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9 クラス内の序列が変わる


 死神を新たなしもべに加え、俺のステータスはこんな風に変化した。


***


名前:時雨

筋力:70→93

速度:85→107

耐久:66→80

魔力:204→255


追加スキル

【斬撃】【シールド】

【マッピング・初級】

【フライングソード】

【ファイアバスター】

【回復】【伸腕】


***


 新たに【回復】【伸腕】という二つのスキルが加わったようだ。


【回復】は名前の通り、体力を回復するスキルのようだ。

 そして【伸腕】は死神が見せた、『腕を伸ばして攻撃する』スキルだろう。


 俺が使うと、ちょっと不気味な絵面になるかもしれないけど……強力な攻撃スキルであることに変わりはないし、活かしていこう。


 ――あの後、ランは気絶したまま捕縛され、投獄された。


 正直、いきなり牢に入れられるとは思っていなかったけど、それだけ王様もランを危険視したんだろうか。


 それとも、もっと別の理由があるのか……?


 ともあれ、後の処置は王様が決めることだろう。


 ランを捕らえた牢には勇者のスキルを封じる措置をしているそうなので、ランといえども脱出は難しいそうだ。


「スキルを封じる……王国にそんな技術があるのか」


 何かの理由で、その技術が俺や他のクラスメイトに向かないとも限らない。


 頭に留め置かないと、な。


 思考を巡らせながら、俺はラウンジにやって来た。


 久々に那由香と話したいな、と思ったんだけど、あいにく姿が見えない。


 ラウンジ内には数人のクラスメイトがいた。


「っ……!」

「時雨――」


 彼らは俺の姿を見たとたん、表情をこわばらせた。

 なぜかおびえたような顔をしている。


「? どうかしたのか?」


 俺はキョトンとした。


「ああ、俺が邪魔なら出ていくけど――」

「ま、ままままままさか、時雨くんが邪魔なんてことないって!」

「そうそう、むしろ俺たちの方が邪魔なら出ていくから!」

「???」


 みんな、どうしたんだろう?

 明らかに普段とは態度が違う。


「ふふっ」


 笑い声が聞こえた。


 ん? と思って振り返ると、


「みんな、時雨くんを見直したんだよ」


 一人の女子生徒が話しかけてきた。


 目の覚めるような美貌、というのは、こういうのを言うんだろう。

 栗色の髪を背中まで伸ばした、掛け値なしの美少女――。


 名前は月白(つきしろ)葉月(はづき)


 俺は葉月とはまったく接点がなく、今までほとんど会話すらしたことがない。


「見直した? 俺を?」

「だって中級魔族を倒したし、あのランくんにも勝っちゃったし」


 葉月が近づいてくる。


「正直、あたしも時雨くんってすごいなーって見直したよ。うん、今まで接する機会がなかったけど、これからは仲良くしてほしいな?」


 言いながら、俺の腕にしがみついてきた。


「お、おい……」

「あれ? 照れてる? 思った以上に初心じゃん」


 葉月がケラケラと笑う。

 彫像を思わせる整った顔立ちだけど、笑うと意外と親しみやすい。


「ねえ、よかったら……あたしたちのグループに入らない?」


 と、葉月。


「えっ」

「だって、ランくんより強いんでしょ? ああ、確か剣咲も君に負けたのよね。もうボコボコだったみたいじゃない?」

「いや、ボコボコっていうか……俺は他の奴を守るために仕方なくやったから」

「別に責めてないよ。褒めてるんだってば」


 葉月がにっこり笑った。


「……褒められるようなことはしてないよ」

「そう? クラス内で上位のランくんと剣咲をブッ飛ばしたでしょ? 強いことは称賛されることだよ」


 葉月は俺の顔をのぞきこむようにして言った。


「時雨くんはそう思わない? 二人に勝ったとき、『自分はすごい』って優越感に浸らなかった? 快感を得なかった?」

「何を言ってる……」


 俺は困惑した。

 そういうことじゃないだろう、と思う。


「剣咲と戦ったのは那由香を守るためだ。ランと戦ったのは周囲を守るためだ。彼らを打ちのめしたくて――戦ったわけじゃない」


 俺は葉月を見つめ返した。


「そっか、時雨くんはそういうタイプ――ふむふむ」


 葉月の視線は俺を値踏みしているように感じた。


「おっけー。じゃあ、それはそれでいいや。あらためて聞くけど……あたしたちのグループに入らない?」


 言って、彼女は俺の手を握った。


「誘ってもらって悪いけど、俺は特定のグループに入るのは性に合わないよ」


 俺は首を左右に振った。


「んー……分かった。残念」


 葉月はぺろりと舌を出して笑う。


「じゃあ、グループうんぬんは関係なしに、これからも仲良くしてね。今まで接点なかったけど、これからは時雨くんともっとお話ししたいな?」

「それなら俺も構わない」

「やった。じゃあ、よろしく」

「こちらこそ」


 言いつつも、俺は心の片隅で警戒心が芽生えるのを感じていた。


 葉月は――どこか得体の知れない雰囲気がする。


 心を許すことはできなかった。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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