15 魔王軍、第二波2
「魔族――!」
いや、だけど何か違う。
今までに戦ってきた下級や中級の魔族は完全な化け物だったり、あるいは人間と化け物の中間みたいな姿をしていた。
なのに、あいつらは違う。
三人とも完全な人型だ。
「まさか……」
ごくりと喉を鳴らす。
「ん? 見るのは初めてか?」
「もう分かってるみたいね。あなたの推察通りよ」
「くっくっく、俺たちが高位魔族だ。これでお前らの死は確定したなぁ!」
空中で三人の魔族が高笑いをした。
自分たちが絶対的に優位に立っていることを分かっているような、余裕の笑みだった。
「時雨くん……」
葉月が不安げにすり寄ってきた。
正直、俺だって不安だ。
初めて目にする高位魔族。
しかも、それが三体いる。
……通用するのか?
体中が小刻みに震えるのを止められなかった。
俺の力は。
俺のスキルは。
俺と、俺のしもべたちは。
奴らに、通用するのか――?
「【デスウォリアー】二体、【ブラッドクロウ】、【ツインリザード】、【メタルシールダー】……お前たちが前衛だ」
俺は中級魔族のしもべたちに命令した。
今回のこいつらは、いわゆる『壁役』だ。
その後ろに飛び道具を持つ【レッドメイジ】や【ソードマン】を配置する。
さらに【デスウォリアー】たち中級魔族部隊だけでは『壁役』として厳しい場合、【ミラージュ】や【死神】らがサポート役として前衛に加わる。
相手の攻撃力や総合的な戦闘能力が分からないため、まずは防御を固めた上で、飛び道具で相手のHPを削れるようなら削る――。
シンプルだが、今回の作戦はこれでいこう。
「なるほど、俺たちを警戒しているわけか」
魔族の一人が右手を振り上げた。
「作戦は悪くない。が――」
ざんっ!
その右手が振り下ろされる。
ほぼ同時に――。
「なっ……!?」
中級魔族五体が、すべて両断されていた。
「俺たちの戦力分析が甘い。中級魔族ごときと高位魔族では――強さの次元が違うんだ」




