7 闇の勇者のしもべ
「お前をしもべにしたら、ランは死神を使えなくなるのか?」
俺は死神に向かってたずねた。
こいつがミラージュのように対話できるタイプなら、あるいは教えてもらえるかもしれない。
「……って、無理か。こいつ、戦闘中も吠えてただけだったしな」
「お前のしもべになれば、藤堂蘭は俺を使役できなくなる」
「うわっ、話せるのか!?」
いきなり流暢に話し始めた死神に、俺は驚いてしまった。
「お前って魔族……なんだよな?」
小声でたずねる。
周囲にバレないように。
仮にこいつをしもべにするとして、『魔族をしもべにしている』なんて知られると、この国からどういう扱いを受けるか分からないからな。
最悪、魔族の一味とみなされる可能性だってある。
一方で――死神自体は魅力的な戦力だ。
しもべにできれば、俺のしもべ軍団の戦闘力底上げになるし、俺自身のステータスもプラスされるだろう。
「いかにも。俺は改造魔族だ」
「あ、俺にだけ聞こえるように小声で話してもらってもいいか?」
「? ああ、他の人間どもには聞かれたくないか。了解だ」
俺の頼みを快諾する死神。
案外、扱いやすそうだな……。
よし、ちょっと怖いけど――決めたぞ。
「死神、さっそくだけどお前を俺のしもべにしたい。以後、俺に従ってくれ」
「承知した、マスター」
「それと頼みが二つある。お前が魔族であることは誰にも話さないでくれ」
「承知」
「もう一つ。お前が俺のしもべであることも可能な限り誰にも明かさず、誰にも知られないように行動してくれ」
「承知。ただ、二つ目の願いの理由は?」
「だって、お前はランのしもべみたいなものだろ? それを俺が奪ったってバレたら、外聞とかさ……」
俺は苦笑した。
「といっても、ランは危険すぎるし、お前をランの元に置いておくと、多くの人が傷つけられる可能性もある。俺の元に置いておきたいっていうのが本音だ」
「承知した。俺はマスターの命令がないかぎり、人を襲ったりはしない。魔族の習性として人間を襲う本能を持つ種族もいるが、俺は違う」
「分かった。じゃあ、俺の頼みは今言ったとおりだ。今後よろしくたのむよ、死神」
「マスターに忠誠を誓おう」
ばしゅんっ。
言うと同時に、死神は姿を消した。
『普段の俺はマスターの影の中に異空間を作り、潜んでいる。用があるときは呼べ』
と、脳内に声が響いた。
「本当に便利だな」
俺は微笑んだ。
よし、ミラージュを失ったけど、新たに頼もしいしもべが増えた。
そしてミラージュも――。
「絶対復活させてやるからな」
俺は決意を新たにした。
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