13 サイクスとの交渉1
「俺がお前に期待しているのは、純粋に戦力としてだけじゃない。人間であるお前なら、人間界にある聖剣を奪取しやすいんじゃないか、ってな」
サイクスが言った。
「……俺に魔族の手先になって、聖剣を奪ってこいって言うのか」
「聖剣の呪いを解除すれば、俺たち魔族が人間界を攻める理由はなくなる」
サイクスが重ねて言った。
「もちろん、人間側が魔界に攻めてくるなら、俺たちも自衛のために戦う。だが、向こうも手を引くというなら、魔族と人間の戦いは『停戦』という着地点に向かうことができるはずだ」
「サイクス……」
俺は彼を見詰めた。
「それが魔族の総意か?」
「魔族の中にも意見は色々ある。だが、少なくとも魔王様は停戦を目指しておられる。俺もそんな魔王様を支持し、あの方のために戦い抜くつもりだ」
と、サイクス。
「お前をここに連れてきたのも、その大義のため。力になってくれるかもしれない、と思ったからだ」
「停戦、か……」
俺はうなった。
正直、魔族と人間が戦いを止めるという可能性は、あまり考えていなかった。
人間同士なら戦争の最後は停戦だろうけど、異種族である人間と魔族の場合は――。
どちらかが滅ぶか、あるいは壊滅的なダメージを受けるまで、お互いに殺し合う。
そんなイメージしか持っていなかったのが正直なところだ。
「お前にとって、それほど悪い話ではないと思うが、な。俺たちの仲間になれば、お前のスキルをさらに強化する方法も教えるし、聖剣奪取に成功すれば停戦の道も見えてくる。そうなれば――お前たちは元の世界に帰れるんじゃないか?」
――こいつ、俺たちが異世界から来たことを知っているのか?
「少なくとも魔王様と俺たち幹部は全員が知っていることだ。勇者は異世界から召喚する、と。なら、勇者たちが戦う条件は、だいたい想像がつく」
サイクスがニヤリとする。
「中には正義感や義勇心で戦う者もいるだろう。が、そうじゃない者も混じっているはずだ。ほぼ全員が等しく魔族に立ち向かってくるということは……それ相応の事情がある。つまりは元の世界への帰還だ。まあ富や栄誉などを餌に戦っている可能性もがあるが……おそらく前者が目的である可能性が高いと俺たちは踏んでいる」
「……ああ、そうだ」
俺は素直に答えた。
「魔王を討ち、元の世界に帰還する――それが俺たちの目的だ」
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