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第三章「学校」

★第三章「学校」★


朝、エリックはまだ深い眠りについていた。昨日はつい寝てしまい、

目覚まし時計のアラームのスイッチを入れるのを忘れたのだ。

 「起きなさい、エリック。もう八時だ。学校に遅れるぞ。」いつまでも起きてこないエリックを心配して、

父、デイヴィットがエリックの部屋まで起こしにきたのだ。今日、母のマーシーは、自分の母親の─、

つまり、エリックの祖母の面倒を看にいっているのだ。祖母は風邪をひいた、というわけではないが、

今日はいつも祖母の面倒を見ている妹、エリックの叔母、セリーヌが急用で出かけることになったのだ。

そこで一人きりの祖母の面倒を、マーシーは頼まれたのだ。そのセリーヌは今年29歳で、

一回は結婚したが、そのわずか二年後に離婚してしまったのだ。エリックも、マーシーも

理由は知らないが、どうやら夫のクレイブに原因があるようだ。クレイブの居場所は、

セリーヌにしか、わからないのだ。



エリックが、デイヴィットに起こされ、起きてから、二十分が経った。そのころ、デイヴィットはもう

会社へ行っていて、家にはエリック一人だった。エリックは、起きてからすぐに顔を洗って、

リビングへ行った。テーブルの上には、ラップのかかった朝食が置いてあった。

マーシーが作って行ったようだ。デイヴィットは料理ができなく、エリックは彼が料理しているのを、

数えるほどしか見た事がない。それもマーシーが教えながら、だ。いわゆる不器用なのである。

 時はもう八時十五分になっていた。グズグズしていたら学校に遅刻する・・・。

エリックは、ほとんど味がわからないほど急いで食べ、家を出た。

エリックの家から学校までは、約二五分で着く。学校は、九時には授業が始まる。

彼は走ったり歩いたりの繰り返しで、学校へ向かった。学校に着き、エリックが玄関へ入ったときは、もう

チャイムが鳴っていて、ぎりぎりセーフだった。エリックが教室に入ると、エリックの大親友、

アランが話しかけてきた。

「随分遅かったな、エリック。息も荒いぞ。走ってきたのか?」アランは肩まで届く黒髪を撫でた。

アランの隣には、ケヴィンがいて、どうやらエリックが来るまで、二人で話していたようだ。

「ああ、今日、八時に起きたんだ。合計、五分くらい走ってきたよ・・・。」

エリックは息を切らせながら答えた。「たったの五分かよ、エリック。お前ホント、持久力がないな。」

ケヴィンがちゃかすようにエリックの肩をたたいた。緑の瞳が小さな子供みたいに輝いている。

髪を切ってきたのか、短い茶髪がもっと短くなっている。「余計なお世話さ、ケヴィン。この前、

三人で僕の家まで勉強しに来たとき、君は何分勉強した?五分ですぐ教科書を放り投げて・・・。

持久力がないのはお互い様さ。」エリックは机に通学鞄をおろしながらケヴィンに言い返した。

ケヴィンはやられた、とでも言うように笑っていた。アランは二人の会話を面白そうに聞いている。

エリックは、勉強はアランやケヴィンよりできたが、スポーツは全くと言っていいほどできない。

球技は、アランとケヴィンにつられてバスケットボールが少しできるだけで、

その他は、走る、投げる、蹴る、全部できない。アランは、勉強はエリックほどはできないが、

そこそこの成績をキープしている。顔も整っていて、スーポツも万能にできる。

特にバスケットボールは、クラス一位で、他クラスとの試合のときにはいつも呼ばれている。

ケヴィンは、勉強こそできないが、スポーツはエリックより良く、なにより、足が速い。

前のクラスのときは、ケヴィンもいなかったし、エリックとアランの二人で、いつも行動していたが、

学年が変わり、ケヴィンと同じクラスになったときから、アランはケヴィンと仲良くなり、

そこで、エリック、アラン、ケヴィンの三人で行動するようになった。最初、エリックとケヴィンは

あまり話さず、ほとんどアランが中心だったが、時期に、ケヴィンからエリックに話しかけるようになったのだ。

人見知りのエリックは、仲の良いアランと、ケヴィン以外、あまり他の人に話しかけない。

アランは頼りにされているし、女子にも男子にも人気がある。何よりスポーツができる人は、友達が多いものだ。

ケヴィンも冗談を言ったりして、面白く、人懐っこい性格で友達も多い。三人で友達がこの

二人だけというのはエリックだけだった。

話しているところで九時になり、一時間目の始業のチャイムが鳴ったので、皆それぞれ、

自分の席に戻った。一時限目は歴史で、エリックはまぁまぁ好きな教科だった。

歴史のヘインズ先生は、エリックたちのクラスの担任でもあり、昼休み、時間があるときは

生徒とサッカーなどをしたりして、皆から人気があった。なにより、行動的な人で、

毎月、昼休みの時間を利用して、「皆でスポーツ大会」などというものを企画する。

勿論、題名が“皆でスポーツ”なので、ヘインズ先生のクラスの人々は

強制的に参加させられるのだ。スポーツが苦手で、嫌いなエリックには、

かなり迷惑な企画だった。 ヘインズ先生は、スポーツが好きな人も、嫌いな人も皆でやって、

好きな人はもっと好きになり、嫌いな人もだんだん楽しくなってくる、というが、

エリックは、これをやることによって、どんどん嫌いになっている。やりたい人だけやればいい、

というのがエリックの考えで、決して自己中心的ということではないが、協調性をあまり

重視する性格ではない。

今、ヘインズ先生の歴史は、丁度アメリカ独立革命のところをやっていた。アメリカ独立革命は、

前の学年のときやったが、より詳しく、今の学年でやっているのだ。

歴史は、いつもと同じく、先生がなにかを付け足すと、生徒がつっこんだり、関係ないことを言ったりして、

話がよく脱線し、結局今日も、アメリカ独立革命の所が終わらなかった。

イギリス人にとっては、ここは早く終わらせたい単元だったのだが・・・。

二時限目は数学で、これはエリックが実技(もちろん、体育だ。)を抜き、一番苦手な教科だった。

数学はマクレー先生で、数学だけじゃなく、コンピューターも教えている。

マクレー先生は、細めの男の先生だ。繊細で、細かく注意ばかりしてしている。

なにより教え方が下手で、本当にわかったか、確かめの問題などをやらない。

教えたらすぐ終わって次の単元、といったかたちだ。これでは、数学が得意になれ、というほうが難しい。

しかし、頭はよく、数学では、次の学年で習うことを少し教えたりするのでためになる。

それにコンピューターの腕もすごい。キーボードは、見ないで打てて、ものすごく早い。

わかりにくく、教えは下手だが、中には、尊敬する生徒もいるのだ。

 二時限目が終わったら、次は国語で、エリックは、国語が一番得意だった。

国語の先生は、ピアソン先生といって、中年の女の先生だった。面白く、生徒の人気も高いほうだ。

なにより、マクレー先生と違い、詳しく教えてくれるし、わからない生徒が一人でもいたら、

もう一度わかりやすく教えるといった、丁寧な人だった。国語は詩をやり、一人ひとり音読で発表した。

四時間目は体育で、エリックの一番、大嫌いな教科だ。体育はサッカーで、

二組のペアをつくり、パスなどの練習をするのだ。エリックはアランと組み、ケヴィンは

ヘンリーと組んだ。ヘンリーはケヴィンの幼馴染で、ずっと一緒に遊んでいたそうだ。

パス練習が終わったら各自、シュート練習をし、最後にゲームをして終わった。

四時限目が終わり、昼休みになったら、

エリック、アラン、ケヴィンで昼食を食べた。ケヴィンは、母親が事故でなくなってしまっていなく、

弁当ではなく、登校中パンを買い、持ってきていつも三人で食べている。

昼食を食べ終わり、休みに入ったら、三人でバスケの話や、マクレー先生の話などをした。

アランはマクレー先生の、数少ないお気に入りの生徒で、よく、コンピューターの話などをしている。

 昼休みが終わったら、五時限目の外国語だった。

(エリックとケヴィンはロシア語、アランは中国語をとっている。)次の時間は

六時限目の科学で、パティックという、高年の男の先生である。

三時、科学が終わり、HRをして、学校が終わった。

エリックはアランと二人で下校をしていて、ケヴィンはヘンリーと帰っている。

アランの家は、エリックの家から七〜九分歩いたところにあって、最初に、アランの家が先に着く。

二人はアランの家で別れて、そこからはエリック一人で帰るのだ。

やがて、五、六分でエリックは、家に着いた。

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