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12 魔族が戦う理由

「魔王様との話は終わったか?」


 サイクスがやって来た。


「……ああ」

「なら、今度は俺と付き合え」


 と、サイクス。


「お前に魔界の街並みを案内してやる」


 というわけで――俺はサイクスと一緒に大通りを歩いていた。


「なんか……意外と平和なんだな」


 俺は拍子抜けした気分だった。


「今は特に大きな戦争もないしな。まあ、人間界への侵攻作戦はあるが」


 サイクスが答える。


「もっと殺伐とした世界を想像してたよ」

「人間が考える魔族のイメージだとそうなるか」


 サイクスが苦笑した。


 まるで人間のような表情だった。


 こいつ――というか、魔族ってこういう顔もするんだな。


「ん、なんだ?」

「いや……人間の世界も魔界も雰囲気に大きな差はないな、って思って」

「俺たち魔族は別に邪悪な種族じゃないからな。お前たちと変わらないさ。楽しいことがあれば笑う、悲しいことがあれば泣く――そうやって日々を過ごしている」


 サイクスの言葉に、俺は戸惑いを覚えていた。


「じゃあ、俺たちが戦う理由なんてないだろ。侵略を止めて、魔界に引っ込んでいてくれよ」


 俺は思わず言ってしまった。


「……それができない事情がある」


 サイクスは苦い顔になった。


「人間界に存在する五本の聖剣――それらを奪取しなければ、俺たちの世界はいずれ滅ぼされる。あれは魔族にとって致命的な呪具なのだ」

「聖剣……?」


 かつて剣咲と戦った際、奴が使っていた神造武器だ。


「お前たちはその聖剣を探してるのか?」

「そうだ。聖剣を全部回収したら、魔王軍は人間界への侵略をやめる。少なくとも魔王様は俺たち幹部級の高位魔族にそう公言されているし、俺もその言葉を信じて戦っている」

「なら、人間たちを殺し回っている理由は?」

「そうしなければ、俺たちが死ぬ」

「えっ」

「さっきもいった聖剣の呪いさ」


 サイクスはますます苦い顔になる。


「一定数の人間を殺さないと、魔族の一定数が死ぬ。具体的には1日に100人程度を少なくとも殺さなくてはならない。でなければ、同数の魔族が死ぬ……以前の戦いで、聖剣によって魔族全体にそういう呪いがかけられている」

「つまり……自分たちが助かるために、人間を殺しているわけか」

「――そうだ」


 サイクスは力強くうなずいた。


「罪悪感がないわけじゃない。人間たちに対する申し訳なさを抱いている魔族も少なくない。だが、綺麗ごとを言っていられないのも事実だ。たとえ人間側からすれば身勝手な事情でも――俺たちは人間を殺す」


 本当に――身勝手な事情でしかない。


 とはいえ、仮に逆の立場だったとしたら、やはり人間たちは魔族を殺すだろう。


 しょせん戦いは避けられないということか――?

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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