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11 死霊術師の魔導書



「死霊術師の魔導書を閲覧したい、と?」

「はい、俺のスキルに関連した情報を得られるかもしれないので」


 その日、俺は魔法省の大臣に面会していた。


 彼はその肩書き通り、国内の魔法関係の仕事のトップである。

 国立図書館に収められている希少な魔法書を読むには、この人の許可が必要だ。


 俺はいちおう勇者なので、申請すればすぐに面会がかなった。


 で、先ほどの台詞である。


「この先、魔王軍との戦いは激化が予想されます。それに備えて、スキルを少しでも強くしたい。そのヒントが得られれば、と」

「なるほど。もちろん勇者殿の頼みとあらば許可させていただきましょう」


 大臣は二つ返事で許可をくれた。


「ありがとうございます」

「いえ、私たちの方こそ、この世界を救うために戦っていただき、感謝の言葉しかありません」


 大臣が恭しく頭を下げた。


 まあ、この世界を救うために戦っているのは本当だけど、そもそも戦わなければ元の世界に帰してもらえないからな……。


 正直、複雑な心境だった。


 とはいえ、この人を責めるつもりはないし、責めたところでどうにもならない。


「では、さっそく魔導書を借り受けに行ってきます」

「今からですか? ならば、私がすぐに許可証を発行いたします。少々お待ちくださいませ」




 十分後、大臣が発行した許可証を持って、俺は国立図書館にやって来た。


 王城の斜め向かいにある大きな建物だ。


 死霊術師関連の魔導書はいくつもあったけど、その中でも一番ランクが高いものを借りることができた。


 魔導書は、そこに書かれている魔法の内容に応じてランクが定められていて、高いランクになるほど、より高度な魔法を学ぶことができる。


 首尾よく最高ランクの魔導書を借りることができたので、さっそく中身を読んでみた。


 俺が知りたいのは、俺自身の能力の伸ばし方だ。


 それにはまず『スキルレベル』を上げる必要がある。


 スキルレベルが上がることで、俺の【ネクロマンサー】はより強大な効果を発揮するようになる。


 ……おそらくは。


「ここに載ってるのは『魔法』で、俺のはスキルだから厳密には別物だよな……」


 ぱらぱらぱら……。


 めくりながら『これは』という項目を見つけたら、そこを集中的に読んでみる。


「熟練度の上げ方……か」


 とあるページに目が留まった。


「魔法の場合、熟練度って言い方みたいだけど、これは――スキルレベルと似た概念じゃないか」


 俺はハッとなって、その場に立ち上がった。


 興奮が湧いてくる。


 死霊術の習熟度の上げ方が分かれば――。


 俺自身のスキルも同じようにレベルを上げられるかもしれない。


 魔導書は1000ページはありそうなほど分厚いので、じっくり読むのは今度ということにして、まずはザッと流し読みしてみた。


 ちなみにこの世界の文字を俺は――というか、俺たち『勇者』全員が読むことができる。


 どうやら俺たちが召喚されたときに、この世界の文字を読んだり、この世界の言語を理解する能力を授かったらしい。


 なんとも便利だ。


 なので、魔導書を読み解く分には困らなかった。


 で、死霊術の習熟度の上げ方について該当箇所を探してみた。


 とりあえず最初に目についたのは、かなり序盤のページにあった『アンデッドを多く従えるほど、死霊術のレベルが上がる』という部分だ。


 つまり――しもべの数――厳密には従えた経験数――が、そのままスキルレベルに直結するということか?


 だとすれば、たとえば低級のゴーストやスケルトン辺りを片っ端から所持上限数までしもべにし、また解除する。


 で、もう一度、上限数までしもべにして解除……という行為を繰り返せば、一気にレベルを上げられるのか?


 なんだかゲームの攻略法みたいだ。


 とはいえ、それだと簡単すぎるし、裏があるかもしれない。


「ただ――試してみる価値はあるよな」


 俺はニヤリとした。


 よし、この方法を第一候補として、さらに別の方法も調べてみよう――。


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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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