海外編:第五章「悪童の檻(アズッリの罠)」
これはAIが書いたものです
欧州ユース親善大会、準決勝。
AZアルクマールの相手は、イタリア・ジェノアのユースチーム。
戦術も秩序も無視したかのような、型破りで予測不可能なプレーで各国を撃破してきた“悪童軍団”だ。
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試合前夜。
AZの作戦会議。ホワイトボードに並ぶジェノアの布陣を見ながら、真秀は険しい表情で口を開く。
「この軍、戦術ではなく“本能”で動いておる。統制なき中にこそ、秩序あり」
ハビエルが肘でつつく。
「つまり、“読めない”ってこと?」
「否。“読ませぬよう動く”のではなく、“自らも読めていない”のだ」
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試合当日、スタジアムは大盛り上がり。
イタリアからのサポーターは太鼓を叩き、ラテンの熱狂で圧をかけてくる。
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試合開始。
予想通り、ジェノアは序盤から奔放だった。
戦術もポジションも無視し、縦横無尽に動きまわる。まるで“11人の個人技サーカス”。
特に注目は、エースのマッシモ・ベルティ。
小柄だが俊敏で、重心の上下をまったく見せず、すべてのフェイントが有効打になる。
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真秀とマッシモ、フィールドの中央で初めて対峙する。
「へえ、アンタが“日本の剣士”か。なんか堅そうで退屈そ〜」
「言葉に毒を混ぜるな。……その矢、我が盾では通らぬ」
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前半、AZは押され気味だった。
真秀の読みが通用しないほど、ジェノアのプレーは“無秩序にして自由”だった。
パスもドリブルも即興、シュートレンジも不定形。
だが、真秀は黙っていた。
その眼だけが、次第に鋭くなっていく。
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後半開始。
真秀がハビエルに耳打ちする。
「そなたの“風”、彼らには通じぬ。……ならば、吾と組め。型の中に“型破り”を作ろう」
ハビエルが笑う。
「なるほど、“わざと”狂わせるってことか。いいね、それ」
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56分、真秀がハーフラインからロングボールを蹴る。
だが、蹴った瞬間に走り出したのはハビエルではなく、CBだった。
「なっ……!」と相手DFが乱れる。
ハビエルは“囮”に徹して動き、次々にフェイントを挟む。
——“読む”サッカーではなく、“読ませて崩す”サッカーへ。
直後、ゴール前に流れたこぼれ球をハビエルが反転シュート。
1点先取。
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ジェノアの選手たちは混乱する。
戦術もなく自由だった彼らに、“逆に自由を仕掛けられる”とは想定外だった。
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さらに真秀は、マッシモの“癖”を見抜く。
左足に寄ったときのみ、フェイントが“前ではなく後ろ”に抜ける。
その瞬間、真秀は古武術の“摺足”を使い、追いつけないはずのタイミングでボールを奪う。
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最終スコア:2-1。
試合終了のホイッスルが鳴り響く中、真秀はマッシモに一礼する。
「そなたの舞、見事であった。だが、戦場では“流れ”もまた剣となる」
マッシモは肩をすくめて笑った。
「くそ……本当にアンタ、“日本の将軍”だな。でも、面白かったよ。いつかまたやろうぜ?」
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試合後、ロッカールーム。
「真秀、やっぱアンタといると、毎回なにか発見があるよ」
ハビエルが言う。
真秀は静かに頷く。
「吾も同じ。そなたの風が、吾の剣を磨く」
ふたりは拳を軽く合わせた。
“静”と“烈”の共闘は、ますます深まっていく。