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5 俺が目指すものは


 王城の一室――。

 帰還した俺は王様に呼ばれ、今後のことを相談していた。


「援軍、ですか?」

「左様。まずは隣国の辺境に攻め入っている魔王軍の一隊に対し、我が国の勇者たちを派遣しようと考えている」


 王様が言った。


「それについて、君の意見を聞きたい」

「そうですね……俺は賛成です」


 俺はあっさり言った。


「ほう?」

「こっちの――勇者の数は限られています。なので、大規模な戦闘よりも小規模、中規模の戦闘で魔族軍の部隊を各個撃破していくのが望ましいと思っています」

「確かに大規模戦闘では、いかに一騎当千の勇者たちといえど、数の暴力に圧倒される危険性はある」

「はい。一部隊相手の戦闘なら、純粋に力と力の勝負でケリがつきます。それともう一つ――」


 俺は王様に言った。


「俺のスキルは撃破した敵をアンデッドに変え、自分の兵力に加えられます。できるだけ確実に勝てる戦闘を重ね、俺の手駒を増やし、戦力増強を図りながら、対魔王軍の戦略を進めていきたいのです」

「可能な限り危険性を避け、同時に君の戦力を増強……そうして、さらに勝てる可能性を上げていく、か」


 王様が何度もうなずきながら言った。


「うむ。私もいいと思う」


 よし、それなら当面はその方針でいこう。


 俺は、もっと強くなってみせる。


 俺自身も、そして俺の軍団も。





「他国への派遣?」


 王様との会談を終え、俺はラウンジで那由香と話していた。


「ああ、他国にも魔王軍が攻め入ってる。それを一つ一つ潰していく」

「……いよいよ魔王軍との戦いが本格化する、ということ?」


 那由香は不安げだ。


「ああ。それでも那由香に【予知】してもらえたら、と思って」

「分かった……でも、ちょっと怖い」


 那由香の声が震えている。


「もしかしたら……考えたくはないけど、また誰かが犠牲になるかもしれないし……その、田中くんや鈴木さんみたいに」

「これは戦争だからな……確かに、誰かが犠牲になる可能性はあるだろう。でも、だからこそ知っておきたいんだ」


 俺は那由香に言った。


「あらかじめ誰が死ぬか分かっていたら――それを防ぐための対策を取れるかもしれない」

「未来を変える……ってこと?」

「可能か、不可能かは分からない。でもクラスの誰かが死ぬ未来があるとしたら――俺はそれを止めたい」


 今度こそ、な。

 死んだ田中や鈴木のことを思い出し、俺は力強く宣言した。


「これ以上、誰も欠けずに――みんなで元の世界に帰ろう」

「うん、私も……自分にできることをするね。戦闘の役には立てないけど」

「君の【予知】は十分役に立ってるだろ」


 俺は那由香に微笑んだ。


「お互いに得意分野は違うんだ。それぞれの分野でがんばろう。戦いは俺に任せてくれ」

「ありがとう、時雨くん」


 那由香が嬉しそうに笑う。


「そう言ってくれるとホッとする。優しいね、時雨くんは」

「えっ、そうかな?」


 むしろ優しいのは那由香だと思うけど――。


「一緒にいられて嬉しい……」

「えっ」

「あ、へ、変な意味じゃなくて! いえ、その……」


 那由香が顔を赤らめた。


 変な意味じゃないなら――どういう意味だろう?

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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