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第十五章「食堂で」

★第十五章「食堂で」★


「さっきから何考えてんだよ?」イギリス、ロンドン市立病院の食堂で

ナポリタンを注文したものの、一口も手をつけずに物思いにふけている

レザックに、彼の同僚のラルフが、レザックのただ前を見つめている

顔の前で指をパチンと鳴らしながら訊ねた。「えっ何が?」レザックはビックリして

眼を現実世界へと戻した。「いや、こっちが質問してるんだよ…。お前

昨日からずっとソノ調子じゃん。」ラルフは呆れた様に言った。

「その調子って?」レザックは訊いた。だが本当は、ラルフが何を訊きたいのかわかる。

でも、言ったら呆れられそうなので言わないのだ。「惚けんなよ、昨日から何

考えてるんだよ?ずっと上の空で…。恋でもしたか?」ラルフはにやにや笑いながら

訊いてきた。「別に…、ちょっとした考え事さ。」レザックはなんでもないかのように

言い、ナポリタンをラルフの前に押しやった。ラルフは押し付けられたナポリタンを

手に取り、“Thank you”(ありがとう)と礼を述べ、ナポリタンを頬張った。

レザックは彼がナポリタンを頬張っている様子を観察した。

時々思う、彼くらい格好が良くて顔を良ければ言うことないのに、と。

ラルフは何をしていても格好良いのだ。レザックとラルフは警察学校の同期で一緒に

ずっと勉強をしてきたのだ。警察学校での学生時代のときも、ラルフはレザックより

も凄く女性から人気があった。だが、付き合ったことは一回もないらしく、何回も

愛の告白を受けていたが、いつも断り続けていたらしい。(本人証言)

ソノラルフに告白した中には、レザックが心を寄せていた女性もいるのだ。

しかし、何故交際を断ったのか訊いても、ラルフは絶対に答えてくれなかった。


美男って良いよな…。得だよなぁ…、ラルフは男性からも女性からも人気があるし…。

レザックがそう思うときいつもラルフに抱く感情は嫉妬ではなく、羨ましさと尊敬だった。

「で?考え事って何だよ。」ラルフはナポリタンを頬張りながら訊いてきた。

「だから大した考え事じゃないよ。」レザックは顎を手で支えてちょっとクールっぽく

してみた。もしかしたら格好が良く見えるかもしれない。なんといっても自分はいつも

ラルフの近くにいるのだ。周りは比較しているに決まっているし、レザックとラルフを

比べたら絶対皆ラルフに眼が行く。だから少しでも格好を良く見せたかった。

「嘘つくなよ、俺、お前が何考えているか大体はわかるぜ。」

レザックは黒い瞳を光らせて言った。

「じゃあ 何考えているか当ててみてよ。」レザックはそのままの姿勢で言った。

「俺の美貌についてだろ?」ラルフはコーフィーを啜りながら何となく言った。「ハッ?」

レザックは一瞬何を言ってるいるのかわからなくなり、惚けた声を出してしまった。

「ハッって…、まぁ冗談さ。……アノ子の事だろ?」ラルフはズバリとあてた。

「アノ子って?」レザックは惚けた。「アノ病院に居た子。火事にあった…、

エリライグだっけ?」「エリック。」レザックはすぐに指摘した。

「ああ、そうそう。なんだやっぱ彼の事なのか。」

ラルフはにやり、と笑った。「アノ子の何処が気になる?ストゥービング警部に

逆らった事か?まぁアレには俺もビックリだな。物凄く勇ましい子だ。

俺も見習わないとな。で、そのことか?それともアノ藍色の布表紙の本が…。」

ラルフは口を噤んだ。「実際に何処が気になるって事じゃないけど…、

なんだろ、何か彼の事が頭から離れないんだ。」

レザックは正直に答えた。「おっ、恋か?ソノ人の事を意味なしにずっと考えるって事は

恋してるってコトらしいぜ。」ラルフが茶化した。「馬鹿言うなよ…、でもよくわかったね、

僕が彼の事を考えているって。」レザックはラルフの言葉を軽く受け流した。

「ああ、だってお前、アノ子の病室にいたとき、ずっと彼の事を見ているからさ。

それに、あの藍色の本を置いていくのを止めただろ?まぁ確かに俺も反対だが。

しかし、ストゥービング警部には逆らえないよ。しかも臆病なお前が反論するとは…、

だから思ったんだよ、コイツ、余程エリック少年の事が気になっているんだなって。」

ラルフはまたコーフィーを啜りながら言った。「臆病で悪かったね…。」レザックは

ゆっくりと椅子を引いた。「悪かった、怒るなよ、その代わりお前に特別招待券を

やるよ。」ラルフは帰ろうとしたレザックに慌てて言った。「特別招待券?」レザックは

怪訝そうに訊いた。「そう!ところで君はアノエリック少年と話をしたくないかね?」

ラルフは急に偉そうな態度で訊いた。「うーん、まぁ…。ちょっと話をしてみたいな。」

レザックは椅子に座りなおした。「だろう!実は今日、ストゥービング警部から

エリック少年について頼みごとをされたんだ。」ラルフはもったいぶった口調で言った。

「頼みごと?」レザックは興味深げに訊いた。

   「アノ子が病院の外へ散歩したいんだとよ。で、無論アノ弱々しく心の

痛んだ少年を一人で外へ出したら何をするかわからない。そこで彼の付き添いを

ストゥービング警部に頼まれたんだ。」ラルフは眼を輝かせて小さく呟いた。

「なんだって?」レザックは嬉しそうに訊いた。「なっいいだろ?」ラルフは黒い瞳で

レザックにウィンクした。「でも一つ条件があるんだ…。」ラルフはさっきの態度とは

打って変わって暗い声を出した。「条件って?」レザックはラルフの口調に心配になって訊いた。

     「警部に言われたんだ。実はエリック少年に

            アノ火事の事を話さなくてはならない。勿論本の事も。」 

第十五話、後書きの修正です。

第十五話修正前の後書きには、

「次はいよいよ

エリックとレザックの交流の章です。

読んでみてください。」と書かれていましたが、

都合により、交流シーンを第十七話に回したいと思います。

私の頭考ミスで十七話に回してしまったことをお詫び

申し上げます。_| ̄|○

今後このようなミスをしないよう気をつけますので

よろしくお願いします。

今後も【ANCHOR】を是非ご愛読してください。<(_ _“)>

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