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第十三章「心配事」

 ★第十三章「心配事」★

「待てよっ、レザック!」もう夜になりかけた警察署の廊下で、

ラルフが、早足で歩いていくレザックを追いかけている。レザックはさらに

早歩きしたが、(警察署なので迂闊に走れない)ラルフは足が速く、すぐに

追いついてきた。肩を乱暴に掴まれ、仕方なくレザックは足を止めた。

「何?」わざとつけはなしたように言ったつもりだが、やはりレザックの本性で

その声は弱々しくなる。「何って…、なんで怒ってんだよ?」ラルフがやっと

レザックの肩から手を離し、真っ直ぐとレザックを見つめた。黒いきれいな

瞳と整った顔で自分を真っ直ぐと見てくると友人同士なのに緊張してくる。

思わずレザックは眼を逸らしてしまった。「怒ってないよ。でも、ラルフおかしい

んじゃないか?警察署で喧嘩なんて起こして…、ストゥービング警部にバレたら

終わりだぞ?アストアスが絶対バラすよ…。」レザックは心配そうな顔で言った。

「確かにバレたらヤバイだろうけど…、大丈夫さ。それにアイツが悪いし。」

レザックは肩を竦めた。だが眼を見れば絶対に心配なんだってことがわかる。

「バレたら…やめさせられるかも知れないよ…なんで喧嘩なんてしたんだよ?

後の事が考えられなかったのか?」レザックが顔を伏せて言った。またわざと

厳しい口調で。「なんだよ…、俺、お前が馬鹿にされてたからついカッとなって

やったんだぜ…。」ラルフが悲しそうな口調になってきた。いつもとは全然違う。

「そんなの、わかってるよ…。僕だって嬉しかった、ラルフが僕の事想っていてくれて…。」

つい涙声になってしまった。だが、それは心の中の本音であった。

ラルフが自分がどうなるかわかっていてもアストアスに自分のために立ち向かってくれた

事が凄く嬉しかった。しかしそれで嬉しいなんて言ったらあまりにも自己中心的だ。

僕が迷惑をかけたんだから、ちゃんと厳しい口調でそんな事してほしくなかった、というように

怒ればラルフはもうそんな事はしないだろうな。それを後悔したが、あのまま怒って

ラルフを失うのはやはり寂しい。それも充分自己中心的だよな…。

「レザック、ごめんな。」ラルフがいきなり謝って来た。「えっ?ああ、うん。」

レザックは慌てて応えた。今まで自分の心を覗いていてついぼっとしていた。

「お前…、別の事考えていただろ。」ラルフが軽く睨んできた。

「違うよ、同じことだよ。あと、喧嘩の事僕が悪いから、こっちこそごめん…。」

レザックは言い訳をし、すぐに謝った。「いや、俺のほうこそ悪かったよ。

じゃ、俺たち終業時間過ぎたからそろそろ帰ろうぜ!俺先着替えてくるから。」

ラルフは片手をあげレザックを残して更衣室へと向かっていった。

一つ事件は解決し、安心したのだが、まだ心にはモヤモヤが残っている。エリックの事だ。

やはりまだ心配でたまらない。彼はちゃんと寝ているだろうか…、本は読んだのか。

レザックが家についても尚考えているのは、エリックの事ばかりだった。


二章連続でエリックが登場してきませんでした…。

orz

次回は多分登場させるので待っててください!

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