7 クラス内の亀裂
俺たちは馬車で隣国までやって来た。
メンバーはおおむね前回と同じだ。
いずれも高い戦闘力を持ったメンバーだけど、できれば今回も俺一人で終わらせたい。
俺と、しもべたちの力で魔族を一気に制圧してしまいたい。
そうすれば余計な犠牲を出さずに済む。
ただ、やはり那由香の【予知】が気になっていた。
俺に新たなしもべが三体できるという予知――。
その三体が、これから倒す魔族だというなら問題ない。
あるいは野生のモンスターだったり、戦いの過程で俺が倒す相手なら問題ないんだ。
ただし――それが味方の場合は、話は別。
もしかしたら、あの三体は魔族との戦いで殺され、アンデッドとして生まれ変わったモンスターかもしれないんだ。
「ま、あまり思い悩むのはやめておこう。どのみち、考えても分からないんだし……」
やがて馬車がザガーニ公国の最前線付近までやって来た。
俺たちはそこで降り、ザガーニの正規軍と合流する。
「よく来てくださった、異世界の勇者たちよ!」
大将を務める男は、俺たちを見て破顔一笑した。
「我らの国に攻め入っている一隊は中級魔族が十五体、残りは下級魔族です」
と、大将が言った。
「中級魔族の種族や特徴を教えてください」
俺がたずねる。
「いずれも同じ種族です。【ブラッドクロウ】と呼ばれる種族で――」
……なるほど。
俺は大将から一通りの説明を受け、
「【ブラッドクロウ】なら俺も交戦経験があります。任せてください」
そう答えた。
「おお、それは頼もしい!」
大将が顔を輝かせる。
「聞いての通りだ。今回も俺が先陣で出る。みんなは俺が討ち漏らした奴の対処を頼む」
「ちょっと待ってよ、時雨くん。またあなたが一人でやるの?」
葉月が眉をひそめた。
「もしかして手柄を独り占めしたいとか?」
「違う」
俺は葉月を見つめて言った。
「誰も死なせたくないだけだ」
「……なんか、あたしたちが弱いから俺が守ってやる、って言ってるように聞こえる」
「別に君たちが弱いとは言ってない」
俺は不満げな葉月をなだめた。
「ただ……正直言って、俺の戦闘能力は君たちよりも大分上だと思う」
「ハア? ケンカ売ってる?」
葉月が怒った。
スキルに関して――というか、もっと根本的にプライドが高いみたいだ。
「気に障ったならごめん。でも魔族との戦いには命が懸かってる。さっきも言った通り、誰も死なせたくない」
「最強の俺様が出れば、みんな死なずに済むぜ~って言いたいの?」
「少なくとも、全員が生き残れる可能性は一番高い」
「……譲らないのね。君って、そんなキャラだっけ?」
葉月がキョトンとした。
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