13 ザガーニ王都へ
「さっすが、我がクラスのエース♪ あたしたちは出る幕なしね」
葉月が歩み寄ってきた。
他のクラスメイトたちも嬉しそうな貌をしている者が多い。
中には呆然と俺を見る者もいるけど。
皆の反応は、勝利を喜んでいるか、俺の活躍に驚いて呆然となっているかのどっちかだった。
とにかく誰も欠けないでよかった。
俺はホッと安堵する。
「ん? そういえば――」
ここに来る前に那由香が【予知】したことを思い出す。
俺が新たに三体のしもべを得る――。
「でも、新しくしもべになったのは【ブラッドクロウ】だし、しかも十五体いるし……」
彼女の【予知】が外れたのか?
俺が知る限り、百発百中っぽい感じだったけど――。
「見えてきましたぞ。あれがザガーニの王都です」
隊長が前方を指さした。
魔族軍を撃退した礼として、俺たちはザガーニ王が主催する祝勝パーティに招かれることになった。
このパーティに出席した後、一晩王都に泊まり、翌朝に帰国する予定だ。
で、ザガーニ軍が手配してくれた馬車に分乗し、俺たちは王都に向かっていた。
この馬車には隊長さんと葉月が他に乗っている。
「ふふ、さっきの戦いぶり、すごかったよ」
隣に座る葉月が俺を見て微笑む。
それから肩に頭をもたれさせてきた。
「は、葉月……」
「ねえ、時雨くんって彼女いないんだよね?」
「あ、ああ……」
なんで急にそんなことを聞くんだ?
「ふうん」
葉月はそれ以上何も言わず、俺を見つめている。
と、
「ザガーニといえば、なんといっても山の幸。我らの国の食をぜひご堪能いただきたい」
隊長がニコニコ顔で言った。
「むむ……せっかくいい雰囲気だったのに」
葉月がぼそっとつぶやく。
が、俺は今の雰囲気がちょっと苦手だったから、隊長の言葉は助け舟だった。
「山の幸ですか……へえ」
ぐう、とお腹が鳴った。
【ネクロマンサー】は直接体力を消耗するタイプのスキルじゃないけど、俺自身が戦場に出て戦っているし、集中力は結構消耗するからな……。
戦いが終わると、それなりに腹が減るのだ。
と、
「ち、ちょっと、何あれ……!?」
葉月がハッとしたように前方を指さした。
「えっ……!?」
上空に巨大な黒い影がある。
翼を持った飛行生物。
鳥よりもはるかに巨大なそいつは――。
「ドラゴン……!?」
しかも、その背には黒い人影が見える。
人間が乗っているのか、あるいは――。
「魔族――!」
どうやら、魔族の新手が襲来したようだ。
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