表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/23

第十七章「朝の公園」

★第十七章「朝の公園」★


「ごめ…んね、待たせて、寒かった、よね…?」走ってきて息が

切れているレザックが途切れ途切れに言った。

「いいえ…。」エリックは何か言わないといけない、と思い、

短くそう答えた。実際寒かったが、はい、とも言えずにいいえ、と

答えたのだ。「ごめん、ちょっと待っててくれないかな、息が…、

整うまで…。」レザックはゆっくりと言い、膝に手を付き、息をゆっくりと

吸った。エリックはそんなレザックの様子を観察した。

この人がラルフか──。茶髪に二重の瞼、髪と同色の茶色の瞳…。

なるほど確かに見覚えはある。昨日、ストゥービングという警部が、

エリックにアノ悪魔の様な藍色の布表紙の本を置いてく事を、

必死に拒み続けていた若者。本を置いていくことを拒んだ、ということは

エリックに本を読ませたくなかった、つまり父が放火をしたのだと悟らせたくな

かった、という事だ。イコール良い人、かもしれない。

それでもやはりエリックは自分の散歩に誰かが付いてくる、という事が

気に食わなかった。


「ごめん、もういいよ、えーと、何処行こうか…?」レザックは顔を上げて

エリックに訊いた。「えーと、ラルフさん、僕此処がどこかわかりませんし、

どんな所があるかも知りませんので…。」エリックはコノ人、喋るたびに

謝るな、と思いながらも遠慮がちに言った。

するとレザックは顔を赤くし、手で髪を撫でた。「ああ、ごめんね、

えーと、此処はロンドン市立病院で…、うーん此処の近くには…、あっ!

僕の名前はラルフじゃなくて、レザック=アージェンだよ。あー、ラルフ=

ジョースキーの同僚で、彼が…えーと、急用で来れなくなったから代わりに

来たんだよ、よろしくね。」レザックはそう言ってエリックに手を差し出した。

エリックは怪訝に思いながらも自分の顔の前にある手を握った。

「此方こそ宜しくお願いします、アージェンさん。ええと、

御存知だと思いますが、エリック=マックガフィンです。

この度はご迷惑をお掛けしまして…。」取り敢えず丁寧に返事を返す。

レザックは今時の少年にない丁寧さに驚き、ご迷惑をお掛けしまして、

という部分に苦笑し、エリックが立っているところの後ろを指し、言った。

「えーと、取り敢えず近くの公園へ行こうか。朝だし、あまり人が居ないと

思うから…。」 「はい。」エリックはそう短く答え、公園へ向かった。




ソノ公園は結構広く、犬を散歩させている老人と、分厚い本を読んでいる

青年が居るだけだった。

「取り敢えずあそこのベンチに腰を掛けようか。」レザックは公園に着くとすぐに

真ん中の噴水の近くの茶色の木製のベンチを指差した。

エリックは素直に従い、ベンチに腰を掛け、暫く広い公園を見渡した。

すぐ前には綺麗に水を放っている噴水。エリック達が座っている

ベンチの斜め後ろには、冬のせいか、枯れている木が数本。

コノベンチの斜め右のベンチの下には、誰が置いていったのか、バスケットボールが

置いてある。ソノベンチの前には高めのバスケットゴール。



「何か食べるかい?朝は何も食べていないと訊いたけど…。」エリックが一通り

眺め終わると、レザックが横から声を掛けてきた。「いえ、何も食べたくありませんので…。」

エリックは膝の上で、左腕の関節を右手で支える様に握りながら言った。

遠慮ではなく、事実何も胃に入れたくなかった。「そうか…、なら暫く

此処に座っているかい?」レザックは優しく訊いた。「はい、すみません…。」

エリックは下の乾いた土を見詰めながら小さい声で謝った。


  その十分後、レザックは重く口を開いた。

     「そろそろ、話をしなきゃならない…、あー、君の家に起きた、

                  家事の事で。

   エリック君、君は─、ストゥービング警部が置いていった、

       アノ藍色の布表紙の本を読んだかな…?」

          エリックは左腕を右手でさらに強く握った──。




更新です(●´∀`(●´∀`)

いよいよエリックとレザックのまともな?

会話(というより説明w)が始まりますw

感想、評価ヨロシクですw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ