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第七話 ロリコンを始末せよ


 ミミと呼ばれる少女は、とある地方の裕福な屋敷で一人娘として幸せに暮らしていた。彼女の父親は数十年前に魔族との争いが激しくなることを予期し街の鍛冶屋を一つの商工会に加入させその長として成り上がった、いわゆる成金だった。

 しかし彼女が6歳の時に転機が起こる。彼女の母親が何者かに乱暴された。しかし母親は「気持ちよかった」「またやられたい」と虚な表情で繰り返していた。これが成金のちっぽけな根性をしていた父親の逆鱗に触れた。母親はリンチの末殺された。娘であるミミは「母親があんな淫売では誰の子かも分からん」とのことで追い出された。まだ6歳の子供に世の中を生きていけるすべは無い。そんな絶望していたミミに手を差し伸べたのが…


「お前な訳だな、モロイン先生」


 俺はモロインの部屋になぜか置いてあったフックを無理矢理奴の背中にブッ刺して天井から吊るしていた。


「どうせミミの母親に乱暴して変なこと言わせたのもテメェが催眠でやったんだろ。ロリコンのモロイン先生様が本当に目をつけていたのはミミの方って訳か。くだらないマッチポンプだ。親父…いや、催眠レイプ愛好会が考えそうなことだぜ」


「ぐう…確かに私が…私が悪い!だがミミは…私の初めての女性だったんだ」


「…お前本当にイラつくなクソ野郎。適当なことばっか言ってんじゃねぇよ」


「違う!ハルタさんが思っているような意味じゃない!私は…私はこんな見た目だから、女性に相手されずに育った。それどころか歩いてるだけで罵詈雑言だ。そんなある日…こんな歳で言うのもなんだが、私はボール遊びが好きでね。子供の頃に仲間に入れてもらえなかったからかな。1人で壁に向かってボールを蹴ったり転がしたりしてたんだ。するとボールが向こうに転がっていった。それを追いかけると、あぁ、私はあの瞬間を忘れない。天使が、ミミが私にボールを笑顔で渡してくれた!それから2人でボール遊びをした。あの日は人生で一番楽しかった。なのに、あのクソアマ!ミミの母親が、俺をミミから引き離した…だから私はやったんだ!」


「ふうんああそう…」


「ミミは…私に優しくしてくれた、初めての女性だ!」


「興味ねーわ…」


 とは言ったものの、俺は迷っている。モロインに俺の計画の概要は説明した。計画といっても三時間後の朝礼で【ライトに催眠をかけられた痕跡は無く記憶解析の結果普通に強力な魔族に襲われただけでした】と皆んなの前で報告させるだけだ。その後に余計なことを知りすぎたモロイン先生には死んでもらう予定だった…が。

 拘束されたまま暴れ疲れて眠ってしまったミミの前まで歩いた。いくら洗脳とはいえ、この子は異常なほどモロインに執着している。洗脳を解いた時、この子は3、4年に渡り心の支えとしてきたものがハリボテだったと知る訳だ。それをこんな小さい少女が耐えられるのか?洗脳を解除するのは本当に正しいことなのか?

 そしてモロインだ…奴はゴミだが、実際問題としてミミの面倒を数年間見続け、魔族との最終戦争の後も見捨てなかった。嘘で塗り固めた2人の関係だがミミに対するモロインの感情だけは真実だ。

 何かがダブる。いや、俺は気づいている。この2人の関係は俺とアリムの関係に似ている。


「モロイン先生さぁ」


「なんだ?ハルタさん」


「さっき皆んなに嫌われてたって言ってたけどさぁ。レジスタンスでは随分好かれているみたいじゃん。間違いなくアンタは俺より好かれているよ」


「確かにね。思えば私が外見で差別されてきたのは平和な時だけだった。争いが激しくなるとそれどころじゃない。誰かが誰かを差別するのは暇だからなのかもね」


「暇だからねえ。やられる方はたまったもんじゃないよな。…この世界の全員がそんなことどうでも良くなるくらい忙しかったら、アリムも平和に暮らせるのか?

 …ん?おいモロイン。今アリムの名前に反応しなかったか?」


 モロインはアリムの名前を聞いた瞬間微かに顔を背けた。まるで恐れていたものが来た時のようじゃないか?


「いやしてない!する訳ないよ!誰それ?」


「反応が過剰なんだよお前は…オイまさかアリムに手を出したのか?正直に答えろ。嘘だと俺が判断した瞬間お前もミミも殺す」


 そう言いながらモロインの切り離された四肢をさらに細切れにした。


「は!?なんて事するんだ!?あれでは…もうくっつかないぞ!」


「テメェのことなんてどうでもいいんだよ先生。安心しろ、朝礼の時は俺が皆んなに幻覚見せて五体満足に見せかけてやっから。俺が言いたいのは次まともに答えなかったらアレをされるのはお前とミミの顔面だってことだ」


「…私は!何もやってない…」


 私は?はってなんだ?


「やろうとしたのは幼女愛好会の他のメンバーだ!私もイルスタッフさんの娘だと知ったらみんなを止めていた!でも安心してくれ!襲おうと布団に近づいたら電流のようなものが走って近づけなかったらしい。それにすでにロリレイプ同好会は崩壊した!メンバーの大半が何者かに殺されたんだ!」


「布団?…なんでアリムが布団で寝るって知ってんの?」


「…あっ!」


「おかしいと思った…アリムは支給されたベッドでは寝付けなくて布団で寝てるんだ…でも失敗したレイプの話そんな詳しくするもんなのかって…まあいい…馬鹿なお前の過剰な反応が教えてくれた…お前がアリムを襲おうとしたわけだ」


 頭がクラクラしてくる。こんなクズにアリムは襲われるとこだったのか…脚に飛沫がかかった。モロインは恐怖で小便を漏らしていた。俺も漏らした。アリムが結果的に無事だった安堵と何かあったかもしれない恐怖で。


 漏らしたら頭が冴えてきた。やはりモロイン先生は死ぬしかないな。ロリコンを生かしておくのは超美少女であるアリムにとって大きすぎるリスクになってしまう。


「…そう怖がるなよモロイン先生。結果的になにもしなかったんなら許してやるよ。むしろごめんな、腕とか脚とかバラバラにしちゃって」


「あ、ああいいんだ…そんなこといいんだよほんとに…私は殺されないんだよね?」


「もちろん。俺に言われたことをキチンとやり切ったらな」


 やはりモロインは救えないクズだ。はっきり分かった。この期に及んで自らの心配しかしていない。俺はミミも殺すと脅したのに。第一モロインは最初から俺への攻撃にミミを使用していた。俺なら絶対にアリムにそんなことはさせない。コイツらが俺たちの関係に似ていると思ったのが恥ずかしい。


「モロイン先生よ、そういえばミミの力は女の子にしては異常なほど強かったな。やっぱりクズのお前のことだからなんか弄ってんのか?」


「え?まあそうだね。試用段階の肉体強化魔法は基本的に彼女で試したね。もちろん見た目が変わらないやつだけね。おかげで彼女は肉体強度だけでいえばリーダーのライトにも引けを取らないと思うよ。ミミは恋人にしてボディガード…最高なんだぁ」


「…肉体強化魔法って相当な苦しみを伴うんだろ?胸は痛まなかったのか?」


「ああそれなら心配無い!彼女の痛覚はすでに切ってるからね。思い出すなぁ、初めての時、ミミは痛くって泣き出してね。私もサドじゃ無いし心が痛くなってね。その時に、まあリスクはあったけど脳をいじって…ブツン!てやったんだ。アレが運良く成功したから、今の私たちがあるんだよ」


 ミミは微かな寝息をたてていた。こうしてみると普通の、可愛らしい子供にしか見えなかった。

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