表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣使いの異世界漂流記  作者: 月見なる
第0章 交わった二人の道
4/24

3. 初めての死闘

初めての戦闘回。

頑張って書きました。

ちょっとだけグロ描写入れてみました。


ところどころの文章を変更

オークが棍棒を構えて走ってくる。

オークの目は、獲物を見つけたとばかりにギラギラと輝いていた。

武器も一回り大きい。


(やばい!対抗手段が思いつかない!!)


必死に思考を巡らせる。

後ろは湖、周りは深い森。眼前には自分よりも遥か上位にいる強者。



(逃げ道がない!! 森に入ってもいいけど、動きが制限されて追いつかれる可能性が……)


森の中は不安定な足場だらけで、動きを木や岩で阻害される。制限された速さでは相手に追いつかれてしまうかもしれない。



(行くならオークの後ろの道だけども。隙を窺って逃げるしか………っ!?)



思考に(ふけ)っていたため、いつのまにか相手の位置を忘れていた。

いつのまにか近づいていたオークが棍棒を振りおろしていた。

俺は必死に右に飛んで回避する。


「あぶねぇ!!」


回避行動後、即座に体勢を立て直す。

相手を見ると棍棒を地面と水平に振っていた。

俺は後ろに飛んで回避する。


ッブォン!!


棒が振られた後に発生した風圧を肌で感じ、冷や汗が止まらない。

このオーク、巨体に似合わず武器の振りが早い気がする。



「今だ!」



俺は攻撃後の隙を突いて、舗装されていない道に走った。

しかし、オークは棍棒を切り返し、もう一度水平に振って俺の移動を阻止した。

オークだが頭が良い。俺の退路である道を塞ぐように攻撃してきた。



(逃げられない! 戦うしか選択肢が………)



俺は思考する。この場を生き延びる方法を。


(………『魔力操作』だ! このスキルを使うしかない!!)


魔力残量が少ないけど、それしか俺の武器がない。

俺は魔力を操り、拳に集中させる。

拳が白く光り、白く光る細かい魔力粒子が拳の周りを舞う。

魔力鑑定を常時ONにしているため、魔力の色が白く見えるのだ。


長期戦闘は、魔力枯渇に繋がり、意識喪失状態になる。

そうなったら待つのは死。

目の前のオークに撲殺されて、食われるかもしれない。


「いくぞっ!このデブ野郎!!」


俺はもう一度上段から振りおろされた棍棒をギリギリで避け、懐に入り腹に拳をぶつける。

衝撃で少しだけオークがよろめく。

それでも、オークに致命的ダメージを与えるには遠く及ばない。

オークがよろめいている隙に一旦距離を置く。


500でスカイダイブの衝撃を受け止めることができるのだ。

10ぐらい拳に()めると、拳ではなく、それはれっきとした凶器となる。

しかし、このレベル差。

魔力をちょっと()めるだけじゃ遠く及ばない。



(拳だけじゃだめだ。柔らかそうな腹なのに硬い!これがLv差ってやつか。だったら、腕全体に魔力を籠めてやる!)



俺は魔力の範囲を拳から腕まで広めることにする。

魔力消費量も増やす。一発だ。一発で仕留める!

俺は、拳と腕にギリギリである魔力200をつぎ込むことにした。

これぐらい入れないとあの防御力は突破できない!

魔力消費量からして約一秒。チャンスは一回だけだ。



再度、オークの懐に入り込むため走る。

オークは迎撃のため横に棍棒をフルスイングする。

しかし、攻撃の軌道は予測できる。

振りかぶる予備動作で攻撃が来る方向が見え見えなのだ。

俺は身を低くし棍棒を躱す。頭の上を棍棒が通過し、風圧が髪を揺らす。


「喰らい、やがれぇ!!」


俺は棍棒を振り抜いた後の無防備なオークの腹に魔量を()めた打撃を放つ。

腕まで魔力強化したおかげか、力が強力になり拳が腹に突き刺さった。


突き破った部分から緑の血液が流れてくる。

俺は腹を突き破った後、なにかわからない内臓を力任せにめちゃくちゃにしてやった。



刹那の時間に内蔵をがむしゃらに破壊すると、オークは腕を振り回して激しく抵抗した。

俺は腕に巻き込まれて体を後方に吹っ飛ばされる。

魔力操作も中断された。

やはり、Lvが高いためか、腕の振りまわしだけでも、ダメージがはんぱない。


「がはっ!」


俺はゴロゴロと体を地面に打ち付けた。

体中に激痛が走る。

痛みで意識が飛びそうになった。立てそうにないな、これ。


(…………オークの状態は)


グラグラする視界でオークを見ると腹から液体を垂れ流している。

体がふらふらと揺れており、後少しで倒れそうになっている状態だ。



オークは俺に向かってよろよろと歩いてくる。

体に穴を開けても、内蔵を破壊しても、俺を殺そうとこちらに向かってくるのだ。

殺すことに対する執着心が高い。



(俺が殺されるか、相手が血を垂れ流しすぎて死ぬか…………どっちだ……)



ここで死にたくない。早く倒れてくれ!!

俺は、祈る思いで相手の歩く姿を見つめる。



……ドス…………ドス…………ドス……



少しずつ、少しずつ俺との距離が短くなっていく。


十数秒の後、オークが俺の前に立ち止まり、棒をゆっくりと上に振りかぶる。

俺は死を悟った。俺はここで死ぬんだな。

まだ、なにもしてないっていうのに。


目を閉じて諦めに入る。体を動かそうにも激痛で動かない。

俺はここまでみたいだ。





目を閉じていると、いつまでも攻撃が来ないことに気付いた。

恐る恐る目を開けて前を見た。



そこには、オークが棍棒を上に振りかぶった状態で後ろに倒れていく姿だった。

巨体の体が地に沈み、ズドンと音を立てる。

オークの巨体は動くことはない。死んだのか?


いや、胸の部分が上下しているのが見える。

まだ、生きてるみたいだ。けど、これは倒したと言っていいと思う。

相手が死ぬのも時間の問題だ。



少し見ていると胸部分の上下が無くなった。

どうやら、息絶えたみたいだ。



「ははっ、はははははは」



力が抜けた笑いが口から勝手に出てくる。

俺、勝ったんだ。

圧倒的な死に打ち勝ったんだ。

まだ生きてられるんだ……



気付けば、俺は泣いていた。

殺されなかったことに(すさ)まじい安心感が心を満たしている。


車に轢かれるときは一瞬だった。恐怖よりも先に死がきた。

けど、今回は絶望的な死がゆっくりと向かってきた。

俺の心は絶望と諦めで一杯だったんだ。

その死がいなくなり、俺は生き延びることができたのである。


よかった、本当に。俺はまだ生きていられる。

俺は全身強打による痛みが体から抜けるまで、そのまま目を閉じて休憩することにした。








…………ピン!

レベルが上昇しました。Lv 1 → Lv 9

拙い戦闘回で申し訳ありません。

いろいろ設定を考えながら書いています。


ふと、頭をよぎる。他の人は国の設定とかどうやって考えてるんだろう。

そう思う、今日この頃。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ