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第五章「夢と胸騒ぎ」

          ★第五章「夢と胸騒ぎ」


 

朝──。エリックが起きたのは、午前七時だった。アラームでも、

起こされたのでもなく、急に目覚めたのだ。夢の途中に──。

目をこすって起き上がるとまだ眠い。エリックは必死についさっきまで見ていた

夢を思い出そうとした。確か…、父さんが出てきた気がする。他にもアラン、

セリーヌ叔母さん、叔母さんの元夫、クレイブ。そして見知らぬ青年。夢に出てきた青年は、

穏やかに微笑んでいた。でも、その表情の裏には、悲しみと、切なさが見えた気がする。

セリーヌ叔母さんは…確か…泣いていた。悲痛な声で。そして、誰も彼女を慰めない。

夢に出てきた、エリック自身も。クレイブさんは…どうだったかな…。何か…説教でもするような調子だ。

アランは…。エリックを、哀れそうに見つめていたのかもしれない。いや、怒っていたのか?

そして、父さんは…。笑っていた?泣いていた?どっちだったのだろう。ずっと、ただひたすら、

エリックを見つめていた。父さんの感情は、わからなかった──。

そして、夢に出てきた、エリック自身の感情も。エリックは、これ以上思い出せない、と

わかるまで、ずっとベットで考えていた。何か、大切な夢のような気がする。




やがて、七時半。エリックはベットから起き上がり、顔を洗ってリビングへ向かった。

リビングには、父、デイヴィットと母、マーシーが朝食をとっていた。

「おはよう、エリック。」マーシーはエリックが起きてきたことに気づくと、

あいさつをし、微笑んだ。しかしどうやら、疲れはとれていないようだ。目の下に隈がある。

父さんと一緒だな…。エリックはいすに腰掛けた。当のデイヴィットは、

エリックに気づいていないかのように、藍色の布表紙の本を読んでいる。

まだ読み終わっていないのだろうか?エリックは不審に思った。金曜日も、木曜日も読んでいた。

文庫本サイズのあまり厚くない本なのに…。デイヴィットは本を読むのが早い。時間さえあれば、

一日三冊は読める。一冊の、それも文庫本サイズの本に三日間を使ったりしない。

読み返しているのか?一体何の本を…。エリックは題名がないだけに、どういうものか気になった。

しかし、それと同時に訊いてはいけないような気もする──、というより、訊くのが怖い。

結局、エリックは訊ねなかったが、デイヴィットがその本を読んでいると落ち着かなく、胸騒ぎがした。

朝食のときも、何度も、碇型の首飾りを握り締め、気を静めた。碇を手にすると、落ち着くはずが、

何度握り締めても、効かなかった。それどころか、碇自身が、恐怖を唆している。

エリックの不安は、その藍色の本だけではなかった。ここ最近、デイヴィットの様子がおかしいのだ。

時々エリックをチラリと盗み見たり、みつめたりする。デイヴィットはあまり人と目を合わせない方なのだが、

エリックの目を、じっと見て話すことが多くなった。淡いブルーのかかったグレーの鋭い瞳で、

自分と同じ色の、まだ鋭くはないが、落ち着いているエリックの瞳をまっすぐと見るのだ。エリックはそんな

デイヴィットの態度ひとつひとつに不安が込み上げてくるのだ。それは、マーシーも同じだった。マーシーも

デイヴィット以上にエリックをみつめてくる。前までとは違う、つかれきった顔で──。

ただ、マーシーとデイヴィットの態度が違うのは、この碇の首飾りのことだ。マーシーはそんなことないのだが、

デイヴィットは、毎日エリックの胸に着けている、碇の首飾りを見つめている。

まるで何かを願っているかのように…。

はい、いよいよ次の次です。

だんだんとエリックはデイヴィットの異変に気づいてきています・・・。

後もう少し・・・でやっと始まるのですw

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