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猫耳姫巫女と聖なる槍の担ぎ手と  作者: 三歩
暗躍をやめて表舞台でやりたい放題の巻
55/72

7

この大陸には年に数回大型の大風が上陸する。

海上で発生した台風は9時の大地付近から上陸して時計回り、あるいは反時計回りで大陸を横断し3時の大地付近から海上に出て行く。

俺はこれを「天視」の魔法で見ることが出来る。



「天視」の魔法が使える者はそれなりにいるそうだが、衛星からの映像レベルまで視点を上に上げられるのは俺か魔王達なみの魔力が必要だそうだ。

しかも魔王の”力”は細かい制御が難しいそうで「天視」のような高いコントロール技術が必要な魔術は無理らしい…。

テスはできなくて不貞腐れてた…。



まあ、大型の台風が来れば通り道に当たる街や村に被害が起こる。

予見できる以上…見過ごせない。

クーに乗って台風が来るたびにあちこちに知らせて回ったり…。

被害者がいたら救けに行ったり来たり…。

たとえばカタカタ帝国とファイガード王国は仲が良いというわけではなかったりする。

お互いに隙あれば間にある都市国家群を併合しようとしあっている長い歴史があるから。

でも俺は帝国に空から侵入して勝手なことをする。

…普通は怒られるよね。

でも、文句を言われたことはない。

人助けをしてるだけだから?

それとも、民の不況を買うのが嫌なのかな。

まあ、国境も人も魔人もカンケーなくそんなことをいていたら…。

いつの間にかそんな”ご立派な”呼ばれ方をするようになっていた。

初めて人からそう呼ばれたときは恥ずかしくって逃げ出したくなるほどだった。

そうそう、救けた人達や地域からお礼なんて送られてくることもある。

が、俺は一切受け取らない。

俺がやりたいからやってるだけだしー。

ただ、一応ファイガード王国の王族に近い身分なので国の方にお礼の品が届くことがある。

スカルド国王に、どうするー?って聞かれたとき、買い取ったことにして同額の品を贈ったら?この国の特産品とかでって返事をしたら…。

オッケー!だって…本当にノリの軽い王様だよな…。


そしたら商人や生産者が新しい販路ができたってすっごく喜んでくれた。

なので調子に乗って既知のノウハウをちょっとだけレクチャーしたりして…。

と言ってもむこうの学校で習った簿記…お金の計算方法…だけだけど。

そういう概念がなかったのか、ちょっとだけの世間話のつもりがおおごとになったりして。



後々になってこれが俺のキーポイントだったって気づく…。

オレに専門知識がなくて良かった。

概念だけ、システムだけ教えるとあとは実際に使っている人たちが創意工夫して行く。

与えるのではなく自分で気づく、皆で考えていく。

本当に人間て…上向きの生き物なんだなって。




…まあ、そんなこんなでいろいろな方面で、ほんのちょっぴりだけ目立つコトやったりしてた。

これらのすべて、無料でお金をとっていない。

税金で食ってるから、不自由してないし。

まあ、グレンさんからのお小遣いだけだとミルにあんまりいいプレゼントを買ってあげられないってところが多少のネックだが…。

ミルはどっちかっていうと手作りのものを喜んでくれるからまあいいんだけどね…。


最近はクーに乗って空を飛んでいるとみんな手を振ってくれる。

…こそばゆいなあ。

マーフィーと裏から暗躍するつもりだったのに…。

もう目立たないようにするのは無理。



で、開き直ったってわけ。

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