16 魔王軍、第二波3
「こ、こいつ――」
俺は戦慄した。
しもべの中で戦力の核とも言える中級魔族五体が、一瞬で撃破されたのだ。
「これが高位魔族の実力か……!」
強い。
とてつもなく、強い。
どう立ち向かえばいいのか――。
「主」
ミラージュが俺の横に並んだ。
「全員、各個撃破されるのだけは避けてくれ。連係を最大限に。いいな」
俺は通り一辺倒の指示をすることしかできない。
とはいえ、各個撃破を避けるのは当然の戦略だ。
相手の攻撃力が強大きわまわりない以上、こちらの戦力が減れば減るほど、一気に押し切られるリスクが激増する。
「まず守りを固め、隙をついて反撃に出る――!」
ざんっ!
高位魔族の一人が右腕を振るうと、俺たちの背後で誰かが切り裂かれ、倒れる様子があった。
「なんだ……!?」
振り返ると、
「ひ、ひいっ、岸くん!?」
「い、いやぁぁぁっ!」
魔族の無形の切断魔法によって倒されたのは、小太りの男子生徒。
クラスメイトの一人、岸博信だ。
胴の辺りから両断され、上半身と下半身が綺麗に分かれている。
もちろん、即死だった。
――いきなり全滅とかはごめんだからな。
出撃前、岸がそう言っていたことを思い出す。
生き残ることを最優先に、この任務に同行したんだろうけど――。
「……くそっ」
俺は奴らに向かって剣を構えた。
これでクラスメイトが犠牲になったのは三人目だ。
「これ以上は――させない!」
「吠えるな。お前たちはここで全滅する」
魔族がふたたび腕を振るう。
「【斬撃】!」
俺はスキルを発動した。
その側ではミラージュが同じスキルを発動し、さらに他のしもべたちもそれぞれ攻撃スキルを同時に放つ。
各自の攻撃スキルの波状攻撃で弾幕状態にしたのだ。
がぎぎぎぎぎぎぎぎっ!
魔族の不可視の攻撃と、俺たちの攻撃が空中で衝突し、耳障りな金属音を立てる。
「防いだか」
「数撃ちゃ当たる、ってやつだ」
俺は高位魔族たちをにらむ。
ごうっ!
そのとき、背後で轟音が響いた。
「き、きゃぁぁぁぁぁっ!」
同時に発生する悲鳴。
クラスメイトの一人が、炎に包まれている。
やがて骨も残さず消し炭になった。
また一人、犠牲者が出てしまった――。
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