世界を救った報酬
ここまでで大まかなことはわかった。
あお、大事なことを…一応確認しとこう。
(でさあ、俺、元の世界にもどれる?元の身体に戻れる?)
マーフィーもミルも困った顔をしている。答えを知らないのだろう。
(まあ、そのうち見つかるだろ…。あっそうだミル!)
(ひゃい!)
すごい…滝のような汗を流しながらこっちをみている。このあと俺がなにを言うかわかっているのだろう。
(世界って救われた?)
(…ハイ。)
滝の汗が加速する。
(世界は救った…その代償として元の世界に戻れそうにないし、身体も小っちゃくなった…。で、あのときに話した報酬だけど)
ミルがこっくんと大きく頷いて、
(…な、なにを望まれますか?)
(こいつと報酬の約束!さすがオレの写し!しっかりしてるぜ。オレは何にしようかな?)
(マーフィーの茶々は置いといて…)
(ブーブー!独り占めするきか!…でもそれもオレらしい…。)
これは無視。結構真面目な場面なんだよ。
(あのとき君は報酬を払う約束はしていないよな。それに俺、なんでもいいっていったから。
君は報酬を払わなくてもいいし、あるいは報酬が「感謝の言葉」でもいいんだぜ。
…ミルは何をくれるかな?くれないかな?)
震えながらもミルははっきり言った。
(私の願いを聞いてくれて…世界を救ってもらったんです。払います、払わせてください!私が払えるものなら何でも…。)
ミルは濁流のように汗を流しながらも、こっちを向いてしっかり答えた。
うん、…応えてくれた。
(じゃあ、報酬としてその猫耳触らせて!さっきから触りたくてうずうずしてたんだ!)
(えっ?…いいですけど、それだけですか?)
ふふふ!OKがでた以上遠慮は無用!早速さわりまくった。
ミルはくすぐったそうな顔をしている。
(…さすがオレの写し…読めなかった…)
右手は離していなかったのでマーフィーとはまだ「触話」中である。
ミルは俺の膝のうえに頭を乗っけて気持ちそうにしている…すると、そのまま寝てしまった。安心して力尽きたのだろう。
(こんな小さな女の子を人柱にして…恥ずかしくないのか。)
(それだけ、大魔王が強すぎて対抗する手段がないってことだろ。追い込んだ側ではあるが同情するぜ。)
魔族(?)っぽくないことをマーフィー言った。
…さて、疲れがまたでたのか力が抜けて来た。上体を元に戻して、横になった…右手は離していない。あと一つやることがある。
(マーフィー…ミルを殺さないでくれ。)
(…さすがオレの写し、よくわかったな。)
(ミルはマーフィーにとって不都合なことを知りすぎているからね。俺が敵の立場なら同情なんてしない…。)
(…保留だな、とりあえずコータの身の安全が保証されるまで。…封印に失敗している彼女は…戻れば危うい立場だぞ、王家はお前にもミルにも敵にまわる可能性が高い。)
(…俺も向こうでは…人柱だったんだ。)
意識が遠のいていく…もう限界だ。
(ふっ、3人とも…か)
マーフィーが何かいったがもうコータの耳には入らなかった…。
最初の方に本文で描きましたが、本編の主人公はかなりひねくれています。
今後、ひねくれ度が増すかどうか…見守っていただけるとありがたいです。