先ほどまでの状況を思い出した。

目を開いて体を起こそうとするが、上手く体を起こせない。

私はお腹辺りに視線を向けた。


「っ!?」


そこには先ほどまでの青年が血まみれで倒れていた。

いつのまにか、私の中の形成された人格達や記憶、感情が無くなっている。

私は考えた。私を救ってくれたのはこの青年だ。

その青年が、倒れて死にかけている。

いや、もう死ぬ一歩手前だ。

治療しなくては!


私は、彼の体を細心の注意を払いながら、私の上から移動させる。

私の着ている服や手に彼の血が付くけど関係ない。

私のためにここまでしてくれたのだ。

血が付くのに遠慮はないし、誇らしく嬉しくもある。


彼の体は酷いの一言に尽きる。

全身に傷が入り、左腕が無い。

出血量も多く、後少しで少年の命の灯は消えるだろう。


(運良く、回復・補助魔法は封印されてない。中級魔法までしか使えないけど、しないよりはマシなはず!)


「『ヒール』!」


私は回復魔法を唱える。

しかし、いつまでも回復魔法が発動することはなかった。


「なんで!?なんで!?」


ヒールを連発しても発動しない。

回復魔法がいつまでも発動しないため、声が涙交じりのものになっていく。

私は原因を探るために自分の状態を確認する。

回復・補助魔法は封印されてないはず!

他になにか原因が………っ!


私は魔力が0になっていることに気付いた。

原因は一つ。彼が魔力を吸収したのだ。

彼が私から魔力を吸収し尽くしたということがわかった。

ここで、一つの疑問が浮かぶ。


(……大丈夫なの?あの魔力を吸収して………ううん、大丈夫…)


私はその点は大丈夫だと思っている。

さっき聞こえた声の内容は操られた状態とは考えにくい内容だと思う。


助けたいけど、魔力が無くて回復魔法が使えない。

私は一つの解決方法が浮かんだ。


「……あの方法を使う」


私は覚悟を決めていた。

この方法で彼を救う。

彼がどう思うかわからないけど、私は彼と一緒にいたいと思う。

私をあの悪夢から救ってくれた。命を賭けてくれた。

私を数千年の孤独から助け出してくれた。

それだけで十分。



彼に私の契約者(・・・)になって欲しい。

私の心はそんな気持ちで一杯だった。

彼を見るだけで心が温かくなる。

私は彼の胸に手を置き、そのための言葉を口にする。



「『契約(リンゲージ)』」



手を置いた場所から淡い光が溢れ始める。

光は強くなっていき私たちを包んでいき、強くなっていく光は広い空間をも包んでいった。



彼との間に確かな繋がりを感じる。

なんだかこの繋がりは暖かい気がする。

今までこんな暖かさは感じなかったのに。

契約ってこんなにも幸せを感じるものだっけ?



契約を終えた私はスキル「魔剣化」を使い、魔剣状態になる。

この魔剣状態では、本来の魔法レベルに戻る。

これで、上級回復魔法を使える。


「契約」したので私は彼の魔力を使うことができる。

彼と契約したことで彼のステータスを知ることができたけれど、彼の魔力には正直びっくりした。

人族ではありえない量の魔力だった。

これなら、上級魔法なんて簡単に使える。

私は魔法を使った。


『『リザレクヒール』』


彼が桜色の光に包まれる。

すると、彼の体は欠損から傷まで全てが治っていく。

光が収まると無傷の彼がいた。

私は魔法の効果が終わった後に魔剣化を解いた。


「……よかった」


私はほっとして、ちょっとだけ涙が出た。

これで彼も大丈夫。


そう思った瞬間、大きな倦怠感を感じた。

たぶん、契約の反動だと思う。

私は彼の胸に頭を乗せるようにして横になる。

だんだん眠くなってくる。

眠る瞬間、私はそっと、ある言葉を口ににした。


「………ありがとう」


私は口にした瞬間、今度こそ眠りについた。

ヒロインの口調を自分のイメージ通りに書くのが思い通りにいかない。

文章力を向上させなければ!

そう思う、今日この頃。

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