6. 無謀人 vs 魔剣 (奏汰 side)
ヒロイン(別人)と主人公の戦闘回。
やはり、小説初心者の私にはつらいものがあります。
文章ちょい修正
いつも、読んでいただきありがとうございます。
少女の剣が上段から振り下ろされる。
俺は魔力を籠めた拳で受け流すように剣を弾いた。
キンッ!!
剣と魔力拳がぶつかり、甲高い音が響いた。
少女は弾かれたときに片手を俺にかざして言葉を発した。
「『エアインパクト』」
手の平から圧縮された小さな風が放たれ、俺はその風の塊を近距離で喰らった。
風で吹き飛ばされた俺は後ろの壁に叩きつけられる。
壁に叩きつけられた後、俺の体は下に落ちた。
「ガハッ!」
なんだ、今の!
彼女の手のひらに風が渦巻いたかと思えば、気付いたときには壁に叩きつけられた。
衝突による痛みが少しの間体を支配する。
こんな現象、一つしか考えられない。
これは、確実に魔法だ。それも風属性の
魔法を見てわくわくなんかしてられない。
今このとき、異世界の魔法は俺を殺しにきてる。
「魔法スゲェ!」なんて言ってられるか。
相手は魔法を使える。剣だけに意識を向けていたら魔法にやられる!
俺は次に備えて体を起こし、足にも魔力を付与する。
一応、瞬間加速も用意しておく。
「お前を殺す!俺は勝利をもたらすのだ!!」
少女は連続してエアインパクトを唱える。
俺はエアインパクト群を瞬間加速で横に飛び回避し、魔力拳でエアインパクトを打ち払っていく。小さな風の塊を魔力拳で叩いた後、俺の横を圧縮から解放された風が通っていく。
「なんで俺を殺そうとするんだ!それになんだよ、勝利とかって。説明してくれよ!」
俺は少女に語りかける。
問いかけに答えてくれるとは思っていない。
時間稼ぎのつもりで話しかけた。
しかし、少女は俺の言葉が聞こえてないのか、危ない発現をしている。
「お前がいなければ俺は裏切られることはなかったんだ!『ウィンドブロウ』!」
少女は空いてる腕を横に振り切った。
俺には、少女が空いてる腕を振り回したようにしか見えなかった。
しかし、次の瞬間俺は横から風の衝撃を受けた。
「ぐふっ!」
俺の体は衝撃で横に吹き飛ぶ。
床の上を転がっていく。
風が横から衝撃となって襲ってきた。
これも魔法か!?
俺には少女が普通に腕を振ったようにしか見えなかったが。
俺は転がりながら体を起こして次に備える。
拳や足だけでなく全身を魔力で強化する。
これで、ダメージを軽減できるはずだ。
エリートオークの腕振り回しよりは断然弱い。
最初の壁にぶつかったときは背中に激痛を感じたが。
俺の目的は相手の無力化だ。
そのためには相手の魔法をどうにかするしかない。
剣はどうにかできるかもしれないが、異世界について無知な俺は魔法に対処できない。どんな魔法があるか知らない俺には無理すぎる。
だったらどうするか?
相手の魔力が切れるまで魔法を使わせるか?
無理だ。相手の魔力が尽きる前に俺が死ぬ。
魔力を吸収して相手の魔力を枯らすしかない。
そのためには相手に触れなければならない。
隙をついて相手を拘束してから吸収しなければ。
俺は魔力の消費量を増やし瞬間加速のスピードを上げる。
「ちょこまかと動きおって。『ウィンドブロウ』!」
俺が躱せなかったからなのか、同じ魔法を使ってくる。
その魔法の性質はさっき大体把握した。
腕を振るった方向から風の衝撃がくる。
あの腕が風を操っているんだ。
だったら、腕を振るった瞬間に後ろに回ればいいだけである。
俺は腕が振られた瞬間、彼女の方向に瞬間加速で移動する。
後ろからブン!という風が通過する音がした。
躱されたのが原因か、少女の顔は驚きに満ちていた。
俺は瞬間加速で少女の後ろに回り、腕を取り背中に回し上に持ち上げる。
そして、膝裏を蹴り無理やり床に押し倒す。
俺は少女を床に倒し、力ずくで拘束した。
「『魔力吸収』!」
俺は、魔力吸収を手加減なく使用する。
俺の中に黒い魔力が流れてくる。
--------------------------------------------
「死ね!死ね!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺は槍で鎧を着た男を何度も何度も刺している。槍は男の血で染められており、死体には無数の穴が開いており血が流れ出ていた。
「俺はこの戦争で生き残るんだ!」
俺は叫ぶ。狂ったように。
何人も何人も突き殺しているうちに精神が壊れたらしい。
「いはははは!俺には魔王様がついている!次も殺してや………」
ズシュッ
言葉が途中で中断させられた。
俺の腹から銀や紫、蒼を基調とした剣が腹から生えている。
「お前は………勇…者」
俺は腹から剣を抜かれて、背中を蹴られ地面に倒された。
俺の意識は闇に呑まれていった。
------------------------------------------------
「はっ!?」
今のは! さっきの映像はなんなんだ。
確かに俺は死んで、俺は今生きていて。
俺は焦っていた。
さっきから変な映像や声が見えたり声が聞こえたりしてくる。
それに、なぜか殺意や怒りがふつふつと芽生えてくる。
ヤバい!!
なぜかわからないけど、なにかがヤバい!
俺が意味のわからない映像や感情に混乱しているとき、俺に組み敷かれていた少女が言葉を発した。
「『レビテーション』」
彼女と俺の体が空中に浮かぶ。
初級重力魔法「レビテーション」は自分と半径2mの物体を浮かせる魔法。
重力魔法では初級だが、もちろん奏太は魔法も知らないし空中に浮く体験もしたことはない。
「なっ!?」
いきなりのことで、俺は手を放してしまった。
彼女の手がこちらに向く。
「『ブラスト』!」
彼女の手のひらにエアインパクトよりも濃密度かつ大きい風の塊が生成される。
俺は魔法だと気付き、とっさに魔力で強化した拳を風の塊に叩きつけた。
魔力拳が風の塊に叩きつけられたとき、俺と彼女の体は圧縮から解放された風の風圧に吹き飛ばされた。
空中に浮いていた魔法も解かれたのだろう。
二人とも飛ばされて、床を転がる。
俺は飛ばされたあと体勢を整えながら思考する。
(なんだよ今の。 原因はなんだ!)
俺は、さっきの現象を考察する。
現在も俺は、殺戮に塗れた映像や、殺意や憎悪の感情をフラッシュバックするかのように何度も体験している。
(俺は魔力を吸収しただけ。吸収したら変な映像が……誰かの記憶?……でもなんで………あっ)
俺は知っている。この現象の原因を知っている。
少し前に見たじゃないか。
原因は魔力吸収だ。
魔力吸収のスキル説明には「相手の記憶や強い感情も一緒に吸収してしまう」と書かれていた。
つまり、彼女の記憶や感情を吸い取ったわけだ。
しかし、腑に落ちない。
複数の映像は全て男の記憶だ。
それに、何度か少女が持っている剣を見た。
男の記憶であって少女の記憶ではないはずだ。
(まさか………)
俺は、一つの答えを浮かべた。
もしも、魔力に記憶や感情が宿るとしたら?
悲惨な記憶や感情を見せている原因がドス黒い魔力にあるとしたら?
俺は疑問を確信に変えるため、二つのスキルを起動する。
(『魔力変換』)
俺は黒い魔力を普通の魔力に変換できるかどうかを魔力変換で試した。
「記憶や感情を宿る魔力」を通常の魔力に変換していく。
腕を注視すると、体を流れる黒い魔力が白い魔力に変わっていく。
黒い魔力が白に変わっていくことで、俺に芽生えた殺意みたいなのが薄れていくのがわかる。
やはり、黒い魔力が記憶や感情の原因だ。
さらに、俺はもう一つスキルを使う。
とあるスキルを彼女が持っていれば確信できる。
(『鑑定』)
俺は彼女のステータスを確認する。
============================
<プロフィール(剣状態/人族状態)>
名前:神が創りし魔剣/unknown
性別:女(人族状態)
年齢:unknown
種族:武器/人族
称号:封印されし魔剣、魔王を封印せし魔剣
<能力値>
Lv unknown
攻撃力:unknown
防御力:unknown
魔攻:unknown
魔防:unknown
魔力:499920963
魔法適正:100
魔法属性:火、水、風、土、光、闇、無
回復・補助、重力、空間、時間
<スキル>
「剣術 Lv1」
「火魔法 Lv10」(封印)
「水魔法 Lv10」(封印)
「風魔法 Lv10」
「土魔法 Lv10」(封印)
「光魔法 Lv10」(封印)
「闇魔法 Lv10」(封印)
「無魔法 Lv10」(封印)
「回復・補助魔法 Lv10」
「空間魔法 Lv10」(封印)
「重力魔法 Lv10」
「時間魔法 Lv10」(封印)
「状態異常全無効」
<ユニークスキル>
「契約」「人化」「魔剣化」
「自己顕現」「詠唱破棄」
「魔力吸収」「魔法創造」
「形状変化」
=============================
(見つけた!)
俺は目当てのスキルがあることを確認した。
「魔力吸収」。このスキルが彼女のユニークスキルに存在していた。
それに彼女自身が魔剣らしい。
どうやって人になっているかはともかく、プロフィールから彼女が魔剣であることはたぶん間違いない。
俺は全てを把握した。
なぜ彼女がいきなり襲ってきたのか。
なぜこの黒い魔力を持っているのか。
推測だが、過去に彼女は魔剣としてなにかの争いに使われたんだ。
記憶の言葉から、使っていたのは勇者だとわかる。
そして、殺した者から魔力を吸い取った。
殺された者は皆狂っているか殺すことに執着していた人間であり、魔力を吸収していたことで、そいつらの記憶や感情も一緒に吸い取っていったんだ。
もちろん、人間だけではないだろう。魔物や他の種族もいたと思われる。
一人、一体ならまだ良い。制御できる。しかし、吸い取った人間、魔物等が多すぎたのだろう。戦争みたいなものに参加したのだから、最大でも数百万人、何千万人ぐらいの魔力を吸い取ったに違いない。
これは、魔力保有量の膨大さから推測できる。
負の記憶、感情を含んだ魔力を吸い取りすぎた結果、殺戮の人格達が本来の人格を乗っ取ったんだ。
証拠に先ほど、俺は記憶の人物を一瞬だが自分と思い込んでしまった。
つまり、本来の人格と吸い取った膨大な人格が混雑している状態というわけだ。
原因がわかれば、後は解決だ。
俺は解決手段を持っている。
後はそれを実行するだけだ。
「彼女の本来の人格を取り戻す」
俺は彼女を見据える。
剣を構え、殺意の籠った目を向けてくる。
その苦しみを取り除いてやる。
「やってやる!!」
俺は次の攻撃に備え拳を構える。
魔力を吸収したから、危機感覚えて本気で殺しにくる気がする。
「『ドロウ』!」
台座のあった残骸の石が複数個宙に浮く。
石たちは一定時間空中に浮いていた。
少女が指を鳴らしたと思いきや、複数の石が俺目掛けて飛来してくる。
俺は魔力拳で飛来してきた石を叩き落とし、ときには逸らして対処していく。
対処し終えて落ちている石を足で蹴って彼女に飛ばし返す。
彼女は難なく剣で石を両断し対処した。
剣術Lv1だけど、こんなにも剣の扱いが上手いものなのか?
それとも他人格の経験が生きているのか?
俺が多数の攻撃を無効化し、自分に反撃してくるとは思ってなかったのだろう。
彼女の顔に悔しさがにじむ。
「うぅぅぅぅぅ………『グラビティーボール』!」
紫に怪しく光るボールが彼女の前に現れた。
発射タイプの魔法?
瞬間加速を使って躱すか?
俺が警戒しているとさらに彼女は魔法を連発していく。
「『アームアップ』、『レッグアップ』、『ウィンド』」
彼女の腕と足が淡く光り始めたかと思えば、俺の後ろから強風が吹いてきた。
たぶん、腕と足を強化して、俺を後押しする追い風を発生させたんだろう。
それになんの意味が………っ!
「お?………おぉぉぉぉぉぉ!!」
俺の体が彼女の方向に引き寄せられている。
彼女の方向を見ると、さっきの紫のボールが若干大きくなっていて、足で踏ん張ってもズリズリと体が動いていく。
まさか!?
「体が紫のボールに引き寄せられている!?後ろに瞬間加速で飛ぶしか……っ!?」
俺が後方に飛んだ瞬間、飛んだ瞬間の勢いが風で殺され、体が浮いた状態でボールに引き寄せられていく。
俺は盛大に舌打ちをする。自分の行動の失敗に気付いたのだ。
強い追い風を発生させておくことで、後方への移動を邪魔したのか。
失敗した。そこまで深く考えなかった。
グラビティボールの側には腕と脚を強化して剣を構える彼女。
宙に浮いて引き寄せられていく俺。
やばい!
このままじゃ………
「死ねぇぇぇ!!」
「死んでたまるかぁぁ!」
彼女の剣が俺の上半身と下半身を分断させようと水平に迫る。
さっきの魔法の効果だろうか。彼女の踏込みと剣のスピードが速くなっている。
俺は咄嗟に腹に魔力を籠め、拳で剣を逸らそうと剣に叩けつける。
結果、
「あぁぁぁぁぁぁ!」
剣の軌道をずらすことはできたが、腹を魔力で強化するのが咄嗟すぎて強化が甘く、脇腹を少し切られてしまった。
脇腹が熱い。
グラビティーボールが消え、俺は切られた後、床に転がる。
脇腹に手を当てると、手に血が付いた。
人生初めて、刃物で切られた。
「終わりだぁぁぁぁ!!」
彼女は倒れている俺に剣を刺そうとしていた。
俺は瞬時に横に転がる。
俺の頭があった場所に剣が突き刺さった。
「あぐっ!」
やはり、いきなり激しく動いたからか、脇腹に激痛が走る。
止まるな!俺が止まると彼女を救えない!
俺は立ち上がり、瞬間加速を使って一旦離脱しようとした。
「『スレルド』!」
彼女がなにかの魔法を唱えた瞬間、俺の体が上から押さえつけられた。
たまらず膝をつく。
クソ!重力魔法テンプレの重力強化か。
彼女は俺が膝をついたときを狙い上から剣を振り下ろした。
俺は両方の魔力拳をさらに強化し、交叉させるように防御する。
キンッ!
「んぎぃ!?」
剣を防ぐことはできたが、剣も重力が追加されたのか重さが全然違う。
剣の衝撃が追加され、膝を潰すように下に押さえつけられる。
防ぐことに集中していたせいか、自分に痛みが発生するとは思わなかった。
彼女はもう一度剣を振りかぶる。
魔法による重さが切れた。
俺は瞬時に瞬間加速で彼女の側を離脱する。
結果、彼女の剣を回避することができた。
足と脇腹からの痛みが継続して続いていて上手く集中できない。
「『グラビチェイン』」
彼女は躱すことを見越して、俺の逃げた先に紫の魔法攻撃を飛ばしてくる。
その紫の魔法球は飛んでくる方向が一直線。回避は簡単だ。
俺は体スレスレで避けることに成功した。
このとき俺は油断していた。
後ろに通過していった魔法球は俺の背後で止まり、ボールから飛び出してきた紫の鎖が俺の脚と腕に絡まった。
絡まった部分に重力が追加され、俺は強制的に体勢を崩される。
重力魔法にはこんなのもあるのか!
相手を拘束する魔法があるなんて。
体を力任せに動かすが、鎖から抜け出せない。
「『ウィンドカッター』!」
また初耳の魔法が聞こえた。
今までの風の魔法の条件反射からか体を動かそうとするが、動きを鎖で制限されて身をよじるしかできない。
風切り音が耳に入った。
瞬間、俺の左腕が切り飛ばされ、空中に飛んだ。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
風の刃で俺の左腕が切り飛ばされた。
俺は自分の人生で味わったことのない激痛に叫んでしまう。
視界がチカチカと明滅する。
「んぐっ、んんんん!!、あぁぁぁぁぁぁぁ!」
口からは堪えきれず唾液が垂れることになり、涙が溢れてくる。
左腕があった場所からは絶えず血液が落ちていく。
俺は、痛みに思考が埋め尽くされ、膝をついて痛みを堪えることしかできない。
だから、彼女が魔法を使ったことに気が付かなかった。
「『ブラスト』」
重力鎖が時間経過で消えた瞬間、高圧縮された風の塊が俺にぶつかる。
俺の体は後方に吹っ飛ばされ、壁に叩きつけらたまま残った風圧で壁に押さえつけられる。
ビキッ
俺の体から変な音が聞こえた。
どうやら、どこかの骨が折れたらしい。
風によって壁に縫い付けられていた体が下に落ちる。
俺は落ちるだけでも痛みで気を失いかけた。
やば……い……
このままじゃ………
「これで、勝てる! いひひひ。魔王様に勝利をーーー!」
前方から声が聞こえる。
俺は辛うじて残っていた意識を総動員し、前方を見る。
俺は見てしまった。
彼女の目から涙が流れている光景を。
「くそっ……やろぉぉぉぉぉぉ!!」
俺は叫びながらふらふらと立ち上がる。
全身が痛い。
痛い痛い痛い!!
けど………
ここで………負けてられない
気絶してやるもんか!
一目惚れした相手ぐらい、死ぬ前になんとか助けてやろうじゃねぇか!
「助けるって決めたんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は気合いを入れるために叫ぶ。自分にも周囲にも宣言するように叫ぶ。
俺は目に5000、瞬間加速のために両足に魔力100000ぐらいをつぎ込む。
右の手の平には相手が死なない程度の魔力100ぐらいを籠める。
死ぬか死なないかはわからない。
けど、あれこれ構ってる余裕はない。
「まだ起き上がるのか!?『ストーム』!」
こちらに向けた彼女の手の平から竜巻が発生する。
この体だ、もう構わない。
突っ込んでやる!
俺は足の莫大な魔力100000のうち50000を解放する。
俺の姿がその場から掻き消える。
竜巻の中を一瞬で移動したからか、体中に無数の傷が入った。
彼女の目の前に出た瞬間、足から残りの50000の魔力を移動方向と逆に解放し即席のブレーキ代わりにする。
無理矢理な方法だったからか、体勢をちょっとだけ崩す。
「なっ!?」
俺が一瞬で目の前に現れたことに驚愕している顔を見ることができた。
遅い、俺の新技を喰らいやがれ!
「魔力掌底!」
俺は下から彼女の腹に右の手のひらをぶつけ、魔力を解放する。
瞬間、解放された魔力が彼女の体を空中に飛ばす。
「がはっ!」
「まだだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
まだ気絶には至っていない。
俺は即座に魔力を足全体に魔力を5000ぐらい籠め強化し、空中に飛ぶ。
彼女の少し上の位置に飛び、手のひらに再度魔力を集める。
「はぁぁぁ!!」
魔力掌底を上から彼女に叩き込む。
魔力の衝撃を喰らい、彼女の体は下に叩きつけられた。
「うぐっ!!」
まだだ。まだ気絶してない。
これで最後にしてやる!
俺は魔力を手のひらに集める。
「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺は空中から落下し、勢いのまま彼女に魔力掌底を追撃する。
叩きつけた瞬間、彼女の後ろの地面にヒビが入った。
「がっ!!」
彼女は目を一瞬見開いた後、目を閉じていった。
俺はその顔を見ていた。
やっと、気絶した
一瞬視界が暗くなり、体がふらついてしまう。
なんとか倒れないよう、必至に足を踏ん張る。
「おっと………まだすることが……」
ぼやける視界の中、倒れている彼女の元に向かう。
俺は、最後の仕事を遂行する。
右手を彼女に触れさせる。
「『魔力吸収』!」
俺は彼女の魔力を吸い取っていく。
同時に魔力変換を使用。
嫌な記憶や感情が浮かんでは消えていく。
「もってくれ………俺……」
吸収している間も血が流れ、常に痛みで意識が飛ぼうとする。
俺の顔はたぶん涎や血、涙で凄いことになっているだろう。
もちろん、体も損傷も多いだろう。
吸収量を最大にしているから、あと数分で済むはずだ。
早く、早く………
一秒が長い。終わってくれ。
気を失う前に。
「綺麗……だよ……な…」
俺は吸収しながら彼女の顔を見ていた。
やっぱり、綺麗だよな。
うん、険しい表情が段々と和らいでいくのがわかる。
後少しだ………
出会いが殺し合いになっちゃったけど、普通の君と話してみたかった。
だって、最初に見た眠たげな感じが彼女の本来の性格かもしれないから。
俺はもう、なんとなく限界が近いっぽいから。
俺の冒険は終わりかもしれないから。
「できれば……少し…話して…みたかった……かも」
魔力吸収と魔力変換がやっと終わった。
もう……限界…
俺は彼女の上に倒れ込む。
(………救出……成功…)
俺の意識は倒れた瞬間に途切れた。
私の文章力、大丈夫でしょうか。
戦闘とか他の人はどう考えながら書いているのだろう。
そう思う、今日この頃。