老人の苦悩
31日でこの話しのヤマ場は終了します。
ブルートの部屋でワシは落胆しておる…ふう。
今回の呪いのターゲットは黒髪の少年…今も鏡に映っている…この少年の近くに強い術者の気配を感じていたので呪い返しをして来ることは確実であった。
まさしく見事な手並みの術者によってワシの呪いは返されようとしていたが…その返しの力が霧散したのじゃ。
これほどの術の冴えを見せた術者が失敗したとは思えない…誰かに邪魔でもされたかのう。
こうなればブルートが戻ってこない今のうちに自分で自分に呪いを返すか?
しかし、ブルートに敵対する行動を取るとヤツの氷の呪いが発動する、難儀だことだ。
そんなことを考えているとガチャリと扉が開いた。
やれやれ、ブルートが戻って来たてしまったようだ。
しかも1人ではない、3人の魔人を連れてている。1人は岩蛇殿じゃ。
3人はルーンをびっしり書き込んであるマントを着ている。あれは呪いの力を弱めるものじゃな。
この3人を呪いを返されたときの人柱にする気か…性格悪いのう。
「首尾はどうだ?」
「守護石を使われていてのう…時間がかかっておる。」
「ふふ、呪いを返させるつもりであったのではないか?」
「さて、どうかのぅ?」
「食えんヤツだ…だがもう時間をかけるな。」
やれやれ。
今日はずっと鏡に映る2人の子供を見ていた…。
久しぶりに若い頃を思いださせてもらった…。
死なせとうない…最後の手を使うかのう。
呪いの黒竜を生み出し、今回は呪いの中心となる真音を込める。
このとき真音で隠しながら自らの魂の一部を切り離し埋め込んで送り出す。
魂の一部を”使い捨て”にする非常に危険な術じゃ。
これで氷の呪いから逃れて、一時的に自由な行動ができるじゃろう。
では、いくとするかのぅ。