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scene_00X  作者: 細井真蔓
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 【場所】

 インドカレー『リバティ』店内

 

 【人物】

 蒲田吉継かまだよしつぐ・32歳・会社員

 井村瞬いむらしゅん・26歳・会社員



「そーいやおまえ、取りに行ったのか? 牛丸さんとこ」

「まだっす」

「おまえ、マジかよ? あれ上がったの先週だろ?」

「先週の水曜っす」

「一週間経ってんじゃん」

「はい」

「はいじゃねえだろ。さっき別件で牛丸さんと話したけど、ルネサンスも明日には上がりそうって言ってたぞ?」

「ルネは、おれ、担当じゃないんで」

「担当じゃなくても回収くらいはできんだろ」

「無理っすよ」

「は? なんでだよ」

「だってルネ枚数多いでしょ、一回で回収できないじゃないっすか」

「武田と分けりゃいいじゃねえか」

「ルネやるくらいなら、ポピーやりますよ」

「だったらさっさとやれよ。一週間はさすがに寝かしすぎだぞ」

「大丈夫でしょ。うちの倉庫より牛丸さんとこの方が広いんだし」

「そういう問題じゃねえから」

「だいたい文句なら武田に言ってくださいよ。あいつマジで仕事ナメてますよ」

「おまえが言うな」

「いやいや、マジで。知ってます? 武田が工場さんになんて呼ばれてるか」

「なんだよ」

「風来坊」

「は? どういう意味で?」

「だから、納期とかアポとか関係なく急にふらっと現れて、またふらっと来なくなるから、ってことらしいっすよ」

「おまえ、それどこの工場が言ってた?」

「清さん」

「あー、清さんね……」

「こないだも『お宅の仕事あんなんでやってけるんですか?』って言われましたよ。苦笑いするしかなかったっす」

「まあ、普通はやってけねえよな、あれじゃ」

「まああれはあれでも社長のアレっすからね」

「おまえマジでそれ社内で言うなよ?」

「みんな言ってますよ」

「チッ……」

「ところで蒲さん」

「あ?」

「こないだミカド行ったとき、変なもん見たんすよね」

「なんだよ」

「プリンターあるじゃないっすか、インクジェットの」

「ああ」

「あれの横に、なんか結構でかい箱が置いてあって」

「で?」

「まあその箱はどうでもいいんですけど」

「さっさと言えよ」

「その箱とプリンターの隙間に、注射器が落ちてたんすよ」

「マジ?」

「マジっす」

「なんかプリントの道具じゃねえの?」

「いや、マジのやつでした」

「いやいや、でもあるだろ、インスリンとかさ。糖尿病の」

「誰が糖尿病なんですか?」

「知らねえよ。つーかあるだろ、インク使ってんだから、なんかそういう器具もあんだろ」

「そういうもんすかね」

「知らねえけどさ。おまえそれ、面白がって社内で言いふらすなよ」

「言いませんよ。別に面白くもないですし」





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