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青空のまぶしい街角
魔法のiらんど に掲載していた作品をまとめたものです
「はい、これ」
サトル君がカップを差し出す。
中には熱いコーヒーが入っていた。
「苦い」
つぶやくとサトル君が苦笑いをしてミルクと砂糖を渡してくれる。
「よくそんなの飲めるね」
ユリがつぶやくと、
「大人の味だよ」
といっちょ前に答えてくる。私よりずっと年下のクセに。
この世界に来て2カ月。彼は魔物の私にもやさしい。
いつかは元居た世界に戻らないといけない。
だからそのやさしさはお互いに残酷だ。
街角のベンチに座り空を仰ぐ。
「良い天気ねぇ」
「空が青いねぇ」
でもそれまでは彼との逢瀬を楽しもう