突入!ファイガード城(1)
停戦から10日程すぎた頃、王都ファイガードの様子は沈静化しつつも、大魔王シェリーの封印と停戦に湧いた歓喜の空気と、人柱となったミルフィーユ姫を失ったことを悲しむ空気が混在していた。また、モンスターなどが多く国内に入った事もあり国民に大きな安心感はない。
夜8時をすぎた頃、王城近くにたたずむ3人の人影があった。その内2人は子供なのかもう一人に比べるとかなり身体が小さく感じる。
「…うん、今からがいいと思う。」
「…そうだな、これ以上待ってもしょうがないだろ。」
背の高い男と、女の子が同時に声をあげた。これは真ん中に立っている男の子が「触話」の魔法カードを使って2人に同時に言葉を投げたために起こった事ではたからみると奇妙に見えた。
一瞬、3人で見つめあって笑い合う。
男の子が女の子の方を向いた。
「…うん、頑張るわ!」
男の子から何かメッセージを受けとったのか女の子は小さなガッツポーズを作った。
「よし、じゃあ入れ…しっかり用意してくれよ、悲劇のプリンセス様。」
背の大きな男が両手を広げた。すると2人の子供の姿が掻き消えた…。
「派手に行いくか…。」
そう言うと、その男の姿は闇夜に消えてしまった…。