魔法実験を兼ねてのピクニック(4)
なんのためにきたか忘れかけてい
たが、ようやく俺の魔法実験を始めることになった。
えっ、お昼ご飯はどうだったかって?
もちろん美味しかったさ!
ミルの黒ご飯の香ばしい歯ごたえ!
クレアのパスタサンドのまったりとした甘味!
どっちも絶っ品だった!
…もう昔の俺に戻れないのサ。
いつの間にかお昼を随分まわってしまっていた。
今回の魔法は俺の希望をクレアに相談したところ、詠唱魔法の「天視」というものにした。
離れたところを視ることが出来るノーマル系の魔法で、地味だが使える魔法だ。
教えてくれたクレアには「悪いコトに使ったらトンデモナイ呪いをかけてあげる〜♡」って言われている…ブルブル(怖)。あっ、悪用は禁止だ!
「じゃあ始めましょう〜。魔力を紡いで〜。」
クレアの指導を受けて静かに魔力を紡ぐ。
ここでのポイントは魔力量の調節だ。
俺は多く出しすぎる癖がある…よし、これでどうだ。
「いいわよ〜。次は練って〜。」
練るというのは紡いだ魔力を”使う術”に変換する準備のようなものだ。
これは意識上の問題のようなのでうまくイメージ出来ないことが多いのだが…こんなんでどうでしょう?
「う〜ん落第すれすれね〜次はもっと頑張ってね〜。とりあえずそれで行きましょう〜真音のリハーサル〜。」
「【天より…観る】」
「【視る】よ〜!」
魔法の核となる真音は発音とイメージがチョットでもズレると違うものになる…これが1番難しい。
実はここでズルをしている。
真音は”手に入れる”あることをしなくてはならないらしい。
詳しくは教えてもらってないが普通だと真音の【天】と【視】は手に入れるのが難しいらしい。
特に【天】は手に入れるのが非常に困難だと言っていた。
今回にエルフのクレアに手に入れてもらって”譲って”もらったのだ。譲ることが出来る魔法使いは少ないらしい。ミルはズル過ぎるの〜とか言っていたが多少のことは見逃して欲しい。
目標が大っきいんだから時間短縮出来るものはしたいんだよね。
「【天より視る】」
「いいわ~今度は魔力を込めて〜少しづつゆっくりね〜。」
「【天より視る】!」
リハーサルまでは行ったことがあったが、魔力を込めたのは初めてだ。
うまくいけば真音によって魔力は術に変換される…ここで精神を乱すと魔力が霧散して失敗してしまう…慎重に!慎重に!
すると魔力が変換されて半透明の球体がぽんっ!と目の前に現れた…いやったあ!成功だ!
頭の中に映像が浮かび上がる…視点は下向き、今は地面と自分のつま先が見える。
「なんとか成功みたいね〜。制御は大丈夫〜?」
「大丈夫。」
魔力を紡ぐのを忘れないようにしながら球体をコントロールする。
動かせるけどピーキーだな…右に動かした…ややっ!一気に動き過ぎる!
「ぶつけると壊れるわよ〜!上に動かして〜!!」
右に動かしたら思っていたより随分速く動いた。危ない!木にぶつかる!上だ!上!
上にあがった…おお、魔力が結構必要で距離に比例して消耗していく…まあ俺は魔力量チートなのでこの辺りは全然気にならないが…それはいいんだが…。
うーん、これは…大陸が…星が見える…はは…は。
…上がり過ぎたね。