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”写し”の世界とは、俺のいた元の世界のこと。
この魔方陣を解析する前から俺は違和感を感じていた。
それがこの世界には”変化”がないことだった。
科学と魔法の違いはあっても、この400年間に何もなさすぎた。
俺の説明に誰もが言葉を失っていた。
「新しいことを完全に出来なくなるほど強力ではないのです。
偶発的なモノは生まれることができる。
それに…俺に関わった人達はできるようになります。
俺には…この魔法を打ち破る力がある。」
「なぜ?お前にだけ?」
ブルートが鋭い目で見つめながら聞いてきた。
「聖なる槍の力さ。」
「「「「!」」」」
さっきより驚いたみたいだな…みんな。
「実は俺の腹に聖なる槍が刺さっててね…そのせいだよ。」
以前は言葉に出すことも出来なかったが、今は違う。
聖なる槍は、俺の使命を…この世界に俺を連れてきた本当の理由を…教えてくれた。
今では俺の第4の師匠でもある。
「聖なる槍のことは後回しにさせていただこう。
今はあれだ!
あれを俺は壊したい!
そのために皆さんに、力を貸していただきたい。」
「…ふむ、だれが何のためにあれを作ったかを教えてくれぬか?」
「はい、あれを作ったの…神です。」
「…まあ、あれを作るほどだ、神と言われても信じるほかなかろう。どの神だ。」
「アンノルファイ、ハウカッター、魔人の長である月影の女神ルナの親神…時神シン。」
「シン…そのような神がいたとは…いや!ワシは知っておる!」
「…思い出した、俺も。」
「あの魔方陣のもうひとつの効果が自分に関する知識の封印だ…カーリーさん達2人は400年前から生きていたから知っていたはず。」
「歳の話をするでない!」
いて!無言のビシューさんに殴られた。