ブルートの怒り(2)
自分の部屋に戻ったブルートは変身を解いて鏡の前に立った。
私が一番好きなものは自分の美しい姿なのである…いつみてもウットリする。
しかも、この鏡はただの鏡ではない。蛇族の代々の長がその氷の力をつぎ込んで作り上げた魔法の鏡なのである。
もし、この鏡に世界で一番美しい者を写すように言えばその姿を写し出す…それではト・ウ・ゼ・ン!私が映るだけなのでつまらない。
「鏡よ鏡、世界で一番恐ろしい人物は誰だ?」
この問いに対して…私の奸計により大魔王シェリーを捕まえたときから…世界中に火種を撒き散らして争いを耐えないように画策し実行したときから…鏡は私を写すようになった。
そう、私は世界で一番美しく、恐ろしい存在となったのだ!
1ヶ月ぶりに鏡に問いを投げかけたのだが映るのは当然わた…
な・ん・だ・と!!
私は部屋の中にある数体の像のうち、人型の一体に歩み寄った。
「起きろ!」
この者にかけた氷の呪いの半分を溶かした…そうこれは像ではなく氷の呪いで氷漬けにした者達だ。
上半身だけ氷が溶けてその者はゆっくり目を開けた。
「…まだワシは生きておったのか?」
「人間の呪術師…いや呪士よ…あの鏡に映った者を呪い殺せ!できたなら開放してやろう。」
「…ふん、呪いを知らぬ身ではあるまいに!姿だけでも呪いはかけられるが…殺すまでは無理であろうて。」
「…これを使うがいい。これで出来ないとは言わさぬぞ。」
「こっ、黒竜の怨念!」
私が手に持ったカードを見て人間の呪士…呪いを使って相対する者を葬る魔法使い…は声をあげた。
やはり知っていたか…カード魔法の中でもレア中のレアカードのこれを。
このカードは危険すぎるので自分で使うわけにはいかない…そのためにこの呪士を生かして置いたのだ。
呪士にかけた氷の呪いを溶かす…呪い解くわけではない。
「3日以内に結果を出して戻れ。さもなくば氷の呪いがまた発動するぞ。」
呪士を追い出すと鏡の中の人物を睨みつける…生きて私から逃げられると思うなよ!!!