違う世界 2
勉強が終わってもみんな帰らない。
タケルは剣道という日本の剣の稽古があるらしい。
メグミさんはクラス委員会だそうだ。何やら大変そう。
彼女たちが終わるまで学校の中をさまよってると、また、魔法の痕跡を見つけた。
たどってみると教室じゃない部屋に続いている。
こっそりのぞいてみると、奇麗な女性とサトル君がなにやら話をしている。
「じゃぁ、お願いね」
女性がサトル君に言うと、
「はい、わかりました、会長」
とサトル君が答えた。
会長と呼ばれた女性が出たあと、姿を現わして部屋に入る。
サトル君がびっくりした顔で見たけどすぐに落ち着いた表情に戻る。
「どうしたの?メグミさん達と一緒じゃないの?」
「え、、と、、、迷子になっちゃった」
「じゃ、ぼくが仕事終わったらメグミさんのところに連れて行くからそれまでここで待ってる?」
やさしい!どっかの誰かと違って、、いや、彼も思ったよりはやさしかったな。
彼からもらったお茶を飲みながら眺めている。
なにやら凸凹の板を指で叩きながら平らな板を見ている。
平らな板からでる光がサトル君の顔に反射している。
サトル君がぱたんと光る板を倒した。これはPCと言うものだそうだ。
これで本を作ったり計算したりいろいろ便利らしい。
そろそろと思ってたらメグミさんが入ってきた。
「クラス委員会終わって、あらユリちゃんここにいたのね」
「あ、ありがとう。書類はそこの箱に入れておいて。明日処理するから」
「そういえば、会長は?」
メグミさんがきょろきょろする。
「えっ?さっきクラス委員会に行ったと思うけど」
サトル君が驚いたように答える。
「それが来なかったのよ。おかしいわねぇ、なにかあったのかな」
サトル君が心配そうだ。
ポケットから平たい板を出し眺めて指でこすっている。
「なんか、体調悪いから帰るってちょっと前にメッセージ来てた。気が付かなくてごめん」
「そうなんだ。めずらしいわね。まぁいいわ。ユリちゃん、帰ろうか」
翌日からはメグミさんが相手してくれた。
ショッピングセンターは可愛い小物、かわいい服、いろいろあって天国。
美味しいお菓子もある。
私がお金がないから
「向こうから金銀とか宝石とか持ってくればよかった」
というと
「でも、こちらでそれをお金に変えるの結構面倒よ」
と言われた。なるほどねぇ。
私は変身できるから洋服やアクセサリーは要らないけど、さすがにお菓子や飲み物はお金出して買わないと。
「仕事、探そうかな」
メグミさんの目がキラリンと光った。
そのままメグミさんの仕事場に連れていかれて仕事をすることになった。
お客様はお年寄りが多いので働いてくれる若い子が少ないらしい。
職場は店長さんも親切なお婆さんでメグミさんと私は孫みたいにかわいがってくれる。
お客さんはほとんどがお婆さんで同じようにかわいがってくれる。
平穏に日々過ぎていく、でも、帰るための魔力を貯める当てはまだない。
そして、学校の方はというと、なにやら事件が起きているらしい。
空き教室とかで、事後らしい雰囲気で女子生徒が見つかる。けれど本人には全く記憶がない。
先生方は何とかして隠そうとしている様だけどいろいろ目撃されていてそれを全部隠すのはむりだ。
「なんか、もう一人、ユリさんのオトモダチが来てないかしら?」
メグミさん、にこやかにしているけど目が笑ってないです。
なので、洗いざらい倉庫で起きたことや魔法の痕跡を吐かされました。
「ふーん、、そうかぁ、、これはタケルに相談したいけど、サトルの、、、」
メグミさんは意外と簡単に信じてくれた。
というか誘拐されるように私の世界に連れていかれてるからね、そういうの受け入れるの簡単ね。
「だねぇ、タケルは良いけど隠し事苦手そうだし。すると二人には内緒ね」
魔法の痕跡を見つけた場所、時間、その時にそばにいた人、そういう情報を集めると、、、
「なんかさぁ、サトルが関係してるように見えるんだけど」
メグミさんが困ったように言う。
「そうだねぇ。サトル君、何か知ってるのかなぁ」
「そういえば、奪った記憶って戻せるの?」
「それはどうかなぁ。やったことないから、それにサトル君が犯人っだったら意味ないと思うし」
「うーん、それはないかなぁ。とりあえず、やってみようよ」
メグミさん、結構強引だなぁ。
次の日の放課後、相変わらずサトル君が一人で生徒会室にいる。
「ねぇ、いつも一人だけど他の人は?」
「そういえば、最近会長あまり来ないなぁ。他の役員は会議がある時だけだよ。みんな塾とか忙しいし」
ノックの音とともにメグミさんが入ってくる。
「あれ、メグミさん、珍しいね、タケルが何かやらかした?」
「ちょっと相談があるんだけど」
椅子に腰かけながらメグミさんがサトル君に話しかける。
メグミさんの目くばせを合図に魔法を発動させる。
さてうまくいくかなぁ。
「ねぇ、サトル君、私と初めて会った日のこと覚えてる?」