世界を救った代償(3)
今、俺はが「触話」のカードを心ポケットに入れて魔法をかけ、俺の写しのマーフィーと猫耳のミルに触れることで会話が成立している。
(では、…ミルに聞く。さっきの空間で俺とマーフィーが話していたのは聞こえてたんだよな。)
(はい、…聖なる槍は感応鉱物オリハルコンでできているので、心がつながると会話ができるんです。)
(その辺はあとでいいよ。今までの経緯を俺に話してくれないか?俺こっちの世界のこと知らないからわかりやすくね。)
(はい、では、私の素性から。私はファイガードという王国の第2王女です。
今、私たちの国と大魔王シェリー率いる魔軍とは戦争をしている状態なのです。大魔王シェリーはあまりにも強く最後の手段として私達は”聖なる槍”を召喚することに決めました。
この槍の召喚し扱うには王家の血を引く姫巫女と呼ばれる者が人柱になることが必要で…つまり…それが私です。)
少し苦しそうな顔をした。…ムカッ!こんな小さな女の子を人柱にして…聖なる槍だあ?…。いきなり刺されたもんで聖なるモノなんて全然思っちゃいなかったが…。
(人柱になった私が入った”聖なる槍”が見事、大魔王を貫き封印しようとしたときです…槍は、この人が大魔王でないことを見抜きました。)
ミルはマーフィーの方をみた。マーフィーは肩を竦めて呟いた。
(影武者が俺の仕事だったからね。)
(…見事に欺かれたとしかいえません。)
悔しそうな顔をして、また俺の方を向いた。
(ともかく、槍は中にいた私に非常事態を伝えてきました。封印対象の力が弱すぎてバランスが取れず、強すぎる封印の力がこのままでは暴走してしまうと。…緊急事態を回避する方法を槍は示してきました。…次元を超えて、今貫いている者の「写し」を貫き、その者に暴走する力を流し込むことを。それは槍には容易いことだと。私は急いで確認しました、その者の命には問題はないか?と。槍は問題ないと伝えてきました。)
ちと疑問が…その質問では命さえ無事なら…ってことになんないか?
(本当に申し訳なかったのですが、その…あの…サクッと刺しました。)
(プククッ…ストレートだな。)
(笑うとこじゃないぞ!)
(はい、…笑い事ではありませんでした。暴走しようとする力を必死になって制御して、コータ様に注いでいたです。ですが…)
ミイはまたマーフィーをみて
(また、問題が起こりました。コータ様の心ポケットにカードを入れた影響で力がコータ様に入らなくなってしまったのです。)
れれれ?
俺がカード魔法使ったせい?でも不可抗力だし、勝手に俺の中にドクドク力を注ぎ混んでいたみたいだし…俺が悪く思う必要ないよな?
(しばらくは、力を暴走させないようにするので精一杯でした。そこにコータ様から声がかかったので…。)
(んん?それなら俺に魔法のカードを外すようにいえばよかったんじゃない?)
(ダメです。槍が言うには、力の入り口がポケットに変わってしまったと。カードを外してももう戻らないから無駄だと。…それで、また…槍が…。)
(何て言って来たんだい?)
(本人の許可があれば他に入り口が作れると…強引にですけど。)
(…で、あのお願いだったわけね?)
(本当に申し訳ありません!色々ご迷惑をかけて…)
(それもあと!ちなみに俺がなぜ子供になったのかわかる?)
(それは暴走した力のせいです。あの槍は過去と現在と未来の時間をつなぎ合わせて無限の閉鎖された時間の輪を作り封印となすのです。色々と暴走しまくったせいで、過去が強くなっていた…というのが私の槍の中での最後の記憶です。私もあの後気を失ってしまって…気がつくとコータ様と一緒にここにいました。その後、”聖なる槍”がどうなったかもわかりません。)
うーん、やっぱりそうか…ワカンないんだ…。
(マーフィーもどうなったか知らない?)
(槍か?知らんよ。なんかの力がコータに集まってくる代わりに封印が解けたのがわかったからコータの影になって隠れたんだよ。槍は元のところに戻ったんじゃない?召喚系の武器みたいだし?)
むう、コッチもトボけているわけではないらしい…。
…ここにあるのに。