3 会敵
「来たぞ」
俺たちは丘の上に陣取り、魔族軍の侵攻を待ち受けていた。
報告通り、数は500ほど。
内10体が中級魔族ということだけど――。
「まず広範囲の爆撃で数を減らす。中級は一撃では倒せないだろうけど、下級ならまとめて倒せるかもしれない」
俺はみんなに言った。
「出ろ、『レッドメイジ』」
俺の前に赤いローブの魔術師が出現する。
「火炎攻撃で奴らを焼き尽くせ」
ヴンッ。
レッドメイジはフードの奥の目を輝かせ、杖を掲げた。
ごうっ!
杖の先端から火炎弾が放たれる。
さらに、
ごうっ!
ごうっ!
ごおおおおおおおおおっ!
連続して無数の火炎弾が放たれた。
さすがに下級魔族は俺のしもべの敵じゃなかった。
あっという間に400体以上もいる下級魔族が半減する。
「おのれ、人間が……」
魔族の軍勢の中で10体ほどが前に出てきた。
それ以外の魔族が後ろに下がる。
下級をこれ以上損耗させるのを避け、中級だけで戦うつもりか。
――その方が、こっちも戦いやすい。
「出ろ、ミラージュ、ソードマン、死神、アサルトライノ、ブラッドクロウ」
俺はすべてのしもべを一斉に召喚した。
「っ……!?」
一瞬、頭がふらっとする。
なんだ、これは――?
もしかしたら、しもべの一斉召喚は体力を大きく消耗するのか?
前に全員を呼び出したときは、こんなふうにはならなかったけれど。
いや、今は戦闘中だし、あのときとは俺の精神状態が違う。
それにレッドメイジに広範囲爆撃を行わせた後だし、前よりも消耗が激しいのかもしれない。
いずれにせよ、いきなり全員に全開攻撃をさせるのではなく、まず様子見をしていった方がよさそうだ。
「ミラージュ、死神、それにブラッドクロウ。お前たちが前衛を。他は援護だ」
俺は指示を出した。
そして、俺自身も剣を抜く。
「全員で勝つぞ」
ざんっ!
ばしゅっ!
ずおおっ!
斬撃や打撃音、そして肉が爆ぜ、骨が砕ける音。
「こ、これは――」
俺は呆然と立ち尽くした。
強い……!
俺のしもべたちは、俺が想定していた以上に強かった。
前よりも大幅にパワーアップしている。
中級魔族10体をあっさり打ち倒すほどに。
「全滅……か」
そう、ものの五分とかからず、前衛のミラージュ、死神、ブラッドクロウが暴れ回るだけで、中級魔族全員が倒れ、しかばねとなって横たわっている。
「……残りの下級を掃討しよう」
俺はゴクリと喉を鳴らしつつ、しもべたちに命令した。
「ただし、俺の消耗に直結する可能性があるから、あまりエネルギー消費が激しいスキルは使わないでくれ。可能なら通常攻撃を主体で頼む」
そして、下級魔族も俺としもべたちの敵ではなく――。
魔族討伐戦は予想外の圧勝で幕を閉じた。
俺が出向くだけで、魔族の一軍を撃破できる。
結果だけ見れば、そうなった。
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