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scene_00X  作者: 細井真蔓
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 【場所】

 ファミストップ早竹公園店店内


 【人物】

 宮前真香みやまえまなか・18歳・大学生

 寺里樹姫てらさとじゅき・19歳・フリーター



「ありがとーございまーす」

「……」

「えーと」

「……」

「樹姫さん?」

「……」

「なにやってるんですか?」

「……」

「お客さんからヤバい人に思われますよ」

「……」

「おーい」

「……」

「見えます……殺された女の子は……この湖に沈められました……」

「は?」

「あるでしょ。そういうポーズでなんか透視するやつ。テレビで」

「あー……」

「あれって、事件解決したことあるんですかね?」

「……見ないから知らんけど」

「だいたい湖全部調べれないでしょ。テレビの予算で」

「テレビは金かけてるだろ」

「でも湖の調査ごときでそのお金使います?」

「ごときって……。それが目的の番組だろ」

「絶対使わないですよ。だってテレビ局ですよ?」

「いや、知らんし……」

「なんか惜しいとこまでいった感だして最後は湖に導いとけばいいみたいな」

「……」

「で、どうしたんです?」

「あ?」

「そのポーズ」

「あー……いや、なんか今朝からずっと目の奥が痛いんだよ」

「頭痛ですか?」

「かも」

「わたしもなりますよ。目の頭痛」

「目の頭痛……?」

「目玉をマッサージしたらマシになりますよ」

「だからずっとそれをやってるんだよ」

「目玉ですよ。押さえてるの目の周りじゃないですか」

「この骨の部分がいいんだよ」

「目玉押さえてみてくださいよ」

「いや、骨でいいよ」

「ダメです。目玉にジャストなポイントがあるんですよ。スイートスポットが」

「……」

「わたしが押したげましょうか?」

「えっ……目玉を?」

「はい。こう見えて得意なんですよ、マッサージ」

「それ普通目玉は含まれてないよな」

「大丈夫ですよ。押すだけですから」

「押すだけでもイヤだよ……」

「いらっしゃいませー、袋おつけしますかー?」

「……」

「ありがとーございまーす」

「……」

「泣いてると思われたんじゃないですか?」

「は?」

「いや、樹姫さん目押さえてるから」

「なんも思ってないだろ」

「痴話ゲンカの果てに……とか思われましたよ、きっと」

「あたしとおまえが?」

「ていうか樹姫さん、お客さん来たらさすがに普通にしてくださいよ」

「だって痛えんだもん……」

「レジでずっと目玉押し込んでる店員なんていないですよ」

「押し込んでないし、骨だし」

「こないだ年の離れた従兄弟がうちに来たんですけど」

「おう、なんだ急に」

「従兄弟も昔コンビニでバイトしてたらしいんですよね。で、昔はコンビニでもレジ袋つけてたじゃないですか、無料で」

「昔っつーほど昔でもないけどな」

「だから、レジに店員が二人いたら、一人がレジ打って、もう一人が袋に入れてたらしいんですよ」

「らしいって……おまえが高校んときぐらいは普通にそうだっただろ?」

「いちいちレジで店員の動きなんて見てないですし」

「あー、ね……」

「だから今がもしその時代だったら、樹姫さんは袋入れサボって目玉押し込んでたってことなんですよ」

「押し込んでないし、その時代でもないし」

「わたし一人でレジ打ちも袋入れもして、その後ろで目玉ずっと押さえてる謎の店員ってわけですよ」

「いいよ、別に。謎の店員で」

「ダメですよ。樹姫さんはちゃんとしてないと。ただでさえいい歳してコンビニフリーター金髪鼻ピなんですから」

「あたしまだ十代だぞ?」

「だから」

「だから?」

「目玉マッサージさせてください」

「……やだよ」






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